耐えられない言葉の軽さ~緘黙の勧め

いつから無口が貶められるようになったのだろう。会話の中の沈黙が,いつから無視されるようになったのだろう。 沈黙もまた主張であり,発言だということを,いつから忘れられてしまったのだろう。いつから,黙り続ける自由まで,失ったのだろう。あるいは人がしゃべりたい時まで待つだけの間をいつからうしなったのだろう。緘黙という言葉がある。黙る,ということだ。そこには強烈な意志がある。もっとも,妻から問…

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発想の前提条件について~マインドセットの切り替え

発想をスキルから考えるのもいいし,人とのキャッチボールから考えるのもいい。例のブレインストーミングストーミングは,いわば,アイデアや発想を自己完結しないためのいい仕組みだ。ブレストについては, http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/prod083.htm を見ておいてほしいが,そのほか,コミュニケーションにかかわるチェックリストは,次のように結構ある。 …

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記憶をさかのぼる~物語を語るⅠ

自伝的記憶をさかのぼると,産道から出てくるところまでたどり着ける人もいるらしい。 前にも書いたが,あるところであるお母さんから聞いた話では,自分の子が,言葉をしゃべれるようになったころ,「私は,本当はあの場所から出たくなかったのに,急に明るくなって,お父さんとお母さんに引っ張り出された」といったそうです。帝王切開だったのですが,それをちゃんと覚えているのです。そして,その子は,「お…

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故郷体験というものについて~物語を語るⅡ

好きな場所ということで,高山のことは一度触れた。 http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/2012-1105.html 小学校の3年から,6年の二学期までいた。なんだか,老人の思い出話のようだが,自分の物語を語りたがるのは,フランクルに言われなくても,人の習性なのではないか,という気がしてくる。 高山で一番印象深いのは,小学校の修学旅行…

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この人生で成し遂げたいことは何ですか~『U理論入門セミナー』に参加して

もともと,「自分を開く」というテーマを,自分の課題とした経緯については, http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11031543.html で書いたように,『U理論』を読んだのがきっかけであった。勝手な早合点かもしれないが,「開くこと」の重要性に改めて目を開かれた思いがしたのだ。特に,内面の「評価・判断の声(VOJ)」「皮肉・諦めの声(VO…

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「嫌い」について

人を嫌う場合,相手の中にある自分を嫌うという言い方がある。それを否定はしないが,どうも自分で引き受ける,というか自己内省という,そういう姿勢は悪くはないにしろ,そういうことで,本来は別のはずのモノが,結局自分の側に嫌う原因がある,だから,自分を正せという方向に行く。しかしそういう説明だけでは納得しきれないものがあるような気がしてならない。たとえば,逆に「好き」というのは,自分の中に似たものが…

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時代おくれについて

歳のせいか,最近自分が時代おくれになった,もう時代の流れにいないということを実感するようになった。先日のあるトークライブで, 50~60代ではなく,30~40代でなくてはだめだというニュアンスの話を聞いたせいばかりでもない。実感としては,ひどく寂しさを感じている。 まずはそこを認めるところから始めたい。 では時代おくれとはどういうことなのだろう。 河島英五の歌に「時代おくれ…

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「開く」「愛」「聞く」について~対話への途についてⅠ

自分を開くについては, http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11031543.html また,「恋」「愛」「好」との関係については, http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11041914.html で触れたし,自己開示については, http://blogs.dion.ne.jp/…

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共同・共働・協同・共同・協働

共同・共働・協同・共同・協働は,微妙に意味が違うようだ。手元の辞書(広辞苑第五版)では, 共同;commonの訳語。二人以上が力を合わせること。協同と同義に用いることがある。 共働;coaction,相互作用。共生的,敵対的・中立的な関係に大別できる。たとえば,捕食者・被捕食者関係。 協同;【後漢書】ともに心と力を合わせて助け合って仕事をすること。協心。 協働;coopera…

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「地に足をつける」と「浮き足立つ」

先日「地に足をつけてご機嫌に生きる」ワークショップに参加させていただいた。このグラウンディングのエクササイズは,半年ぶりの二度目。タイミング的には,前回参加の時も大きな転機を控えていて,今回も,前以上に大きな経験をする直前,いってみると自分の根っこを確かめなくてはならない,そんな心境の時機に参加させていただくことになった。 奇しくも,節句。立春を控えて,前年を振り返り,新たな年の展望をす…

