正成、元来(もとより)摩醯修羅(まけいしゅら)の所変(この世のものに姿を変える)にておはせしかば、今帰って欲界の六天に御座ありと云ふ(太平記)、
の、
摩醯修羅(まけいしゅら)、
とあるは当て字で、本来は、
摩醯首羅(まけいしゅら)、
と当てる(兵藤裕己校注『太平記』)。
宇宙(大三千界)を司る神、
であり、
大自在天(だいじざいてん)、
ともいい、
その像は、三目八臂(さんもくはっぴ)で、冠をいただき、白牛にまたがる、
とされる(仝上)が、
今帰って欲界の六天に御座ありと云ふ、
とあるように、しばしば、悪神の、
阿修羅、
第六天魔王、
と、混同・同一視される、とある(仝上)。阿修羅は、
古代インドの神の一族、インドラ神(帝釈天)など天上の神々に戦いを挑む悪神とされる。仏教では、天竜八部衆(天竜八部衆(天(天部)、竜(竜神・竜王)、夜叉(やしゃ 勇健暴悪で空中を飛行する)、乾闥婆(けんだつば 香(こう)を食い、音楽を奏す)、阿修羅、迦楼羅(かるら 金翅鳥で竜を食う)、緊那羅(きんなら 角のある歌神)など仏教を守護する異形の神々)とされる一方、六道(輪廻において、衆生(しゅじょう)がその業(ごう)に従って死後に赴くべき、地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人間道、天道の六つの世界)のひとつとして、人間以下の存在とされる。絶えず、闘争を好み、地下や海底に住む、
といい、
アスラ、
修羅、
非天、
無酒神、
ともいう(広辞苑・精選版日本国語大辞典)。第六天魔王は、
欲望が支配する欲界(三界(欲界・色界(しきかい)・無色界の三種の迷いの世界)のひとつ。色欲・食欲など本能的な欲望の世界)に属する六種(四王天・忉利(とうり)天・夜摩(やま)天・兜率(とそつ)天・楽変化(らくへんげ)天・他化自在(たけじざい)天)の天のうち、第六の他化自在(たけじざい)天、
にすみ、
第六天魔王波旬(はじゅん)、
天魔、
天子魔(てんしま)、
他化自在天(たけじざいてん)、
ともいい、
仏道修行を妨げる悪魔、
とされる(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E9%AD%94)。あきらかに、
摩醯修羅(まけいしゅら)の所変(この世のものに姿を変える)にておはせしかば、今帰って欲界の六天に御座ありと云ふ(太平記)、
では、
摩醯首羅
と
第六天魔王
を同一視している。
(大自在天 平安時代の仏像図集『図像抄』(十巻抄)「尊像三目八臂騎白牛」とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%87%AA%E5%9C%A8%E5%A4%A9より)
「摩醯首羅」は、
大自在天、
のほか、
摩醯首羅王、
摩醯首羅天、
摩醯首羅天王。
ともいい、
異名は千以上あるといわれる、
ヒンドゥー教の、世界を創造し支配する最高神シヴァの別名、イーシュヴァラで、万物創造の最高神、
とされ(広辞苑・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%87%AA%E5%9C%A8%E5%A4%A9)、
色究竟天(しきくきょうてん、しきくぎょうてん)、
に在す、とある(仝上)。「色究竟天」は、
阿迦尼吒天(あかにだてん)、
ともいい、
三界(無色界・色界・欲界の3つの世界)のうち、色界色界の最上位に位置する、
とされる(仝上)。『法華経』序品では、
無色界の最上位である非想非非想天ではなく、この色究竟天が有頂天であると位置づけられている、
ともある(仝上)ので、
天上界における最高の天、
とも見られる。ちなみに、「非想非非想天」(ひそうひひそうてん)とは、
三界の中で最上の場所である無色界の最高天、
をいい、
非想非非想天、
が、全ての世界の中で最上の場所にある(頂点に有る)ことから、
有頂天(うちょうてん)、
という(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E9%A0%82%E5%A4%A9)。
もっとも、上記の意味から、「有頂天」には、
色界(しきかい)の中で最も高い天である色究竟天(しきくきょうてん)、
とも、
色界の上にある無色界の中で、最上天である非想非非想天(ひそうひひそうてん)
の二説がある(広辞苑)。
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コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
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書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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