釈迦の御法(みのり)は唯一つ、一味の雨にぞ似たりける、三草二木は品々(しなじな)に、花咲き實なるぞあはれなる(梁塵秘抄)、
の、
一味の雨、
は、
一味の法の雨、
ともいい、妙法蓮華経薬草喩品第五の、
仏平等説 如一味雨(仏の平等の説は 一味の雨の如し)
随衆生性 所受不同(衆生の性に随って 受くる所不同なること)
如彼草木 所稟各異(彼の草木の 稟(う)くる所各異るが如し)
仏以此喩 方便開示(仏此の喩を以て 方便して開示し)
種種言辞 演説一法(種々の言辞をもって 一法を演説すれども)
於仏智慧 如海一滴(仏の智慧に於ては 海の一滴の如し)
あるいは、
仏所説法(仏の所説の法は)
譬如大雲 以一味雨(譬えば大雲の 一味の雨を以て)
潤於人華 各得成実(人華を潤して 各実成ることを得せしむるが如し)
と(https://www.kosaiji.org/hokke/kaisetsu/hokekyo/3/05.htm)、
雨が一様に草木を潤すように、仏説が広く流布することのたとえ、
とされ(広辞苑)、
一味、
には、仏語として、
我雨法雨 充満世間(我法雨を雨らして 世間に充満す)
一味之法 随力修行(一味の法を 力に随って修行すること)
彼如叢林 薬草諸樹(彼の叢林 薬草諸樹の)
随其大小 漸増茂好(其の大小に随って 漸く増茂して好きが如し)
と(https://www.kosaiji.org/hokke/kaisetsu/hokekyo/3/05.htm)、
仏説は時と所に応じて多様であるが、その本旨は同一であること、
という意味もある(広辞苑)。
三草二木(さんそうにもく)、
は、法華経薬草喩品に説く、
「三草」は上草・中草・下草の三、「二木」は大樹・小樹で、さまざまの植物が、雨の恵みを等しく受けるように、資質の異なる衆生(しゅじょう)が等しく仏陀の教えを受けて悟りをひらくことのたとえ、
とされ、また、
仏陀の教えはただ一つ、すなわち雨は同じであるが、それを受けて育つ植物が種々あるように、衆生の受け取り方はさまざまであるの意ともいう、
とある(精選版日本国語大辞典)。妙法蓮華経薬草喩品第五には、
譬如三千大千世界 山川渓谷土地(譬えば三千大千世界の山川・渓谷・土地に)
所生卉木叢林 及諸薬草 種類若干 名色各異(生いたる所の卉木・叢林及び諸の薬草、種類若干にして名色各異り)
密雲弥布。徧覆三千大千世界(密雲弥布して徧く三千大千世界に覆い)
一時等 (一時に等しくそそぐ)
其沢普洽 卉木叢林 及諸薬草(其の沢遍く卉木・叢林及び諸の薬草の)
小根小茎 小枝小葉 中根中茎 中枝中葉 大根大茎大枝大葉(小根・小茎・小枝・小葉・中根・中茎・中枝・中葉・大根・大茎・大枝・大葉に洽う)
諸樹大小 随上中下 各有所受(諸樹の大小、上中下に随って各受くる所あり)
一雲所雨。称其種性。而得生長。華果敷実(一雲の雨らす所、其の種性に称うて生長することを得て、華果敷け実なる)
とある(https://www.nichiren.or.jp/glossary/id156/)。
(移動する雨雲と雨筋 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A8より)
この、
三草二木の喩え、
は、「窮子」で触れたように、
法華七喩(ほっけしちゆ)、
の一つである。「七喩」とは、法華経に説く、
七つのたとえ話、
で、
法華七譬(しちひ)、
ともいい、三草二木(さんそうにもく)の他、
三車火宅(さんしゃかたく、譬喩品 「大白牛車(だいびゃくぎっしゃ)」で触れた)
長者窮子(ちょうじゃぐうじ、信解品 「窮子」で触れた)
化城宝処(けじょうほうしょ、化城喩品)
衣裏繋珠(えりけいじゅ、五百弟子受記品)
髻中明珠(けいちゅうみょうしゅ、安楽行品)
良医病子(ろういびょうし、如来寿量品)
がある(http://www2.odn.ne.jp/nehan/page024.html・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E8%8F%AF%E4%B8%83%E5%96%A9)。
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95