2023年09月20日
僧伽
摩犂山(まれいさん)のこねにこそ、かうふてゐる蒔き直し、僧伽(そうぎや)の種(たね)に生(お)いにけり、やうれ香(かう)とぞ匂ふなる(梁塵秘抄)、
の、
僧伽、
は、
そうが、
とも訓ませ、梵語、
saṃgha(サンガ)、
の音訳、
集団・会合。
の意(デジタル大辞泉)で、
和合衆、
衆、
と訳し(広辞苑・大辞林)、
和合僧、
僧祇(そうぎ)、
ともいい、
僧といふは略言なり。つぶさには僧伽といふ。梵言の僧伽、ここには衆和合といふ(「十善法語(1775)」)、
と、略して、
僧、
ともいう。普通は、
仏教修行者の集団、
僧侶の集団、
の意で、
四人以上の和合体、
をさすが、広義には、
在家を含む仏教教団全体、
をいうこともある(精選版日本国語大辞典)。
saṃgha(サンガ)、
は、政治史の上では、
古代インドの部族共和制国家、
の呼称として用いられる。
部族共和制国家、
とは、
専制王をもたず、部族集会で選出された首長や代表者に行政権がゆだねられる国家をいう。同じく集団を意味するガナgaṇaの名でも呼ばれ、英語ではリパブリックrepublicと訳される。仏教成立時代のリッチャビ族や釈迦(シャーキヤ)族の国家は、この種の国家を代表するものである、
とある(世界大百科事典)が、インドで古く、
商工業者たちの組合団体、
を意味し(世界大百科事典)、それが、
仏教教団、
をさす名称となった。厳密な意味での「サンガ(僧伽)」は、
仏法を信じ、仏道を実践する、少なくとも4人以上、
で構成される、
男子出家集団(比丘(びく)僧伽)、
女性出家集団(比丘尼(びくに)僧伽)、
であり、男女在家(ざいけ)信者を含む教団全体、
パリシャド(四衆)、
と区別されてきたが、明治以後の日本では、在俗の男女信者を含んだ仏教集団全体も「僧伽」と呼ばれるようになっている(山川世界史小辞典)とある。「サンガ」は元来、
集団、共同体、
の意味で、
修行者の集り、教団、
を指すが、中国では転じて、
個々の修行者、
を、
僧、
とよぶにいたり、その、
複数形をあらわす僧侶、
が、日本では個人を指す語に転化した(世界大百科事典)とある。いわゆる、
仏法僧、
と訳される、
三宝(さんぼう 仏(ほとけ)・法(ほとけの教え)と僧(ほとけに従う弟子たちの集団))、
の、
僧、
は、
僧伽の略、
であるから、個々の僧を指していたのではない(仝上)。
因みに、
仏陀(釈迦)と法(ダルマ)と僧伽(そうぎゃ、さんが)、
を指す、
三宝(さんぽう)、
は、梵語、
tri-ratna、
あるいは
ratna-traya、
の訳語、、『宝性論』では、この三つが、
①世の中に稀有なものであり、②清らかで、③力を備え、④出世間を荘厳し、⑤最上の存在であり、⑥移り変わらないという六点を具える、
から宝とすると説き、大乗の『涅槃経』、『南本涅槃経』、や『維摩経』などは、
仏は、すなわち是れ法、法はすなわち是れ僧なり、
と、
仏・法・僧が実は本性として等しい、
と主張する(http://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E4%B8%89%E5%AE%9D)。
「僧」(ソウ)は、
形声。「人+音符曾(ソウ 曽)で、梵語を音訳するために作られた字。後漢には「桑門」と書き、三国時代以後には、「僧」と書く、
とある(漢字源)。
「伽」(慣用カ・ガ、漢音キャ、呉音ギャ)は、
形声。「人+音符加」、梵語のガの音を、音訳するために作られた字。「伽藍」「伽羅」などに使う、
とある(漢字源)。
参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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