2023年06月20日

六根五内


一乗の峯には住み給へども、六根五内の□位を習ひ給はざれば、舌の所に耳を用ゐる間、身の病となり給ふなりけり(今昔物語)、

とある、

六根五内、

の、

六根、

は、

目、耳、鼻、舌、身、意、

五内、

は、

肝、心、脾、肺、腎、

とある(佐藤謙三校注『今昔物語集』)。

以是功徳、荘厳六根、皆令清浄(法華経)、
六根清徹、無諸悩患(無量寿経)、

とある、

六根(ろくこん・ろっこん)、

は、

根は、能性の義、六境に対して、迷ひの六意識を生ずれば六根といふ、

とある(大言海)。

根機」で触れたように、「根」は、、

根気、
性根、

と使うように、仏教用語の、

能力や知覚をもった器官、

を指し(日本大百科全書)、

サンスクリット語のインドリヤindriyaの漢訳で、原語は能力、機能、器官などの意。植物の根が、成長発展せしめる能力をもっていて枝、幹などを生じるところから根の字が当てられた、

とあり(仝上)、外界の対象をとらえて、心の中に認識作用をおこさせる感覚器官としての、

目、耳、鼻、舌、身、

また、煩悩(ぼんのう)を伏し、悟りに向かわせるすぐれたはたらきを有する能力、

の、

信(しん)根、勤(ごん)根(精進(しょうじん)根)、念(ねん)根(記憶)、定(じょう)根(精神統一)、慧(え)根(知恵)、

をも、

五根(ごこん)、

という(広辞苑・仝上)が、

目、耳、鼻、舌、身、

に、

意根(心)を加えると、

六根、

となる(精選版日本国語大辞典)。仏語で、

六識(ろくとき)、

つまり、

六根をよりどころとする六種の認識の作用、

すなわち、

眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識、

の総称、

つまり、

六界、

による認識のはたらきの六つの対象となる、

六境(ろっきょう)、

つまり、

色境(色や形)、
声境(しょうきょう=言語や音声)、
香境(香り)、
味境(味)、
触境(そっきょう=堅さ・しめりけ・あたたかさなど)、
法境(意識の対象となる一切のものを含む。または上の五境を除いた残りの思想など)、

で、別に、

六塵(ろくじん)、

ともいう対象に対して認識作用のはたらきをおこす場合、その拠り所となる、

六つの認識器官、

である。だから、

眼根・耳根・鼻根・舌根・身根・意根、

といい、

六情、

ともいう(仝上)。

五内(ごだい・ごない)、

は(「だい」は「内」の漢音)、

一念不離、五内爛裂(「三教指帰(797頃)」)、

と、漢方で、

体内にある五つの内臓、

つまり、

五臓(ごぞう 心臓・肝臓・肺臓・腎臓・脾臓)、

の意となる。

をいう。

「根」 漢字.gif


「根」(コン)は、「根機」で触れたように、

会意兼形声。艮(コン)は「目+匕(ナイフ)」の会意文字で、頭蓋骨の目の穴をナイフでえぐったことを示す。目の穴のように、一定のところにとまって取れない意を含む。眼(目の玉の入る穴)の原字。根は「木+音符艮」で、とまって抜けない木の根、

とある(漢字源)が、

木のねもと、ひいて、物事のもとの意を表す、

ともある(角川新字源)。

「内」 漢字.gif

(「内」 https://kakijun.jp/page/0423200.htmlより)


「内」 甲骨文字・殷.png

(「内」 甲骨文字・殷 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%86%85より)

「内」(漢音ダイ、呉音ナイ)は、

会意文字。屋根の形と入とを合わせたもので、おおいのうちにいれることを示す、

とある(漢字源)。

形声。「宀(家)」+音符「入 /*NUP/」。{内 /*nuups/}を表す字。もと「入」が{内}を表す字であったが、「宀」を加えた、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%86%85

会意。入と、冂(けい いえ)とから成り、家に入れる、ひいて、「うち」の意を表す、

とも(角川新字源)、

会意兼形声文字です(冂+入)。「家屋」の象形と「入り口」の象形から家に「はいる」を意味する「内」という漢字が成り立ちました。また、入った中、「うち」の意味も表すようになりました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji236.html。ほぼ同解釈である。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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