2024年05月16日

白露


金天方粛殺(金天 方(まさ)に粛殺)、
白露始専征(白露(はくろ) 始めて専征す)(陳子昂・送別崔著作東征)

の、

金天(きんてん)、

は、五行思想による、

秋の天、

をさす(前野直彬注解『唐詩選』)。五行思想によれば、

万物を構成する五つの元素、木・火・土・金・水のうち、土を除く四つは、それぞれ四季に配当して考えられ、春は木、夏は火、秋は金、冬は水、

となる(仝上)。

粛殺、

は、

秋の気が草木を枯らすこと、

で、

白露(はくろ)、

は、

陰暦七月に降りる霜。秋の到来を告げるものとされ、前漢の経書『禮記』月令(がつりょう)篇、孟秋の月(初秋)に、

涼風至、白露降、寒蝉鳴(涼風 至り、白露 降り、寒蝉 鳴く)

とあるのにもとづく(仝上)とあり、

陰暦七月、

を指す(仝上)。

白露、

は、文字通り、

蒹葭蒼蒼、白露為霜(詩経・秦風、蒹葭篇)、

と、

しらつゆ、

つまり、

白く光って見える露、

で、

秋草(あきくさ)に置く白露(しらつゆ)の飽(あ)かずのみ相(あい)見るものを月(つき)をし待たむ(万葉集)、

と、

露の美称、

だが(広辞苑・大言海)、

處暑後十五日、斗指庚、為白露節(孝経緯)、

と、

二十四節気のひとつ、

で、

処暑→白露→秋分、

と続く。

太陽の黄経が165度の時、秋分前の15日、すなわち、太陽暦の9月8日(2024年は9月7日)頃に当たり、この頃から秋気がようやく加わる、

とあり(広辞苑)、

夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が宿りはじめる頃。降りた露は光り、白い粒のように見える時期、

であるhttps://www.543life.com/season/hakuroので、

白露、

と、名付けられたと見られるhttps://koyomigyouji.com/24-haku.htm)。『暦便覧(こよみべんらん)』(寛政10(1798)年)では、

陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也、

としている。

葉の上の露.jpg


をざす」で触れたように、

二十四節気をさらに3つに分けた、

七十二侯、

では、白露の間は、略本暦(伊勢神宮)では、

初侯 草露白(くさのつゆしろし)9月7日頃
白露と同じ意味で、草の露が白く輝いて見える頃。

次侯 鶺鴒鳴(せきれいなく)9月12日頃
セキレイが鳴く頃。

末侯 玄鳥去(つばめさる)9月17日頃
春にやってきたツバメが、子育てを終え南へ帰っていく頃

ただ、日本で中世を通じて823年間継続して使用された、唐の「宣明暦」では、

初候 鴻雁来 雁が飛来し始める

次候 玄鳥帰 燕が南へ帰って行く

末候 羣鳥養羞 多くの鳥が食べ物を蓄える

となっている(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%83%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%80%99)

なお、「」については触れた。

「白」.gif

(「白」 https://kakijun.jp/page/0595200.htmlより)

「白」(漢音ハク、呉音ビャク)は、「白毫」で触れたように、

象形。どんぐり状の実を描いたもので、下の部分は実の台座。上半は、その実。柏科の木の実のしろい中身を示す。柏(ハク このてがしわ)の原字、

とある(漢字源)が、

象形。白骨化した頭骨の形にかたどる。もと、されこうべの意を表した。転じて「しろい」、借りて、あきらか、「もうす」意に用いる、

ともあり(角川新字源)、象形説でも、

親指の爪。親指の形象(加藤道理)、
柏類の樹木のどんぐり状の木の実の形で、白の顔料をとるのに用いた(藤堂明保)、
頭蓋骨の象形(白川静)、

とわかれ、さらに、

陰を表わす「入」と陽を表わす「二」の組み合わせ、

とする会意説もあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%99%BD。で、

象形文字です。「頭の白い骨とも、日光とも、どんぐりの実」とも言われる象形から、「しろい」を意味する「白」という漢字が成り立ちました。どんぐりの色は「茶色」になる前は「白っぽい色」をしてます、

と並べるものもあるhttps://okjiten.jp/kanji140.html

「露」.gif

(「露」 https://kakijun.jp/page/2103200.htmlより)

「露」(漢音ロ、呉音ル、慣用ロウ)は、「つゆけし」で触れたように、

形声。「雨+音符路」で、透明の意を含む。転じて、透明に透けて見えること、

とある(漢字源)。別に、

形声文字です(雨+路)。「雲から水滴が滴(したた)り落ちる」象形と「胴体の象形と立ち止まる足の象形と上から下へ向かう足の象形と口の象形」(人が歩き至る時の「みち」の意味だが、ここでは、「落」に通じ、「おちる」の意味から、落ちてきた雨を意味し、そこから、「つゆ(晴れた朝に草の上などに見られる水滴)」を意味する「露」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji340.html

参考文献;
前野直彬注解『唐詩選』(岩波文庫)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 03:29| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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