2022年03月15日

こたつ



「こたつ」は、

炬燵、
火燵、

と当てる(広辞苑)が、

火闥 コタツ(「黒本本節用集(室町)」)、
火榻 コタツ(「文明本節用集(室町中期)」)、
火燵 コタツ(「運歩色葉集(天文17年[1548])」)、
火燵 コタツ(「易林本節用集(慶長二年[1597])」)、
火踏 コタツ(「書言字考(江戸中期)」)、
脚爐 コタツ(仝上)、

などとも当てられ(日本国語大辞典・大言海・岩波古語辞典)、室町時代には、

火闥・火踏・火燵、

江戸時代には、

火燵・巨燵、

などと表記されたhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%AC%E7%87%B5。なお、「燵」は、

形成、「火+音符達」、

で(漢字源)、

達の音を借りて、火偏を付けたる字なり、

という(大言海)、和製漢字である。

こたつ.bmp

(炬燵 (西鶴織留) 精選版日本国語大辞典より)

こそでのだいには、こたつのやうなる物にて候。くろくぬり候て、かな物などあるものにて候(「よめむかへの事(1521頃)」)、

とある。「こたつ」の由来は、

「火榻子」の唐宋音に由来する、

という説が有力で、

火榻子(クワタフシ)の宋音(行火(アンコ)、火鈴(コリン))、禅家より起これる語。火爐の牀なり、慧林一切経音義「考聲云、土榻安火曰炕」、是れ、朝鮮にて云ふ、温突(おんどる)なり(大言海)、
クワタフシ(火榻子)の唐宋音、禅家から生じた語(国語の中に於ける漢語の研究=山田孝雄)、

などとある。「脚立」は、

脚榻、

とも当て、

脚榻子(キャクタフシ)の宋音、火榻子(コタツ)もあり、禅家の語、……唐韻(751年)「榻(タフ)、土孟切」、説文解字(100年)「牀(ゆか)也」、

とあり(大言海)、ともに禅家由来である。その意味で、「こたつ」の由来を、

ケタツ(踏台)、キャタツから分化したもの。もとは爐を腰かけとしてつかっていたのであろう(火の昔=柳田國男)、

も、まんざら的を外しているわけではないようだ。

「榻」 漢字.gif


「榻」(トウ)は、

会意兼形声。旁の字(トウ)は、かぶさる、上に載せる意を含む。榻はそれを音符とし、木を添えた字、

で(漢字源)、

そのうえにからだをのせる長椅子、
や、
寝台、

掛布、

の意だが、わが国では、

ジジ、

と訓ませ、

牛車から牛をはなしたとき、ながえのくびきを支えたり、また乗り降りの際の踏み台、

の意で使う(仝上)。「こたつ」が、火榻子に由来するとみられるのは、

牛車の乗り降りに利用する踏み台である「榻(しじ)」の形に似ていることによる命名、

らしいのである(日本語源大辞典)。当初の「こたつ」は、室町時代、

椅子用の炬燵として、囲炉裏の上に低い櫓で囲った足炙り、

であったらしくhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%AC%E7%87%B5、最初は、

囲炉裏の火が「おき」になったときなどに上に櫓をかけ、紙子(かみこ)などをかぶせて、櫓に足をのせて暖めていた、

とされ(世界大百科事典)、このため櫓も低く、形も櫓の上面が格子でなく簀の子になっていた。やがて、布団を懸け、足先だけを入れるのではなく、四方から膝まで、時には腰まで入れるものに改良され、現在の櫓の高さになったのは江戸時代からである(仝上)。

高い櫓のこたつは、とくに高(たか)ごたつなどといわれ、置きごたつから広まっていった(日本大百科全書)が、囲炉裏を床より下げ、床と同じ高さと蒲団を置く上段との二段の櫓を組んだ足を入れられる、

掘り炬燵、

と、更に囲炉裏の周囲まで床より下げ、現在の掘り炬燵の座れる構造の、

腰掛け炬燵、

ができ(世界大百科事典)、どうやら、掘りごたつは、

囲炉裏、

から、置きごたつは、

火鉢、

から発達したとみられ(仝上)、元禄(1688~1704)頃、

土火鉢という瓦製の安物の火鉢があり、こわれやすいために木箱に入れて使っていたが、これを櫓に変えて布団をかけるようにしたもの、

になる(仝上)。

こたつ 江戸中期.jpg

(江戸中期、炬燵であやとりをする少女と女性(鈴木春信) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%AC%E7%87%B5より)

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:10| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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