2024年02月28日

をがたまの木


みよしのの吉野の滝に浮かびいづる泡をか玉の消ゆと見つらむ(古今和歌集)、

は、

をか玉の消ゆ、

に、

をがたま、

を詠みこんでいる。

をがたま、

は、

古今三木(さんぼく)、

のひとつ、

古今伝授の秘説、

とされる、

モクレン科の常緑高木、

とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。

ヲガタマ、

は、多く、

ヲガタマノキ、

と呼ばれ(日本国語大辞典)、古今伝授では、

榊の異名、

とされる(岩波古語辞典)。で、

ヲガタマノキ、

は、

小賀玉榊(オガタマサカキ)、

という異名を持つ(動植物名よみかた辞典)。

古今伝授(こきんでんじゅ)の三種の木は、

をがたまの木、
めどにけづり花、
かはな草、

をいうが、他に、

をがたまの木、
さがりごけ、
かはな草、

とも、

相生(あいおい)の松、
めどにけづり花、
をがたまの木、

とも、

をがたまの木、
とし木、
めど木、

ともあり、諸説があって一定しない(精選版日本国語大辞典)。また、古今伝授で、解釈上の秘伝とされた、

三種の草、

というのもあり、異伝があるが、

めどにけずりばな、
かわなぐさ、
さがりごけ、

をさし、「さがりごけ」のかわりに「おがたまの木」を入れた三木とも関連深い(仝上)とある。

オガタマノキ.jpg



オガタマノキの葉.jpg



オガタマノキ 花.jpg

(オガタマノキの花 https://matsue-hana.com/hana/ogatamanoki.htmlより)

をがたまの木、

は、

小賀玉木、
黄心樹、
招霊木、

などと当て(広辞苑・日本大百科全書)、

モクレン科の常緑高木。日本南西部の暖地に自生。高さ18メートルに達する。樹皮は暗緑色で平滑。葉は長楕円形で、光沢ある革質。春、葉腋にやや紫色を帯びた白色の小花を開き、芳香がある。果実は集まって球果状。材は床柱または器具とし、葉は香料、

とある(広辞苑)。古来、

榊(サカキ)の代用、

とし(大辞泉)、神社の境内によく植えられている(世界大百科事典)。

招靈(ヲキタマ)の転、神霊を招禱(ヲキ)奉るものなれば云ふ(大言海)、
招霊(おきたま)が転じてオガタマの名になった(世界大百科事典)、
招魂(ヲギタマ)の義(和訓栞)、

等々が、その由来とされる。因みに、

大賀玉の木(おがたまのき)、

と呼ばれる正月の飾りは、邪気を払うために1月14日の夜に門前や門松に、

クルミ、
や、
ネムノキの枝、

を飾ったものであるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AC%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%8E%E3%82%AD

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:25| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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