2022年03月16日

迦楼羅炎


(高野の衆徒)御廟を掘り破つてこれを見るに、上人(覚鑁〈かくばん〉)、不動明王の形象(ぎょうぞう)にて、伽縷羅煙(かるらえん)の内に座し給へり(太平記)、

とある、

伽縷羅煙、

は、当て字で、正しくは、

迦楼羅炎(かるらえん)、

と表記、

不動明王の光背、仏法保護の鳥カルラが羽を広げた形に似るから、

とも(兵藤裕己校注『太平記』・広辞苑)、

迦楼羅の吐く炎、または迦楼羅そのものの姿、

ともhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%A6%E6%A5%BC%E7%BE%85

迦楼羅天の吐く炎そのものの姿http://fukagawafudou.jugem.jp/?eid=768

ともあるが、

迦楼羅の吐く炎、

なのではないか。

不動明王.jpg

(不動明王 (醍醐寺) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E6%98%8E%E7%8E%8Bより)

「伽縷羅(かるら)」とは、

梵語ガルダ(Garuḍa)、

で、

インド神話における巨鳥で、龍を常食にする、

とある(広辞苑)が、

インド神話において人々に恐れられる蛇・竜のたぐい(ナーガ族)と敵対関係にあり、それらを退治する聖鳥として崇拝されている。……単に鷲の姿で描かれたり、人間に翼が生えた姿で描かれたりもするが、基本的には人間の胴体と鷲の頭部・嘴・翼・爪を持つ、翼は赤く全身は黄金色に輝く巨大な鳥として描かれる、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%80

ガルダの像.jpg


それが、仏教に入って、

天竜八部衆、

のちに、

二十八部衆、

の一として、

仏法の守護神、

とされる(広辞苑)。

迦楼羅天.jpg

(迦楼羅天 http://fukagawafudou.jugem.jp/?eid=768より)

翼は赤く全身は黄金色に輝き、つねに口から火焔を吐く、

とされ、

翼を広げると336万里にも達し、鳥頭人身の二臂と四臂があり、龍や蛇を踏みつけている姿の像容、

もあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%A6%E6%A5%BC%E7%BE%85。仏教において、

毒蛇は雨風を起こす悪龍とされ、煩悩の象徴といわれる為、龍(毒蛇)を常食としている迦楼羅は、毒蛇から人を守り、龍蛇を喰らうように衆生の煩悩(三毒)を喰らう霊鳥、

とされている(仝上)

日本の、

天狗、

は、この変形を伝えたもの(仝上)とされる。「迦楼羅」はパーリ語ガルラ(Garuḷa)音写で、

迦楼羅天、
迦楼羅王、

あるいは、

食吐悲苦鳥(じきとひくちょう)、

と漢訳されhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%A6%E6%A5%BC%E7%BE%85

迦楼羅者、是金翅鳥(「法華義疏(7世紀)」)、

と、

金翅(こんじ)鳥、

ともいう(広辞苑・精選版日本国語大辞典)。なお、「八部衆」、「二十八部衆」については、

八部衆https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%83%A8%E8%A1%86
二十八部衆https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%85%AB%E9%83%A8%E8%A1%86

に詳しい。

迦楼羅王(仏像図彙).png

(迦楼羅王(仏像図彙) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%A6%E6%A5%BC%E7%BE%85より)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:迦楼羅炎
posted by Toshi at 04:26| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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