2024年06月21日

あなかま


御狩(みかり)する交野(かたの)の御野(みの)に降る霰あなかままだき鳥もこそたて(新古今和歌集)、

の、

まだき、

は、

鷹狩の準備ができていないのに早くもの意、

とあり(久保田淳訳注『新古今和歌集』)、

あなかま、

は、

しずかに、

などと制止することば、

とある(久保田淳訳注『新古今和歌集』)。

人々笑ふ、あなまはとて脇息に寄りおはす(源氏物語)、

とある、

あなかま、

の、

アナは感動詞、カマはカシカマシ・カマビスシのカマに同じ、人の話し声のうるささや、話の内容の不快さが神経にさわった時、話を止めようとすることば、

で、大体、

同輩か目下、

に使う(岩波古語辞典)。

かまびすし(囂し)、
かしかまし(囂し)
やかまし(いや(彌)かま(囂)しの転)、
カマシ(囂)、

の語幹、

カマ、

と同じであり(仝上・広辞苑)、

ああ、やかましい、

と、

人を制止する語、

とある(仝上)。

シク活用、

の形容詞だが、

あな、かま、

という慣用句があり、古くは、

ク活用、

であった可能性が高い(岩波古語辞典)とある。後世は、

あながま、

と濁音化する(精選版日本国語大辞典)。

あなかまたまへ、

というと、

たまへ、

は、

丁寧な命令、

を表わし、

あなかまたまへ、夜声はささめくしもぞかしましき(源氏物語)、

と、

(やかましい)静まりなさい、
黙りなさい、

の意味で使う(仝上)。

「囂」.gif


「囂」(菅温・呉音ゴウ、ギョウ)は、

会意、「口四つ+頁(あたま)」、

とあり(漢字源)、「囂々」(ゴウゴウ、キョウキョウ)と、がやがやしゃべる、やかましい意である。「嗷」(ゴウ)と同義である。

参考文献;
久保田淳訳注『新古今和歌集』(角川ソフィア文庫Kindle版)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:08| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください