「こなから」は、
小半、
二合半、
などと当てる(広辞苑)。
半分の半分、
つまり、
四半分、
の意と、米や酒の、
一升の四半分、つまり、4分の1、二合五勺(約4.5デシリットル)、
の意である(仝上・デジタル大辞泉)。そこから、「こなから」は、
こなからざけ(小半酒)、
の意で、
少量の酒、
の意でも使う。また、
こなからいり(小半入)、
というと、
二合五勺入りの容器、
を指し、
小半入りの徳利、
小半枡、
などともいう(仝上)。なお「とっくり」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/474699082.html)については触れた。
この「こなから」に当てる
小半、
を音読みして、
こはん(小半)、
とも言う(仝上)。だから、
半斤の半分を、
小半斤(こはんきん 四半斤)、
豆腐の半挺の半分を、
小半挺(こはんちょう)、
一時(いっとき)の四分の一を、
小半刻(こはんとき 30分)、
などというのと同じ、とある(大言海)。
なお、「こなから」は、
二合半、
の意味から、関西では、
二号はん=お妾さん、
の意味でも使うという。
半分、
を、
なから、
といい、その半分なので、
こなから、
となるので、
小+なから、
で、この接頭語「小(こ)」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/445760046.html)は、
体言・形容詞などの上に付く、
が、意味は幅広く、
物の形・数量の小さい意(「小舟」「小島」「小人数」等々)、
事物の程度の少ない意(「小雨」「小太り」等々)
年が若い意(「小犬」「小童」等々)、
数量が足りないが、ややそれに近い意(「小一里」「小一時間」等々)、
半分の意か(「小なから」「小半金」等々」)、
いうにいわれない、何となくの意、またその状態表現を憎む意(「小ぎれい」「小憎らしい」「小汚い」等々)、
軽んじ、あなどる意(「こざかしい」「小わっぱ」等々)
(体の部分を表す語について)その動作を軽く言う意(「小耳」「小腹」「小腰」等々)、
語調を整える意(「夕焼け小焼け」「大さむ小さむ」等々)、
等々があり(広辞苑)、「小」は、
「お」(「小川」「小暗い」等々)、
「しょう」(「小心」「小社」等々)、
「さ」(「小夜」「小百合」)等々、
とも訓ますが、訓み方は変わっても、この意味の変化は、「小さい」「少ない」という、
状態表現、
が、そのことに価値表現を含めて、貶めたり、蔑んだり、逆にみずからを謙ったり、という価値を加味した、
価値表現、
へと変るのは、一貫している。
「なから」は、
中ら、
半ら、
と当て、
ラは漠然と場所・方向を示す接尾語。従って、ナカラは、明確にはとらえられない途中、中頃を指すのが原義。のち、ナカバ(ちょうど半分)との区別を次第に失った、
とある(岩波古語辞典)。だから、
おおよそ半分、
という感じなので、時間に用いても、
およそ半分の頃合い、
の意となり、
中半尺(なからはんじゃく)、
というと、
中途半端、
生半可、
という意だし、
なからじに(半死)、
は、
半死半生、
という意になる(仝上・江戸語大辞典)。
「小」(ショウ)は、
象形。中心の丨線の両脇に点々をつけ、棒を削って小さく細く削ぐさまを画いたもの、
とある(漢字源)が、ちいさい点を三つ重ねて、水滴・火花などのように、ちいさいものの意を表す、ともある(漢字源)。
(「小」 甲骨文字・殷 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%B0%8Fより)
「半」(ハン)についてはは、「よわ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/483039167.html?1629658969)で触れたように、
会意。「牛+八印」で、牛は、物の代表、八印は両方に分ける意を示し、何かを二つに分けること、八(両分する)はその入声(ニッショウ 音)にあたるから、「牛+音符八」の会意兼形声と考えてよい、
とある(漢字源)。
参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95