2024年04月16日

丹青


丹青不知老将至(丹青 老いの将(まさ)に至らんとするを知らず)
富貴於我如浮雲(富貴は我に於て浮雲(ふうん)の如し)(杜甫・丹青引贈曹将軍覇)

の、

丹青、

は、

赤と青、

で、

絵画をいう(前野直彬注解『唐詩選』)とある。

丹青(たんせい)、

は、

丹砂と青雘(せいわく)、すなわち赤の絵具の材料になる石と青の絵具の材料になる土、

を指し、そこから、また、

赤い色と青い色、

をも意味する(精選版日本国語大辞典)。

丹碧、

ともいう(仝上)。転じて、

雖竹帛所載、丹青所畫、何以過子卿(漢書・蘇武傳)、

と、

絵具、
絵具の色、

で、

絵具を塗ること、
彩色、

の意で使い(仝上)、さらに、

毎疑丹青過實、今観此景、乃知良工苦心(客越志)、

と、

彩色畫、

の意でも使う(字源)。日葡辞書(1603~04)には、

タンゼイ、エヲカク、

とあり(広辞苑)、

たんぜい、

とも訓み、

而習丹青之業以来、不致朝夕之恪勤(漢書・蘇武伝)、

と、

絵画、

また、

絵を描くこと、

の意でも使い(精選版日本国語大辞典)、当然ながら、

見嵩大師所持梵才三蔵真影。三蔵自作偈。小師徳嵩写予真乞讚。以偈答之。爾命丹青。絵予之相(「参天台五台山記(1072‐73)」)、

と、

絵を描く人、
画家、

意でも使う(仝上)。

まごころ、
不変のもの、
簡札、
歴史の書、

の意もある(字通)とあり、宋の文天祥「正気の歌」では、

天地有正気
雑然賦流形
下則為河獄
上則為日星
於人為浩然
沛乎塞蒼冥
皇路当清夷
含和吐明庭
時窮節乃見
一一垂丹青、

と、

歴史の書、

の意で使っている。

「丹」.gif

(「丹」 https://kakijun.jp/page/0405200.htmlより)

「丹」 甲骨文字・殷.png

(「丹」 甲骨文字・殷 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%B8%B9より)

「丹」(タン)は、

会意文字。土中に掘った井型のわくの中から、赤い丹砂が現れ出るさまを示すもので、あかい物があらわれ出ることをあらわす。旃(セン 赤い旗)の音符となる、

とある(漢字源)が、

会意。「井」+「丶」、木枠で囲んだ穴(丹井)から赤い丹砂が掘り出される様、

https://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%B8%B9、会意文字とも、

象形。採掘坑からほりだされた丹砂(朱色の鉱物)の形にかたどる。丹砂、ひいて、あかい色や顔料の意を表す、

とも(角川新字源)、

象形文字です。「丹砂(水銀と硫黄が化合した赤色の鉱石)を採掘する井戸」の象形から、「丹砂」、「赤色の土」、「濃い赤色」を意味する「丹」という漢字が成り立ちました、

https://okjiten.jp/kanji1213.html、象形文字ともある。

参考文献;
冨谷至『中国義士伝』(中公新書)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前野直彬注解『唐詩選』(岩波文庫)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:25| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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