2023年08月28日

梵天


母、子を慈(うつくし)び、因りて自から梵天に生まる(日本霊異記)、

の、

梵天、

は、「大梵天」で触れたように、

梵語Brahmā、

の訳で、

大梵天、
梵天王、
梵王、

ともいい、

インドの古代宗教で、世界の創造主として尊崇された神。古代インド思想で宇宙の根源とされるブラフマン(梵)を神格化したヒンドゥー教の三神(ブラフマーとヴィシュヌとシヴァという3つの様相をもつ三神一体)の一つ、

であるが、仏教に転じて、

色界の初禅天の主、

として、帝釈天と並んで諸天の最高位を占め、仏法の守護神とされる(広辞苑)。

ブラフマー.jpg

(知識と宇宙の創造者ブラフマーhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%BCより)


梵天(精選版日本国語大辞典).bmp

(梵天 精選版日本国語大辞典より)


帝釈天(左)と梵天(右).jpg

(帝釈天(左)と梵天(右) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%B5%E5%A4%A9より)

密教では十二天の一つとされるが、「大梵天」で触れたように、

十二天、

は、

仏教の護法善神である「天部」の諸尊12種の総称、

で、十二天のうち、特に八方、

東西南北の四方と東北・東南・西北・西南、

を護る諸尊を、

八方天、

あるいは、

護世八方天といい、更に、

天地を護る諸尊、

を加えて、

十天、

ともいうhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%A4%A9。すなわち、

東方の帝釈天(たいしゃくてん インドラIndra)、
南方の焔魔天(えんまてん ヤマYama)、
西方の水天(バルナVaruna)、
北方の毘沙門天(びしゃもんてん バイシュラバナVaiśravaa、クベーラKuvera)、
東南方の火天(アグニAgni)、
西南方の羅刹天(らせつてん ラークシャサRākasa)、
西北方の風天(バーユVāyu)、
東北方の伊舎那天(いしゃなてん イーシャーナĪśāna)、
上方の梵天(ぼんてん ブラフマーBrahmā)、
下方の地天(ちてん プリティビーPthivī)、
日天(にってん スーリヤSūrya)、
月天(がってん チャンドラCandra)、

をいう(日本大百科全書)。

十二天の内の梵天像.jpg

(十二天の内の梵天像 https://www.reihokan.or.jp/syuzohin/hotoke/ten/bonten.htmlより)

「梵天」は、日本では転じて、

ぼんでん、

ともいい、

幣束(へいそく)、

の、祭礼や修験道の祈祷に用い(広辞苑)、

梵天に奉る、

意で(大言海)、

此は卯月といふしでの、ぼんでんすごく立てならに(歌謡「落葉集(1704)」)、

と、

修験道(しゅげんどう)で祈祷に用いる幣束(へいそく)、

や、

棒の先から御幣を垂れ下げたもの。ほて(占有標)の意が梵天の語と結びついたもので、神の依代(よりしろ)を示す、

や、

秋田県その他で、ぼんでん祭りといい、杉丸太に大きな御幣をつけ、火消しの纏(まとい)状にしたものを土地の神社に担ぎ込んで奉納する、

等々の意でつかう(精選版日本国語大辞典)。

梵天 修験道.jpg



ぼんでん祭り.jpg

(ぼんでん祭り(秋田県横手市) 日本大百科全書より)


さらに、

幣束を棒の先に多く刺したもの、

をもいい、

江戸市中で、端午(たんご)の節供に町々の若者が多く作り、山伏を大勢雇いほら貝を吹かせ、家々に配って魔除けとして軒にささせたもの、

や、江戸時代、

風神、悪魔、虫などを追い払うための一種の幣束、

で、

飛脚などの往来や参宮に持参するほか、祭礼の際に振りながら持って歩いたり、村境に建てたりする、

ものにもいった(精選版日本国語大辞典)。

梵天(虫よけ).bmp

(梵天 精選版日本国語大辞典より)

さらに、近世、劇場正面入り口の屋上に設けた、櫓(やぐら)の左右に立てた二本の招(まねき)、

は、

梵天王、

をまつり、官許のしるしとした(仝上)。

歌舞伎座の櫓.jpg

(歌舞伎座の櫓 https://www.kabuki-bito.jp/news/2061より)

さらに、

漁具につける浮標(ブイ)、

で、

延縄(ハエナワ)や流し網などにつけるガラス球の類、

をもいう(仝上)が、これは、「梵天」からではなく、

ボンテンウリ、

に似ているからhttps://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12104213802らしい。

ガラス玉・梵天.jpg

(漁業用ブイ・梵天 https://aucview.aucfan.com/yahoo/d154452728/より)

ボンデンウリ.jpg


ぼんてんうり、

は、

又就中署宅盤礴喫梵天瓜茶話(「蔭凉軒日録」文明一八年(1486)六月一六日)、

と、

梵天瓜、

と当て、

ぼんでんうり、

ともいい、

マクワウリの異名、

だが、

皮は白いタイプ、

とある(仝上)。

慈覚大師、病中、夢に梵天王より薬を賜り、其の一片を地に播きて、此の瓜を得たるより名づく(醒睡笑)、

とある(大言海)。

胎蔵曼荼羅中の梵天像.jpg

(胎蔵曼荼羅中の梵天像 https://www.reihokan.or.jp/syuzohin/hotoke/ten/bonten.htmlより)

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:27| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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