2022年12月25日

みこし入道


さてさて、あやうきことかな、夫(それ)こそ見こし入道にて候はん(百物語評判)、

にある、

見こし入道、

は、

背が高く、首が伸びる大入道の妖怪。人が見上げれば見上げるほど、背が高くなるといわれる、

とある(高田衛編・校注『江戸怪談集』)が、必ずしも、

首が伸びる大入道、

とは限らないようだ。

「見こし入道(にゅうどう)」は、

見越し入道、
見越入道、

とも当て、

大なる法師の、鉄棒を杖にしたる、

という像とあり(大言海)、

見上げ入道、
次第高、
高入道、
入道坊主、

等々の呼名もある(デジタル大辞泉)。

首が長く、背の高い入道姿で、金棒などを持っている妖怪。人が見上げれば見上げるほど背が高くなり、また首が長くなる(精選版日本国語大辞典)、

ともあるが、

路上に現れ、出会ったものが目線を上げるほど巨大化するとされる(デジタル大辞泉)、

ともある。市井雑談集(1764年)には、見越入道の出現と思って肝をつぶした著者に、

此の所は昼過ぎ日の映ずる時、暫しの間向ひを通る人を見れば先刻の如く大に見ゆる事あり是れは影法師也、初めて見たる者は驚く也、

と語ったとある(世界大百科事典)。

多くの伝承があるが、

夜道や坂道の突き当たりを歩いていると、僧の姿で突然現れ、見上げれば見上げるほど大きくなる、見上げるほど大きい、

から、

見上げ入道、

の名がついた。そのまま見ていると、死ぬこともあるが、

見こした、
みぬいた、
見越し入道みこした、

などと言えば消える、

とか、

見越し入道に飛び越されると死ぬ、喉を締め上げられる、

といいhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E8%B6%8A%E3%81%97%E5%85%A5%E9%81%93、それで、

見こし入道、

ともいい、

主に夜道を一人で歩いていると現れることが多い、

とされ、

四つ辻、石橋、木の上、

等々にも現れる(仝上)というものである。

見越  鳥山石燕『画図百鬼夜行』より (2).jpg

(「見越」(鳥山石燕『画図百鬼夜行』) 『画図百鬼夜行全画集』より)

妖怪画では、鳥山石燕『画図百鬼夜行』の「見越」は、首が長めになっているが、これは背後から人を見る格好で、ろくろ首のように首の長さを強調していない(仝上)。

しかし、江戸時代のおもちゃ絵などに描かれたものは、

首の長いろくろ首かとさえ思える見越し入道、

も決して珍しくない(仝上)し、十返舎一九『信有奇怪会』では、

首の長い見越し入道、

が描かれている(仝上)。

草双紙での首の長い見越し入道例。十返舎一九『信有奇怪会.jpg

(草双紙での首の長い見越し入道(十返舎一九『信有奇怪会』) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E8%B6%8A%E3%81%97%E5%85%A5%E9%81%93より)

この首の長さは、時代を下るにつれて誇張され、江戸後期には、

首がひょろ長く、顔に三つ目を備えているものが定番、

となり、妖怪をテーマとした江戸時代の多くの草双紙でも同様に首の長い特徴的な姿で描かれ、その容姿から、

妖怪の親玉、

として登場する(仝上)、とある。

多く、

入道、
坊主、

とあることについては、

土着の信仰に根ざす生活をしていた日本人は、仏教に対して畏敬の念を持ちながらも、忌避の感情を捨てきれず、村落の外から入ってくる僧侶を異形(いぎよう)の者として畏怖の念を抱いていたので、そうした感情が複合して、入道ということばは、種々の妖怪と結びつけられるようになった。あいきょうもある小僧・小坊主に対して大入道は妖怪変化の王であり、見越(みこし)入道のように、仰ぎ見ればどこまでも大きくなっていく怪物などが語り伝えられた、

とあり、

入道は強大であるが、どこかうさんくさく得体の知れないものと感じられているが、それは日本人の仏教に対する感情の深層の反映でもあろう、

と説かれている(世界大百科事典)。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:35| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください