2022年10月19日

丫鬟(あかん)


月のあきらかなるに、丫鬟(あかん)の童女一人あり、双頭の牡丹灯を肩にかかげて先に行けば、後に窈窕(ようじょう)たる美女一人従つて、西に行く(奇異雑談集)、

にある、

丫鬟、

は、

丫環、

とも当てhttps://kokugo.jitenon.jp/word/p60790

丫頭(アトウ)、
丫髻(アケイ)、
鴉鬟(アカン)、

ともいい(字源)、

頭髪を両脇にまとめた少女の髪型、転じて、少女をいうことがある、

とある(高田衛編・校注『江戸怪談集』)。「丫」は、

あげまき(総角・揚巻)、

の意とあり、転じて、

頭をあげまきにした幼女、

また、

年少の侍女、
腰元、
婢、

とある(精選版日本国語大辞典)。中国語では、清末から中華人民共和国成立以前のいわゆる旧社会の言葉で、

小間使い、
侍女、

の意で、

腰元、

の意の、

小鬟、

と同義とある(中日辞典)。

「あげまき」については、「みずら」http://ppnetwork.seesaa.net/article/484777081.htmlで触れたが、

上代の幼童の髪の結い方の名。髪を中央から左右に分け、両耳の上に巻いて輪をつくり、角のように突き出したもの。成人男子の「みずら」と似ているが、「みずら」は耳のあたりに垂らしたもの。中国の髪形「総角(そうかく)」がとり入れられたものか、

とある(日本国語大辞典)。

みずら.jpg

(「みずら」 デジタル大辞泉より)


揚巻.jpg

(「揚巻」 デジタル大辞泉より)

「丫鬟」の「丫」は、

また(叉)、

の意で、

物の先の分かれて上に出るもの、

の意である(字源)。

きのまた(歧枝)、

の意の、

草木の枝のごときものに喩えて、

つのがみ(角髪)、
あげまき(総角・揚巻)、

にも言う(仝上)。

「丫」 漢字.gif


「丫」(ア)については、

象形。木の枝分れを象る、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%B8%AB

「鬟」 漢字.gif

(「鬟」 https://kakijun.jp/page/E9A3200.htmlより)

「鬟」 説文解字・漢.png

(「鬟」 説文解字・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E9%AC%9Fより)

「鬟」(漢音カン、呉音ゲン)は、

会意兼形声。下部の字(カン)は、まるい、取り巻くの意を含む。鬟は、それを音符と四、髟(髪の毛)を加えた字、

で(漢字源)、みずらの意である、

参考文献;
簡野道明『字源』(角川書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:43| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください