2022年03月11日

応作


両所権現(りゃうしょごんげん)は、これ伊弉諾(いざなぎ)、伊弉(いざなみ)の応作(ヲウサ)なり(太平記)、
玲々たる鈴の声は垂迹(すいしゃく)五能の応化(ヲウクヮ)をも助くらんとぞ聞へける(仝上)、

などとある、

応作(おうさ)、

は、

降迹應化、為一老父(西域記)、

と、

応化(おうげ・おうけ)、

と同義で、

応現(おうげん)、

ともいい、

仏・菩薩が衆生を救うためにいろいろに姿を変えて出現すること、

とある(広辞苑)が、

応現の働(精選版日本国語大辞典)、
応現、変化の謂い(大言海)、

の意とあるので、

阿彌陀仏五濁(ごぢょく)の凡愚をあはれみて、釈迦牟尼仏としめしてぞ、迦耶城(かやじゃ)には応現する(「三帖和讚」(1248~60頃)・諸経讃)、
舟より道に下れば老公見えず。其舟忽に失せぬ。乃ち疑はくは、観音の応化なることを(「霊異記(810~824)」)、

などと、

仏、菩薩などが衆生に応じた姿を現わす、その働き、

という意味がわかりやすいように思える(仝上)。上記の、

迦耶城(かやじゃう・がやじょう)、

の、迦耶は、

梵名ガヤー(Gayā)の音写、

で、

釈尊在世の頃の中インドにあったマガダ国の都城、ブラフマ・ガヤー(Brahma-gayā)、

をいい、聖典で迦耶城といわれる場合は、

釈尊成道の地ブッダ・ガヤー、

を指すことが多いhttp://labo.wikidharma.org/index.php/%E8%BF%A6%E8%80%B6%E5%9F%8Eとあるが、「和讃」の解説には、

阿弥陀仏が釈迦牟尼仏となって現れ、人類の光となってくださった、

とし、迦耶城を、

浄飯(じょうぼん)大王(釈迦の実父)のわたらせたまいし所、

としているhttps://zenkyu3.exblog.jp/29044578/。つまり生誕地としているようだ。

「応化」は、

おうか、

とも訓ませるが、「おうか」と訓む場合は、

時世の変化に従って、それに適するように変わること、その結果、

の意で、

適応、
順応、

の同義となり(精選版日本国語大辞典)、

生物が環境の変化に応じて、自己の組織や機能を変えてゆく作用。また、この作用によって変化した状態、

の意でも使う(仝上)。

第六天の魔王集って、……応化(ヲウゲ)利(リ)生を妨げんとす(太平記)、

とある、

応化利生(おうげりしょう)、

の、

利生、

は、

利益衆生、

の意で、

仏、菩薩が衆生を救うために、それぞれの人に応じた姿に身を変えて説法、教化し、衆生に利益(りやく)を与えること、

となる(仝上)。

「應」 漢字.gif

(「應」 https://kakijun.jp/page/ou17200.htmlより)

「いらふ(答・應)」http://ppnetwork.seesaa.net/article/484667446.htmlで触れたように、「応(應)」(漢音ヨウ、呉音オウ)は、

会意兼形声。雁は「广(おおい)+人+隹(とり)」からなり、人が胸に鳥を受け止めたさま。應はそれを音符とし、心を加えた字で、心でしっかり受け止めることで、先方からくるものを受け止める意を含む、

とあり(漢字源)、「応答」「応召」などと「答える」意で使い、「応募」「内応」などと、求めに応じる意、「応報」と報いの意もある。別に、

「應」の略体。 旧字体は、「心」+音符「䧹(説文解字では𤸰)」の会意形声文字、「䧹・𤸰」は「鷹」の原字で、人が大型の鳥をしっかりと抱きかかえる(擁)様で、しっかり受け止めるの意、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%BF%9C

「作」 漢字.gif

(「作」 https://kakijun.jp/page/0709200.htmlより)

「無作の大善」http://ppnetwork.seesaa.net/article/485585699.htmlで触れたように、「作」(サク・サ)は、

会意兼形声。乍(サク)は、刀で素材に切れ目を入れるさまを描いた象形文字。急激な動作であることから、たちまちの意の副詞に専用するようになったため、作の字で人為を加える、動作をするの意をあらわすようになった。作は「人+乍(サ)」、

とある(漢字源)。同趣旨で、

会意形声。「人」+音符「乍」。「乍」は、ものに刃物を入れる様を象ったもの。ものに刃物を入れ作ることを意味したが、「たちまち」の意の副詞として用いられるようになったため、意味を明確にするため「人」を添え、人為であることを明確にした。「做」(サ)と同音同系、

とありhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%BD%9C、別に、

会意兼形声文字です(人+乍)。「横から見た人の象形」と「木の小枝を刃物で取り除く象形」から人が「つくる」を意味する「作」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji365.html

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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