神のめでたく現ずるは、金剛蔵王はく王大菩薩、西宮、祇園天神大将軍、日吉山王賀茂上下(梁塵秘抄)、
の、
金剛蔵王(こんごうざおう・こんごうぞうおう)、
は、
金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)、
または
金剛蔵王菩薩(こんごうざおうぼさつ)、
の略(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%94%B5%E7%8E%8B%E6%A8%A9%E7%8F%BE)、
蔵王菩薩、
蔵王権現、
ともいい、
蔵とは、胎蔵界曼荼羅圖の中に、虚空蔵院と云ふ区画あり、其内に居る故の名なりとオボシ、
と(大言海)、
胎蔵界曼荼羅虚空蔵院の最右端に位し、千手観音と対して虚空蔵菩薩の智門を表す菩薩、
で(大辞林)、
百八臂(ひゃくはっぴ)で108の煩悩を打ち砕くことを表す、
とあり(仝上・広辞苑・精選版日本国語大辞典)、像は、
青黒色、十六面または十二面で一百八臂(ピ)、
である(仝上)。
金剛薩埵の変化身、
とするほか、
蔵王権現さまは、釈迦如来・千手観世音菩薩・弥勒菩薩の変化されたお姿(権現)、
とか(https://sakuramotobou.or.jp/about/kongo-zao-daigongen.html)、
釈迦如来、千手観音、弥勒菩薩の三尊の合体したもの、
とか(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%94%B5%E7%8E%8B%E6%A8%A9%E7%8F%BE)、様々に菩薩を当てる説があるが、
日本独自の山嶽仏教である修験道の本尊、
であり、
インドに起源を持たない日本独自の仏、
で(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%94%B5%E7%8E%8B%E6%A8%A9%E7%8F%BE)、奈良県吉野町の金峯山寺本堂(蔵王堂)の本尊として知られる(仝上)。「金剛蔵王」は、
究極不滅の真理を体現し、あらゆるものを司る王、
という意、「権現」は、
権(かり)の姿で現れた神仏、
の意。仏、菩薩、諸尊、諸天善神、天神地祇すべての力を包括しているという(仝上)。
(金剛権現 精選版日本国語大辞典より)
奈良時代の呪術者(じゅじゅつしゃ)役小角(えんのおづぬ)が、奈良県金峰山(きんぶせん)上で難行苦行ののち、感得したと伝える悪魔降伏(ごうぶく)の忿怒(ふんぬ)相の像、
とされ(日本大百科全書)、
三目の顔で怒髪(どはつ)天をつき、右手は三鈷杵(さんこしょ)を握って高く振り上げ、左手は剣印を結んで腰部に当て、右足を振り上げ、左足のみにて岩石上に立つ、
形をとる。奈良県吉野の金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂の本尊のほか、修験道(しゅげんどう)の伝播(でんぱ)とともに、各地の寺院に存在するが、この像の成立は、
平安中期、
とみられる(仝上)とある。修験道では険峻(けんしゅん)な山で忍苦の行(ぎょう)をし、心中の悪魔を降伏して験力を得ようとするが、そのようななかから生み出されたもので、
経軌(きょうき 経典や儀軌)、
によるものではない(仝上)。
胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)、
は、
金剛界曼荼羅、
に対するもので、二つの曼荼羅を合わせて、
両界曼荼羅、
または、
両部曼荼羅、
と称し、
「胎蔵」は客体、「金剛」は主体、
表現である(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E7%95%8C%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85)とされる。
サンスクリット語で、
ガルバコーシャ・マンダラGarbha-kośa maala、
といい、
大悲胎蔵生(だいひたいぞうしょう)曼荼羅、
理曼荼羅、
因曼荼羅、
東曼荼羅。、
と漢訳する。『大日経(だいにちきょう)』具縁品(ぐえんぼん)の所説の大曼荼羅を基調とし、現図は、
十二大院、
からなる。その構図は、
左右(南北)は三重、
上下(東西)は四重、
からなり、
上(天)を東方、
とする。中央は十二大院の中心である、
中胎八葉院、
を配し、八葉蓮弁(れんべん)を土台とし、その中心に、
大日如来(にょらい)、
各蓮弁に、
四仏(宝幢如来、開敷華王如来、無量寿如来、天鼓雷音如来)、
四菩薩(普賢菩薩、文殊師利菩薩、観自在菩薩、慈氏菩薩)、
を配し、その四周を、
遍知院、持明院、釈迦院、虚空蔵院、文殊院、蘇悉地(そしつじ)院、蓮華部院、地蔵院、金剛手院、除蓋障(じょがいしょう)院、
が、それぞれ同心円状にめぐり、これらすべてを囲む外周に、
外金剛部(げこんごうぶ)院、またの名は最外(さいげ)院、
が位置し(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E7%95%8C%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85)、全体で、
計414尊、
を描く(日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典・精選版日本国語大辞典)とある。
虚空蔵院(こくぞういん)、
は胎蔵曼荼羅の下部(蓮華部院・持明院・金剛手院の下)に位置する区画(院)で、中央の、
虚空蔵菩薩、
を主尊とし、左端に、
千手千眼観自在菩薩、
右端に、
一百八臂金剛蔵王菩薩、
を配し、
左側上5尊・下4尊、
右側上5尊・下5尊、
の合計22尊が位置する(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%9A%E7%A9%BA%E8%94%B5%E9%99%A2)とある。
参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95