2023年08月24日

深沙(しんじゃ)大王


釈迦の御法(みのり)は天竺に、玄奘三蔵ひろむとも、深沙(しんじゃ)大王渡さずば、此の世に佛法なからまし(梁塵秘抄)、

深沙大王、

は、

深沙大将(じんじゃだいしょう)、
深沙神、
奉教鬼、

ともいいhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E6%B2%99%E5%A4%A7%E5%B0%86

玄奘が天竺(てんじく)に赴いたとき、流沙で出あってから名づけられた、

という(精選版日本国語大辞典)、

砂漠で出現して励ましたと伝える護法神(沙悟浄)、

である(デジタル大辞泉)。

砂漠での危難を救うのを本誓とする善神で、疾病を癒し魔事を遠ざける、

といい(仝上)、

観音菩薩の化身、
または、
多聞天の化身、

といい、また法華経行者に仕える、

曠野鬼神、
とも、
央掘摩羅、

とも種々に説かれている(仝上・精選版日本国語大辞典)、

大般若経を守護する十六善神の一つ、

であり、形像は、

腰衣だけ着る力士形の裸形像、

で、

腹部に小児の顔を出現させ、首に髑髏(どくろ)の瓔珞(ようらく)をかける二臂(にひ)の立像、

である。左手に青蛇をつかむ像もある。

大般若経の守護神、

として、大般若十六善神図の中に玄奘三蔵像とともに描かれる場合が多い顕教系の尊像である。単独に造像されることは少ないが、東大寺と横蔵寺(岐阜)の彫像が知られる(世界大百科事典)とある。

深沙大将.jpg


深沙大将の形姿については、

髪を逆立て、眼を見開き、顔の半分もあろうかと思われる大きな口を開け、物凄い形相で、普通では考えも付かないような姿、

をしており、その膝頭から象の顔が出ているhttps://www.reihokan.or.jp/syuzohin/hotoke/ten/jinjya.htmlとある。これは、

象皮(ぞうひ)の面、

といい、象の顔が付いた皮の半ズボン(膝当とも)らしい(仝上)とある。また、

ドクロを胸飾り、

としているのも特徴で、ドクロを飾りとするのは、

大威徳明王・伊舎那天・降三世明王・軍荼利(ぐんだり)明王、

などと同じで、いずれも仏教化される以前の姿を色濃く残しているものと考えることができる(仝上)とある。このドクロの飾りは、

七つのドクロを胸飾り、

としており、玄奘三蔵が七度生まれ代わった、それぞれの頭蓋骨であると伝わる(仝上)とある。

深沙大将(高瀬石仏).jpg

(深沙大将(高瀬石仏) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E6%B2%99%E5%A4%A7%E5%B0%86より)

なお、

十六善神(じゅうろくぜんしん)、

とは、

十六尊の大般若経を守るとされる護法善神、

のことでhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%85%AD%E5%96%84%E7%A5%9E

般若十六善神、
十六大薬叉将、
十六夜叉神、
十六神王、

とも呼ばれ、一説によれば十六善神は、

金剛界曼荼羅外金剛部院にある、護法薬叉の十六大護と同一、

とも、

四天王と十二神将とを合わせたもの、

ともいわれる(仝上)とある。

十六善神の図.jpg

(『十六善神の図』(谷文晁) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%85%AD%E5%96%84%E7%A5%9Eより)

ちなみに、

四天王(してんのう 梵語Caturmahārāja)、

は、「四天王」で触れたが、

六欲天の第1天、
四大王衆天(しだいおうしゅてん、四王天)の主、
大王(しだいおう)、

もいい、

東方の持国天(じこくてん)、
南方の増長天(ぞうちょうてん)、
西方の広目天(こうもくてん)、
北方の多聞天(たもんてん)、

の四神、それぞれ須弥山・中腹に在る四天王天の四方にて仏法僧を守護し、須弥山頂上の忉利天(とうりてん)に住む帝釈天に仕え、八部鬼衆を所属支配し、その中腹で共に仏法を守護するhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%A4%A9%E7%8E%8Bとある。

また、

十二神将(じゅうにしんしょう)、

は、

十二薬叉大将(じゅうにやくしゃだいしょう)、
十二神王、

ともいい、

薬師如来の名号を聞いて仏教に帰依し、薬師経を受持する者や読誦する者を守護し、願いを遂げさせるという一二の大将、

で、

薬師如来(やくしにょらい)の12の眷属(けんぞく または分身)で、8万4000あるうちの上首に位置する、

とされ(日本大百科全書)、その出現のようすは、

薬師如来の12の大願に順応して現れる、

といい、

宮毘羅(くびら)、
伐折羅(ばさら)、
迷企羅(めいきら)、
安底羅(あんちら)、
摩儞羅(まにら)、
珊底羅(さんちら)、
因陀羅(いんだら)、
婆夷羅(ばいら)、
摩虎羅(まこら)、
真達羅(しんだら)、
招杜羅(しょうとら)、
毘羯羅(びから)

の大将で、いずれも憤怒形で、名称は『薬師経』に、身色や持ち物は『七仏本願経儀軌供養法(しちぶつほんがんきょうぎきくようほう)』に基づく(仝上)という。梵語では、例えば、

伐折羅、

は、

ヴァジュローマハーヤクシャセーナパティ、

であり、

ヴァジュラ(という神格の)偉大なヤクシャの軍の主、すなわち大夜叉将軍=神将、

と意訳される。元々は、

夜叉であったが、仏と仏法の真理に降伏し善神となって仏と信者を守護する、

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E7%A5%9E%E5%B0%86・精選版日本国語大辞典)。

新薬師寺の十二神将像.jpg

(新薬師寺の十二神将像 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E7%A5%9E%E5%B0%86より)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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