2022年11月09日
こがら
春来ても見よかし人の山里にこがら群ゐる梅の立ち枝を(拾遺和歌集)、
にある、
こがら、
は、
小雀、
と当て、
並びゐて友を離れぬこがらめの塒(ねぐら)にたのむ椎の下枝(山家集)、
にある、
こがらめ(小雀目)、
に同じ、
とあり(岩波古語辞典)、
ズメ目シジュウカラ科、
の鳥、
全長12.5cm。シジュウカラより小さく、ヒガラより少し大きいほどの小鳥、
で(https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1424.html)、
頭は黒色で、
鍋かむり、
と呼ぶ地方もあり、
背は灰褐色で、頬と喉は白色、喉に小さな黒色の斑、
があり(仝上)、
シジュウカラに似て、
十二雀(じゅうにから)、
ともいう(広辞苑)。ただ、シジュウカラと比べ、
腹面には黒帯がない、
ので、区別できる(日本語源大辞典)。
ツツニーニーニー、
と甘えた感じの声を出し、
さえずりは高い声で、
チーツーチー チーツーチー、
を繰り返し(https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1424.html)、
ユーラシア大陸中・北部に分布し、亜高山帯の林に繁殖。冬は他のカラ類の群れに混じる、
とある(仝上)。
「から類」は、
ユーラシア大陸中・北部に分布し、亜高山帯の林に繁殖。冬は他のカラ類の群れに混じる、
とある(仝上)。「から類」は、
シジュウカラを始めとする山野の小鳥類の総称、
で、
シジュウカラ科のシジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、コガラ、
等々をいう。
ゴジュウカラ、エナガ、
を含めることもある。大きさは、
ほぼスズメ大、
で、梢の間を活発に動き回り、
コガラやヒガラなどは山地、
で見られ、
シジュウカラは市街地、
でも見られ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E9%A1%9E)、「から類」は、
様々な種類の野鳥で「混群」を作る習性、
がある(https://www.nature-engineer.com/entry/2019/03/05/090000)とされる。
「こがら」は、
コガラメ(小雀目)の略、カラメはカロムレ(軽群)の約轉で、群れをなして飛ぶ小鳥にいう接尾語、略してカラとのみも云ふ、
とあり(大言海)、
四十からめ、
五十からめ、
山がら、
ひがら、
小がら、
などあり、
つばくらめ、
の、
くらめ、
も、
此の轉ならむか、
としている。「つばめ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/458420611.html)で触れたように、「つばめ」は、和名類聚抄(931~38年)で、
燕、豆波久良米、
本草和名(ほんぞうわみょう)(918年編纂)で、
燕、玄鳥、都波久良米、
字鏡(平安後期頃)で、
乙鳥、豆波比良古、
と、
つばくら、
つばくろ、
つばくらめ、
などとも呼び、
ツバメの古名はツバクラメ。ツバクラになり、ツバメとなった。ツバクラメは土喰黒女(ツバクラメ)となるが、この呼び名は光沢のある黒い鳥を意味するともいわれている。
「ツバ」「クラ」「メ」の三語よりなっている。
「ツバ」・・・光沢のあること。
「クラ」…黒
「メ」・・・ススメやカモメなど群れる鳥を指す。
姿の黒い照り輝くところからの命名。また、「土」「喰」「黒」・・・ルバメクロ(メ)とも解する、
という説もあり(日本語語源大辞典・語源大事典)、そうなると、「こがらめ」の「め」は、
すずめ、
かもめ、
などの鳥類共通の接尾語ということになる。
その上で、「シジュウカラ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/460260840.html)で触れた、「シジュウカラ」の「カラ」を見直すと、
シジュウ(多く集まる)+から(鳴く鳥)(日本語源広辞典)
四十カル(軽)の義。多く群れるところから・カルはカルク翻るところから(名言通)、
四十は群がる意という(大言海)、
雀四十を以てこの鳥一羽に代える意という(大言海)、
鳴き声チンチンカラカラの略転(名語記)、
シジウと鳴くカラの意。カラはヤマガラのガラ、ツバクロのクロと同じで、小鳥全体の総称(野鳥雑記=柳田國男)
などと、
鳴く鳥、
あるいは、
群れる鳥、
といった、
小鳥の総称、
らしいということがわかる。
雀は、種スズメではなく、小鳥一般を示す言葉です、
とする考え(http://yaplog.jp/komawari/archive/619)もあるから、そう考えると、「カラ」に、
雀、
と当てた意味が分かる。「コガラ」の、
小雀、
ハシブトガラの、
嘴太雀、
ヤマガラの、
山雀、
ヒガラの、
日雀、
ゴジュウカラの、
五十雀、
の共通項が見える。とすると、
ヤマガラ、
ツバクラメ、
の、
カラ、
クラ、
ともども、
鳥類を表す語、
であり、
「メ」も、
鳥を表す接尾語、
と考えると、
コガラメ、
の「カラメ」と、
ツバクラメ、
の「クラメ」は、重なって来るのではあるまいか(語源由来辞典)。
「雀」(慣音ジャク、漢音シャク、呉音サク)は、「スズメ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/458447405.html)で触れたように、
会意兼形声文字。もとは、上部が少ではなくて小。「隹(とり)+音符小」で、小さい小鳥のこと、
とあり(漢字源)、
燕雀、
というと、小さい鳥の代表、である(仝上)。
とある。別に、
会意文字です(小+隹)。「小さな点」の象形と「尾の短いずんぐりした小鳥」の象形から、小さい鳥「すずめ」、「すずめ色(赤黒色、茶褐色)」を意味する「雀」という漢字が成り立ちました、
ともある(https://okjiten.jp/kanji1699.html)。
参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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