羅刹女(らせつにょ)
われは羅刹女(らせつにょ)と申す、鬼のゆかりにて候ふが、男には女の姿をなし、女には男の姿をなして、ひとをたぶらかし来たれと教えて(諸国百物語)、
の、
羅刹女、
は、
ひとをたぶらかして血肉を食うという鬼女、非常に美しい容貌をもつ、
と注記がある(高田衛編・校注『江戸怪談集』)。
羅刹私(らせつし)、
羅刹斯(らせつし)、
ともいい(精選版日本国語大辞典)、
女の羅刹、
である(デジタル大辞泉)。仏教では、
第一羅刹女誓救。第二従仏告諸羅刹女以下(「法華義疏(7C前)」)、
と、仏教の護持神として、
十羅刹女、
という、
法華経に説かれる法華経受持の人を護持する十人の女、
がある(精選版日本国語大辞典)。
初め、人の精気を奪う鬼女であったが、後に鬼子母神らとともに仏の説法に接し、法華行者を守る神女となったとされ、
藍婆(らんば 梵語Lambā)、
毘藍婆(びらんば 梵語Vilambā)、
曲歯(こくし 梵語Kūṭadantī)、
華歯(けし 梵語Puṣpadantī)、
黒歯(こくし 梵語Makuṭadantī)、
多髪(たほつ 梵語Keśinī)、
無厭足(むえんぞく 梵語Acalā)、
持瓔珞(じようらく 梵語Mālādhārī)、
皐諦(こうたい 梵語Kuntī)、
奪一切衆生精気(だついっさいしゅじょうしょうけ 梵語Sarvasattvojohārī)、
をいう(仝上・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E7%BE%85%E5%88%B9%E5%A5%B3)。
羅刹、此鬼行速、牙爪鋒芒、食人血肉、故云可畏也(慧琳音義)、
とある、
羅刹(らせつ)は、
サンスクリット語のラークシャサrākasa、
パーリ語のラッカサrakkhasa、
の音写で(日本大百科全書)、
速疾鬼、
可畏、
と訳す(精選版日本国語大辞典)。「ラークシャス」は、
古くは悪魔的な力、
の意味で用いられることがしばしばで、その他の邪悪な力と対等なものとして挙げられ、
打破する、
焼く、
などの動詞とともに現れ、打ち破るべき対象とされる(世界大百科事典)とあり、
インド神話に現れる悪鬼、
の一種。もとは、害する者、守る者の意。通力によって姿を変え、人を魅惑し血肉を食うという。
水をすみかとし、地を疾く走り、空を飛び、また闇夜(やみよ)に最強の力を発揮し夜明けとともに力を失うといわれ、しばしば夜叉(やしゃ)と同一視される、
とある(日本大百科全書)。のちに仏教では守護神となり、
十二天、
の一つに数えられ、像は神王形で甲冑をつけ、刀を持ち白獅子に乗った姿で描かれる(仝上)。
因みに、十二天とは、「四天王」でも触れたが、12の天部は四方(東西南北)と四維(南東、南西、北西、北東)の8方と上方、下方の10方位に配置される十尊と日天(につてん)、月天(がつてん)で、
帝釈天(たいしやくてん 東)、
火天(かてん 南東)、
閻魔天(えんまてん 南)、
羅刹天(らせつてん 南西)、
水天(すいてん 西、バルナ)、
風天(ふうてん 北西)、
毘沙門天(びしやもんてん 北)、
伊舎那天(いしやなてん 北東)、
梵天(ぼんてん 上)、
地天(ちてん 下)、
日天、
月天、
となる(世界大百科事典)。
参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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