2023年09月24日

方等(ほうどう)


大集方等は秋の山、四教の紅葉は色色に、たんかほうゑは濃く淡く、随類毎にぞ染めてける(梁塵秘抄)、

の、

四教(しきょう)、

は、

且四教、本諸先王立論、則変風乃文周所不知、厪厪二南可以尽詩乎(礼記)、

と、

詩・書・礼・楽の四つの教え、

をいうが、論語では、

子以四教、文行忠信(子は四(し)を以て教う。文・行・忠・信)、

と、

文(学問)・行(実践)・忠(誠実)・信(信義)の四つの教え、

をいい、礼記では、

教以婦徳・婦言・婦容・婦功、

と、女性の守るべき四つの教えとして、

婦徳・婦言・婦容・婦功、

の四徳をいい、仏教では、

釈迦一代の教説を四種に整理したもの、

をいい、それには、天台智顗(「摩訶止観」で触れた)の、

蔵教・通教・別教・円教(化法(けほう)の四教)、
頓教・漸教・秘密教・不定教(化儀(けぎ)の四教)、
四諦教・無相教・法相教・観行教(隋・笈多(ぎゅうた)による)、

など、数種の分類がある(精選版日本国語大辞典・デジタル大辞泉)。

大集方等、

とあるのは、

方等大集経(だいほうどうだいじっきょう)、

を指すと思われる。

大方等大集経(だいほうどうだいじっきょう)、

は、

大集経(だいじっきょう・だいしゅうきょう)、
方等経、

ともいい、一般には、

大乗経典の別名、

ともされるが、

中期大乗仏教経典の1つ、

で、釋迦が、

仏・欲色二界の中間において、十方の仏菩薩を集めて大乗の法を説かれたもの、

とされる(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9B%86%E7%B5%8C・精選版日本国語大辞典)。

弾呵でも触れたが、

方等(ほうどう)、

は、梵語、

Vaipulya、

の訳で、

方は「広く」、等は「等しい」、

の意味であり、

毘仏略(びぶつりゃく)、
毘富羅、
為頭羅、

と音写する。

広、方広、広大、無比、

とも訳すhttp://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E6%96%B9%E7%AD%89。一般には、

大乗あるいは大乗経典、

をさし、原始仏教経典の分類においては、基本的な型である、

九部経・十二部経、

の一つである(仝上)とされる。九部経・十二部経、については、「弾呵」で触れたが、

十二部経(じゅうにぶきょう サンスクリット語: dvādaśāṅgadharmapravacana)、

は、仏教の経典の形態を形式、内容から12種に分類したものをいい、

修多羅(しゅたら、sūtra、契経(かいきょう)教説を直接散文で述べたもの)、
祇夜(ぎや、geya、重頌(じゅうじゅ)散文の教説の内容を韻文で重説したもの)、
和伽羅(わがらな、vyākaraṇa、授記仏弟子の未来について証言を述べたもの)、
伽陀(かだ、gāthā、諷頌(ふじゅ)/偈 最初から独立して韻文で述べたもの)、
優陀那(うだな、udāna、自説経 質問なしに仏がみずから進んで教説を述べたもの)、
伊帝曰多伽(いていわったか、ityuktaka、itivr̥ttaka、本事(ほんじ)、如是語とも 仏弟子の過去世の行為を述べたもの)、
闍多(じゃーたか、jātaka、本生(ほんじょう)仏の過去世の修行を述べたもの)、
毘仏略(びぶつりゃく、vaipulya、パーリ語: vedalla、方広(ほうこう)広く深い意味を述べたもの)、
阿浮陀達磨(あぶだだつま、adbhutadharma、未曾有法(みぞうほう)仏の神秘的なことや功徳を嘆じたもの)、
尼陀那(にだな、nidāna、因縁)経や律の由来を述べたもの)、
阿婆陀那(あばだな、avadāna、譬喩(ひゆ)教説を譬喩で述べたもの)、
優婆提舎(うばだいしゃ、upadeśa、論議 教説を解説したもの)、

で、9種の分類法、

九部経、

がより古い形態とされている(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E9%83%A8%E7%B5%8C・ブリタニカ国際大百科事典)。

十二分教(じゅうにぶんきょう)、
十二分聖教(じゅうにぶんしょうぎょう)、

ともいう(仝上)。

大方等大集経、

は、

六十巻、

前二十六巻と「日密分(にちみつぶん)」三巻は北涼の曇無讖(どんむしん)訳、「無尽意品(むじんいぼん)」四巻は智厳(ちごん)・宝雲(ほううん)共訳、「日蔵分(にちぞうぶん)」十二巻「月蔵分(がつぞうぶん)」十一巻「須弥蔵分(しゅみぞうぶん)」二巻は隋の那連提耶舎(なれんだいやしゃ)訳とされ、隋の僧就(そうじゅ)がまとめた、

とされhttp://labo.wikidharma.org/index.php/%E5%A4%A7%E9%9B%86%E7%B5%8C、「月蔵分」巻十には、

五箇五百年(釈尊滅後の仏教の展開を五種の五百年に区切って表すもの)、

をあげ、末法のすがたを説く(http://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E5%A4%A7%E9%9B%86%E6%9C%88%E8%94%B5%E7%B5%8C・仝上)とある。

梵漢両字阿弥陀経.jpg

(『梵漢両字阿弥陀経』(安永2年(1773年)の刊本) 梵字によるサンスクリット語原文を中心に、右脇にカタカナで発音を、左脇に漢字で意味を示す https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E5%BC%A5%E9%99%80%E7%B5%8Cより)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:49| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください