樵(こ)る
斧取りて丹生の檜山の木こり来て筏に作り真楫(まかじ)貫き礒漕ぎ廻つつ島伝ひ見れども飽かずみ吉野の瀧もとどろに落つる白波(万葉集)、
の、
こる、
は、
樵る、
伐る、
と当て、類聚名義抄(11~12世紀)に、
伐、キル・コル、
とあり、
枝を切ること、
また、
株を残して立木を切る、
意とある(岩波古語辞典)。
樵る、
は、また、
蒭(くさかり)樵(きこ)ること莫なかれ(天武紀)、
と、
きこる、
とも訓ませ、
木伐(こ)る、
の意で、
山林の木を切る、
薪を伐り採る、
意である(広辞苑)
「樵(こ)る」は、
木(コ キ(木の古形)、木の葉、木立など複合語に残る)を活用させた語(雲る、宿る)、或は、、伐(キ)るの転か(黄金(キガネ)、こがね)(大言海)、
「かる(刈)」の交替形、また、「きる(切)」とも関係がある(日本国語大辞典)、
などとあり、類聚名義抄(11~12世紀)の、
伐、キル・コル、
からみると、
伐(キ)る、
切る、
か、
刈(か)る、
の音韻転換の可能性が高い。
樵(きこり)、
木伐(きこり)、
樵(きこ)る、
の名詞形である。
「樵」(漢音ショウ、呉音ジョウ)は、
会意兼形声。「木+音符焦(ショウ もやす、こがす)」で、燃料にするたきぎ、
とあり(漢字源)、
たきぎ、
きこる、
きこり、
の意もある。
参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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