方等(ほうどう)


大集方等は秋の山、四教の紅葉は色色に、たんかほうゑは濃く淡く、随類毎にぞ染めてける(梁塵秘抄)、

の、

四教(しきょう)、

は、

且四教、本諸先王立論、則変風乃文周所不知、厪厪二南可以尽詩乎(礼記)、

と、

詩・書・礼・楽の四つの教え、

をいうが、論語では、

子以四教、文行忠信(子は四(し)を以て教う。文・行・忠・信)、

と、

文(学問)・行(実践)・忠(誠実)・信(信義)の四つの教え、

をいい、礼記では、

教以婦徳・婦言・婦容・婦功、

と、女性の守るべき四つの教えとして、

婦徳・婦言・婦容・婦功、

の四徳をいい、仏教では、

釈迦一代の教説を四種に整理したもの、

をいい、それには、天台智顗(「摩訶止観」で触れた)の、

蔵教・通教・別教・円教(化法(けほう)の四教)、
頓教・漸教・秘密教・不定教(化儀(けぎ)の四教)、
四諦教・無相教・法相教・観行教(隋・笈多(ぎゅうた)による)、

など、数種の分類がある(精選版日本国語大辞典・デジタル大辞泉)。

大集方等、

とあるのは、

方等大集経(だいほうどうだいじっきょう)、

を指すと思われる。

大方等大集経(だいほうどうだいじっきょう)、

は、

大集経(だいじっきょう・だいしゅうきょう)、
方等経、

ともいい、一般には、

大乗経典の別名、

ともされるが、

中期大乗仏教経典の1つ、

で、釋迦が、

仏・欲色二界の中間において、十方の仏菩薩を集めて大乗の法を説かれたもの、

とされる(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9B%86%E7%B5%8C・精選版日本国語大辞典)。

弾呵でも触れたが、

方等(ほうどう)、

は、梵語、

Vaipulya、

の訳で、

方は「広く」、等は「等しい」、

の意味であり、

毘仏略(びぶつりゃく)、
毘富羅、
為頭羅、

と音写する。

広、方広、広大、無比、

とも訳すhttp://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E6%96%B9%E7%AD%89。一般には、

大乗あるいは大乗経典、

をさし、原始仏教経典の分類においては、基本的な型である、

九部経・十二部経、

の一つである(仝上)とされる。九部経・十二部経、については、「弾呵」で触れたが、

十二部経(じゅうにぶきょう サンスクリット語: dvādaśāṅgadharmapravacana)、

は、仏教の経典の形態を形式、内容から12種に分類したものをいい、

修多羅(しゅたら、sūtra、契経(かいきょう)教説を直接散文で述べたもの)、
祇夜(ぎや、geya、重頌(じゅうじゅ)散文の教説の内容を韻文で重説したもの)、
和伽羅(わがらな、vyākaraṇa、授記仏弟子の未来について証言を述べたもの)、
伽陀(かだ、gāthā、諷頌(ふじゅ)/偈 最初から独立して韻文で述べたもの)、
優陀那(うだな、udāna、自説経 質問なしに仏がみずから進んで教説を述べたもの)、
伊帝曰多伽(いていわったか、ityuktaka、itivr̥ttaka、本事(ほんじ)、如是語とも 仏弟子の過去世の行為を述べたもの)、
闍多(じゃーたか、jātaka、本生(ほんじょう)仏の過去世の修行を述べたもの)、
毘仏略(びぶつりゃく、vaipulya、パーリ語: vedalla、方広(ほうこう)広く深い意味を述べたもの)、
阿浮陀達磨(あぶだだつま、adbhutadharma、未曾有法(みぞうほう)仏の神秘的なことや功徳を嘆じたもの)、
尼陀那(にだな、nidāna、因縁)経や律の由来を述べたもの)、
阿婆陀那(あばだな、avadāna、譬喩(ひゆ)教説を譬喩で述べたもの)、
優婆提舎(うばだいしゃ、upadeśa、論議 教説を解説したもの)、

で、9種の分類法、

九部経、

がより古い形態とされている(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E9%83%A8%E7%B5%8C・ブリタニカ国際大百科事典)。

十二分教(じゅうにぶんきょう)、
十二分聖教(じゅうにぶんしょうぎょう)、

ともいう(仝上)。

大方等大集経、

は、

六十巻、

前二十六巻と「日密分(にちみつぶん)」三巻は北涼の曇無讖(どんむしん)訳、「無尽意品(むじんいぼん)」四巻は智厳(ちごん)・宝雲(ほううん)共訳、「日蔵分(にちぞうぶん)」十二巻「月蔵分(がつぞうぶん)」十一巻「須弥蔵分(しゅみぞうぶん)」二巻は隋の那連提耶舎(なれんだいやしゃ)訳とされ、隋の僧就(そうじゅ)がまとめた、

とされhttp://labo.wikidharma.org/index.php/%E5%A4%A7%E9%9B%86%E7%B5%8C、「月蔵分」巻十には、

五箇五百年(釈尊滅後の仏教の展開を五種の五百年に区切って表すもの)、

をあげ、末法のすがたを説く(http://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E5%A4%A7%E9%9B%86%E6%9C%88%E8%94%B5%E7%B5%8C・仝上)とある。

梵漢両字阿弥陀経.jpg

(『梵漢両字阿弥陀経』(安永2年(1773年)の刊本) 梵字によるサンスクリット語原文を中心に、右脇にカタカナで発音を、左脇に漢字で意味を示す https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E5%BC%A5%E9%99%80%E7%B5%8Cより)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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