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コーチングを受ける意味と効果~理想としてはこうありたい

クライアント体験については, http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11050625.html で,書きましたが,それでは,逆に,理想のコーチングセッションで得られるものを,これは別のところでも書いたことですが,改めて整理してみますと(いまさらめきますが),どうなるでしょうか。まあ,そうありたいという理想ですが,そうなればベストという目標で…

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茶道具について

先日,静嘉堂文庫美術館で,「曜変・油滴天目 -茶道具名品展-」 http://www.seikado.or.jp/010100.html に行ってきた。無粋な人間なので,茶道やお茶にはまったく向かない人間なのだが,「付藻茄子」という名の茶入れには,この由来を見ていると,ちょっとだけ惹かれるものがある。 この茶入れは,「作物(つくも)」「九十九髪(つくもかみ)」とも記され,松永久秀が…

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その人になる場をつくる

自分が生かせる,とはどういうことか,ひとつはいまの自分のありのままで,生き生きと心身ともに活動できることだが,同時に,自分のキャパ一杯に活動することで,新たな自分を日々つくりだしていける,そういう成長性もなくてはならない。 自分を受容することが,ともすると,そのままの自分でいい,という自足を勧めるように聞こえて,どこか納得いかない。それでは,自分の気づいていない,自分の可能性を伸ばす機…

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創ることと生きること~好きなフレーズⅢ

創造性とは何か,といったとき,ヴァン・ファンジェの定義, ①創造者とは,既存の要素から,彼にとっては新しい組み合わせを達成する人である ②創造とは,この新しい組み合わせである ③創造するとは,既存の要素を新しく組み合わせる(組み替える)ことにすぎない が有名だが,いまいちピントこなかった。あるとき,川喜田二郎が, 創造性とは,本来ばらばらで異質なものを意味あるように結び…

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「趣味は何ですか?」と聞かれて…

あるところで,久しぶりに, 「趣味は何ですか?」 と聞かれた。で,一瞬のうちに,何もないということに気づいた。 というより,いつも一見趣味に見えることが,自分にとって達成すべきタスクになっていて,建替えた庭が砂埃を立てているのを見かねて,大量にネットで姫高麗芝を買い付け,一日かけて植えまくり,ついでに残っていた石を並べたり,足りないものをレンガを購入して並べたりと,一気に花…

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提案について

CTPのテキスト(僕の受けた2004年当時)には,提案について, 提案とは,新しい視点を提起要することです。提案と,「指示・命令」は違います。「提案」は,あくまで彼ら(クライアントを指す)が自分の責任で行動を選択することを促します。言い換えれば,「YESかNO」の選択権は常に相手にあるという立場に立って伝えるのが,「提案」です。 とある。CTI流だと,「YES,NO,逆提案」とな…

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どんな人生にも意味がある

所詮おためごかしに聞こえるかもしれないが,最近心底そう思えるようになった。言うまでもないが,「人生はすべて意味がある」ではない(そんなのは当り前)。「すべての人生に意味がある」の意味だ。 どんな人生にも意味がある。 偉い学者はもちろん, 成功した大金持ちも, 貧乏の中でのた打ち回り野垂れ死にした人も, 有り余る金で贅沢に一生を過ごした人も, 凶悪な殺人者も, その犯人に…

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コーチの技量はコーチングの場でしか決まらない!

コーチングとファウンデーションを強く関係づけることに絶対的な疑問がある,ということを書き続けている。これを最後にする。 コーチがいなくても世の中は回る という人がいる。いや, コーチがいない方が世の中は回る という人がいる。コーチングを指しているのかコーチを指しているのかははっきりしないが,コーチングについて言っている。カウンセリングについてこう言われることはないだろ…

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自分を受け入れる

JCAK主催の「パーソナル・ファウンデーション・ワークショップ」に参加してきた。 パーソナル・ファウンデーションには,10の柱がある,という。つまり, ●妥協するのをやめる(Zap the Tolerations) ●自分自身を完了させる(Get yourself Clear of the Past) ●統合性を取り戻す(Restore your Integrity) ●自分の…

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マイ・コーチ

いままで,四人のコーチのコーチングを受けたが,いまのコーチのコーチングは,いままでとは全く違うコーチングだと感じている。 それは,コーチングを受けているという感じではなく(コーチをしてもらっているという感じではなく),コーチングの場そのものの持っている雰囲気が,自分自身と親和性が高いということをずっと感じている。 これは,誰かに向き合っているというよりは,自分が,自分の未来や自分…

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