2023年04月09日

股寄(ももよせ)


(源)宛(あたる)、馬より落つるやうにして矢に違えば、太刀の股寄(ももよせ)に當りぬ(今昔物語)、

にある、

股寄、

は、

太刀のさやの峰のほうにかぶせた金具、

とあり(佐藤謙三校注『今昔物語集』)、

「あまおほひ」とも言う、

とある(仝上)。

太刀の各部位.jpg

(太刀の各部位 図説日本甲冑武具事典より)

「股寄」は、後に、

雨覆(あまおおい)、

ともいうようになる(図説日本甲冑武具事典)が、

太刀の鞘さやの拵(こしらえ)で、棟方(むねがた)を保護するために、鞘口から鞘の中ほどまでつけた覆輪(ふくりん)の金具、

を言い、股寄の逆に、

鞘尻の刃方(はがた)に伏せて装着した筋金、

つまり、

太刀の鞘尻(さやじり)の刃の方に伏せた短い覆輪(ふくりん)、

を、

芝引(しばびき)、

という(広辞苑・精選版日本国語大辞典)。

「覆輪(ふくりん)」というのは、

伏輪、

とも当て、

へりぐり、
綾裏、

ともいい(大言海)、

刀の鐔(つば)や馬の鞍(くら)、天目茶碗(てんもくぢゃわん)など種々の器物の周縁を金属(鍍金 ときん 鍍銀)の類で細長く覆って損壊に備え、あわせて装飾を兼ねたもの、

をいう(日本大百科全書)。鍍金を用いたものを、

金覆輪、
または、
黄覆輪(きぶくりん)、

鍍銀を用いたものを、

銀覆輪
または、
白(しろ)覆輪、

とう(仝上)。また女性の衣服の袖口(そでぐち)などを、別布で細く縁どったものを、

袖覆輪、

といい、歌舞伎の衣装にも、袖口に織物、朱珍、繍(ぬい)などの、模様の異なる布地をつけたものがある(仝上)とある。甲冑(かっちゅう)・太刀なども、金・銀・錫すずなどで縁取りし、飾りや補強とした(デジタル大辞泉)。

なお、「かたな」、「太刀」で触れたように、「太刀(たち)」は、

太刀(たち)とは、日本刀のうち刃長がおおむね2尺(約60cm)以上で、太刀緒を用いて腰から下げるかたちで佩用(はいよう)するもの、

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E5%88%80

腰に佩くもの、

を指す。腰に差すのは、

打刀(うちがたな)、

と言われ、打刀は、

主に馬上合戦用の太刀とは違い、主に徒戦(かちいくさ:徒歩で行う戦闘)用に作られた刀剣、

とされる(仝上)。馬上では薙刀などの長物より扱いやすいため、南北朝期~室町期(戦国期除く)には騎馬武者(打物騎兵)の主力武器としても利用されたらしいが、騎馬での戦いでは、

打撃効果、

が重視され、「斬る物」より「打つ物」であったという。そして、腰に佩く形式は地上での移動に邪魔なため、戦国時代には打刀にとって代わられた、

とある(仝上)。打刀(うちがたな)、

は、

反りは「京反り」といって、刀身中央でもっとも反った形で、腰に直接帯びたときに抜きやすい反り方である。長さも、成人男性の腕の長さに合わせたものであり、やはり抜きやすいように工夫されている、

とありhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%93%E5%88%80、やはり、これも、

太刀と短刀の中間の様式を持つ刀剣であり、太刀と同じく「打つ」という機能を持った斬撃主体の刀剣である、

という(仝上)。ちなみに、

「通常 30cmまでの刀を短刀、それ以上 60cmまでを脇差、60cm以上のものを打刀または太刀と呼ぶ。打刀は刃を上に向けて腰に差し、太刀は刃を下に向けて腰に吊る。室町時代中期以降、太刀は実戦に用いられることが少い、

とある(ブリタニカ国際大百科事典)。「太刀」と「打刀」の区別は、例外があるが、「茎(なかご)」(刀剣の、柄つかの内部に入る部分)の銘の位置で見分ける。

太刀銘.jpg

刀銘.jpg

(例外はあるが、佩いた状態での表(体の外側に向く方)を「佩表(はきおもて)」と呼び、銘は、茎(なかご 刀身の柄(つか)の中に入れられている部分)の「表」に入れるという原則があるので、「佩表」に刀工の名が刻まれていれば太刀、刃を上にしたときの茎の左側を「差表(さしおもて)」と呼び、こちらに刀工の銘があれば打刀と判断する 
https://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/historystation/rekihaku-meet/seminar/bugu-kacchuu/tk_intro1.html より)

参考文献;
笠間良彦『図説日本甲冑武具事典』(柏書房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 04:11| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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