2021年08月29日

未来の萌芽


クーリエ・ジャポン編『変貌する未来―世界企業14社の次期戦略』を読む。

変貌する未来 世界企業14社の次期戦略.jpg


本書は、「クーリエ・ジャポン」に掲載された記事から、「ビッグテックはどこに向かうか」というテーマで、

フェイスブック、
グーグル、
アマゾン、
マイクロソフト、アップル、

を、「新しい潮流」というテーマで、

スペースX、
ネットフリックス、
ショッピファイ、
リヴィアン、
ビオンテック、

を、「国際企業が見る世界」というテーマで、

トタル、
パランティア、
TSMC、
アリババ、
シリコンバレー(クリーンテック2.0)、

と、

CAFAM(ガファム)をはじめ、宇宙、エンタメ、モビリティ、医療、エネルギーなど多岐にわたる分野の、レガシー企業から新興企業まで、

を取り上げたものを収録している。

「はじめに」で、本書のテーマは、

世界企業、

であるとしている。この中に、日本企業は入っていない。世界的な新たな潮流からは完全に置き去りになっているという象徴のように感じる。

味の薄いインタヴューもあるので、全てが突っ込み十分とはいかないが、この中で、面白かったのは、「反アマゾン同盟」と名づけられている、eコマースの、

ショップ・フライ、

であり、新型コロナワクチンを開発した、トルコ系ドイツ人科学者夫妻が起業した、

ビオンテック、

であり、CIA、クレディ・スイス、エアバス等々がそのソフトウエアを利用する、データ分析の、

パランティア、

であり、ファブレス企業の受託先として、半導体受託生産で独り勝ちする、

TSMC(台湾積体電路製造)、

である。まさに、唯一という独自性で、その存在価値を高めていると言っていい。

フェイスブックのザッカバーグのように、

コミュニケーションとテクノロジーを交差させること、

を重視し、

「たとえば大脳皮質の視角野では、感情や人間同士の関係性を読み取っています。あなたの眉毛が1ミリ動けば、僕は新たな感情を捉えてすぐに気づきます。ぼくの息づかいが変われば、あなたも同じように気づくでしょう。……「ミラーニューロン」…はいま起きていることに関心を寄せながら、周囲の人々を感情移入しようとするものです。
 でもそういう役割を果たすテクノロジーはまだありません。……僕が改善したいのは、まさにそこなんです。」

と、VR(仮想現実)は未来のテレビ、AR(拡張現実)は未来の形態として、人と人を近づけることを目指すのもあれば、

AI、

を軸に、ネットとつなぐ自動運転、スマートホーム等々を連携するグーグル、さらに、

AIファースト、

を掲げ、「ビッグAI」とともに、

スモールAI、

にも着目するマイクロソフト等々のCAFAMの技術的な未来像よりは、スペースXの、イーロン・マスク(テスラのCEOでもある)の、

小惑星の衝突や疫病の流行といった有事に備え、火星にコロニーを建設したい、

と本気で考え、民間ではじめて宇宙船の打ち上げに成功した例が、いろいろな意味で興味深い。それに対比されるのが、相次いで個人的な宇宙旅行を実現した、

米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス、
ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン、

は、

ヨーロッパが大洪水に見舞われ、北米では記録的な酷暑になるなど、気候変動が原因と思われる自然災害に多くの人が苦しむ中、先を競うように宇宙旅行をする億万長者に対して、否定的な声も少なくない、

とされるhttps://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/post-96826.php。金持ちには金持ちとして為すべきことがある、というのは、ある意味、

ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)、

の伝統である、

身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある、

という欧米社会における基本的な道徳観である。だから、ベゾスに対しては、

「いずれはロボットに置き換えられる運命の従業員たちが、トイレ休憩さえとれずにペットボトルで用を足している間に、せっせと富をため込んでいる腹立たしいほどの大富豪」

との評(深夜テレビ番組の司会者、スティーヴン・コルベア)が出るのである。

参考文献;
クーリエ・ジャポン編『変貌する未来―世界企業14社の次期戦略』(講談社現代新書)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:00| Comment(0) | 書評 | 更新情報をチェックする
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