2021年10月26日

苛斂誅求


「苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)」は、

租税などをきびしく取り立てる、

意であり(広辞苑)、

苛酷(むご)く収斂(とりた)て、厳しく責め徴(はた)る、

意となる(大言海)が、少し広げて、

むごい取り立て、

の意でも使う(精選版日本国語大辞典)。

苛求、
苛斂、
誅求、

とも言う。

「苛」はむごい、また、責め立てる意。「斂」はおさめる、集める意。「誅」は責める意、

とある(新明解四字熟語辞典)。

左傳(戦国時代)・襄公三十一年に、

誅求無厭、

とあり、旧唐書(945年)・穆宗紀に、

苛斂剥下、人皆咎之、

とあり、新五代史(1053年)・袁象先傳に、

誅斂其民、積貨千万、

とある(大言海・広辞苑)。

苛税、

は、

厳しい取り立て、

だが、

苛求、

というと、

厳しく求める、

意となる(字源)。

ただ、漢和辞書には、

苛斂誅求、

は見当たらず、

「苛斂誅求」と二つ重ねる例は、日本では二〇世紀初めから現れています、

と(四字熟語を知る辞典)、新しい用例のようである。

「苛斂誅求」の類義語に、

頭会箕斂(とうかいきれん)、

がある。「頭会」は、

人数を数える、

意、「箕斂」は、

農具の箕ですくうこと、

で、

人数を数えて、箕ですくうように手当たり次第にかき集める、

という意味になるhttps://yoji.jitenon.jp/yojij/4807.html

また、過酷な税金という意味では、

苛捐酷税(かえんこくぜい)、

という言葉がある(四字熟語を知る辞典)。

「苛」 漢字.gif


「苛」(漢音カ、呉音ガ)は、

会意兼形声。可は「¬印+口」からなり、¬型に曲折してきつい摩擦をおこす、のどをかすらせるなどの意。苛は「艸+音符可」で、のどをひりひりさせる植物。転じてきつい摩擦や刺激を与える行為のこと、

とあり(漢字源)、「からし」の意で、「ひりひりする」「きつい」などの意があり、「苛刻」「苛政」「苛責(呵責)」などと使われる。別に、

形声。艸と、音符可(カ)とから成る。小さい草の意を表す。転じて、せめる、むごい意に用いる、

とも(角川新字源)、

会意形声。「艸」+音符「可」、「可」は直角に曲げ摩擦を起させるの意、摩擦を起しひりひりするからい草が原義、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8B%9B

会意兼形声文字です(艸+可)。「並び生えた草」の象形と「口と口の奥の象形」(口の奥から大きな声を出すさまから「良い」の意味だが、ここでは、「呵(カ)」に通じ(同じ読みを持つ「呵」と同じ意味を持つようになって)、「大声で責める」の意味)から、「大声で責める」、「厳しくする」を意味する「苛」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji2098.html

「苛」 成り立ち.gif

(「苛」 成り立ち https://okjiten.jp/kanji2098.htmlより)

「斂」(レン)は、

会意兼形声。僉(セン ケン)は、多くの物を壺に寄せ集めたさまを象形文字。のちに「集めるしるし+二つの口+二人の人」の会意文字で示し、寄せ集めることを示す。のち、「みな」の意の副詞に転用された。斂は「攴(動詞の記号)+音符僉」で、引き絞ってあつめること、

とあり(漢字源)、「収斂」というように使う。

「斂」 漢字.gif


「斂」 金文 殷.png

(「斂」 金文・殷 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%96%82より)

「誅」(チュウ)は、

会意兼形声。「言+音符朱(ばっさりと木の株を切る)」で、相手の罪を言明してばっさりと切り殺すこと、

とある(漢字源)。「罪不容誅」(罪誅を容されず)、「誅伐」「筆誅」等々、死刑や、滅ぼす、責めるという意である。
「誅」 漢字.gif

(「誅」 https://kakijun.jp/page/E66E200.htmlより)

別に、

会意形声、「言」+音符「朱」。「朱」はまさかりで木を伐ることを象った指事文字で、「言」を合わせて罪を「せめる」こと、罪をせめて「ころす」こと、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%AA%85。この方が、意味がクリアな気がする。

「求」(漢音キュウ、呉音グ)は、

象形。求の原字は、頭や手足のついた動物の毛皮を描いたもの。毛皮はからだに引き締めるようにしてまといつけるので、離れたり散ったりしないように、ぐいと引き締めること。裘(キュウ 毛皮)はその原義を残した言葉、

とある(漢字源。)「もとめる」「散らないように引き締める」意で、「求心」「追求」「探求」等々と使う。別に、

象形。かわごろもを腰で締める様子、又は丸めて運ぶこと。「裘」の原字。皮衣をぎゅっとまとめる。「まとめる」ことから、自分の下に引き寄せるなどの意が生じた、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%B1%82のが、よく意図がわかる。

「求」 漢字.gif


別に、

象形文字です。「裂いた毛皮」の象形から「皮衣(レザージャケット)」の意味を表しましたが、借りて(同じ読みの部分に当て字として使って)、「もとめる」を意味する「求」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji711.html

「求」 甲骨.png

(「求」 甲骨文字・殷 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%B1%82より)

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
簡野道明『字源』(角川書店)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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