2023年12月02日

南無


南無さん、よいの相談をきいたかしてのいた(狂言記「磁石」)、

の、

南無三、

は、

げに何事も一睡の夢、南無三宝(謡曲「邯鄲」)、

と、

南無三宝(なむさんぼう)の略、

で、

仏に帰依(きえ)を誓って、救いを求めること、

で、転じて、

南無三、しくじった、

などと、

突然起こったことに驚いたり、しくじったりしたときに発する言葉。、

として使ったりする(広辞苑・精選版日本国語大辞典)。

三宝、

は、

仏法僧、

つまり、

仏と仏の教えと教えを広める僧、

のことである(「僧伽」で触れた)。

南無、

は、梵語、

Namas、

の音写、

南摩、
納莫(ノウマク)、
南謨、

とも音写し(デジタル大辞泉)、室町時代の「文明本節用集」には

南無、ナム、帰命語也救我也敬順也又南謨南芒南牟南膜南麽納無南莫南忙曩謨那蒙、

とあるようにいろいろな漢字を当てるが、

Namas、

は、

頭を下げる、
お辞儀をする、

の意味であり、

敬礼(きょうらい)、
帰命(きみょう)、

と訳し、

帰依すること、
信を捧げること、

の意で、翻訳名義集(南宋代の梵漢辞典)には、

南無、或那謨、或南摩、此翻帰命、要律儀、翻恭敬、善見論、翻帰命覚、或翻信徒

とあり、善導が、

「南無」と言うは、すなわちこれ帰命、またこれ発願回向の義(観経疏)、

と釈すように、

尊いものへの信頼や敬意を表す語、

であり、

南無阿弥陀、
南無帰命頂礼、
南無妙法蓮華経、
南無八幡大菩薩、、

などと、

南無~、

の形で、

~に帰依する、

ことを表すhttp://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E5%8D%97%E7%84%A1。現代のヒンディー語では、「こんにちは」を、

ナマステー(namaste)、

というが、直訳すると、

「あなたに(te)帰依する(namas)」の意であり、南無(namas)の語が現代インドにおいても息づいている(仝上)とある。

南無阿弥陀仏、

というと、

阿弥陀仏に帰命するの意で、これを唱えるのを、

念仏、

といい、それによって極楽に往生できるという。

六字の名号(みょうごう)、

ともいう(広辞苑)。これを洒落て、

南無阿弥豆腐、

というと、

豆腐の異称、

で、

禅僧が多く豆腐を食べることから、また、その念仏の声のナムオミドウと聞こえる、

ことから南無阿弥陀仏にかけたことばである(仝上)。

南無妙法蓮華経(なむ‐みょうほうれんげきょう)、

は、

妙法蓮華経に帰依する、

意で、これを唱えれば、真理に帰依して成仏するといい、

題目、
本門の題目、
七字の題目、
御題目、

などともいう(仝上・デジタル大辞泉)。

南無帰命、

は、強調した形で、

梵語namas(南無)とその漢訳語「帰命」を重ねた語、

で、

心から帰依する、

意になる。

南無帰命頂礼(なむきみょうちょうらい)、

は、

三宝(さんぼう)に帰依して仏足を頭に戴いて礼拝する意を表す、

語になる(仝上)。

「南」 漢字.gif

(「南」 https://kakijun.jp/page/0920200.htmlより)


「南」 甲骨文字・殷.png

(「南」 甲骨文字・殷 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%8D%97より)

「南」(漢音ダン、呉音ナン、慣用ナ)は、

会意兼形声。原字は、納屋ふうの小屋を描いた象形文字。入の逆形が二線さしこんださまで、入れ込む意を含む。それが音符となり、屮(くさのめ)とかこいのしるしを加えたのが南の字。草木を囲いで囲って、暖かい小屋の中に入れこみ、促成栽培をするさまを示し、囲まれて暖かい意、転じて取り囲む南がわを意味する。北中国の家は北に背を向け、南に面するのが原則、

とあり(漢字源)、

象形。鐘状の楽器を木の枝に掛けた形にかたどる。南方の民族が使っていた楽器であったことから、「みなみ」の意を表す、

とも(角川新字源)、

会意文字です。「草」の象形と「入り口」の象形(「入る」の意味)と「風をはらむ帆」の象形(「風」の意味)から春、草・木の発芽を促す南からの風の意味を表し、そこから、「みなみ」を意味する「南」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji150.htmlが、

『説文解字』では「𣎵」+「𢆉」と分析されているほか、鐘に類する楽器の象形という説、「屮」+「丹」と分析する説もあるが、いずれも甲骨文字の形とは一致しない誤った分析である、

とありhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%8D%97、上記三説は、何れも間違いで、

象形。「同」(祭器のひとつ)に祭品を備えた形を象る。のち仮借して「みなみ」を意味する漢語{南 /*nəəm/}に用いる、

とする(仝上)。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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