難点

人に良く思われたいと思わなくもないが, べたべたの関係 と スカスカの関係を綱引きしている。 記憶が確かではないが,司馬遼太郎が,『翔ぶが如く』だと思うが,大山巌が,従兄弟の西郷隆盛について,「声望好き」というか「徳望好き」というかそんなことを言っていたと覚えている。人に担がれてしまうと,それを嫌と言えない。それが西南戦争で引っ張り出された遠因だと,評したというのだ。…

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選択

あの野村克也氏が, 女を取るか野球を取るか と迫られて,女を取ったと,ご自分の逸話を語っていたのを覚えている。それが,あのサッチーなのだが,その是非はともかく,そういう決断をするというのが,僕にはわかる。両方という選択肢はない。それほどの岐路が,確かに人生になくはない。 恋は思案の外 という言い方をするが,いろいろ経緯はあったろうが。結果としてシンプソン夫人を取って国…

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執着

拘泥するというとあまりいいニュアンスがない。しかしこだわりというと,少しまたニュアンスが変わる。 何かにフックを掛けられた状態,何かに惹きつけられた状態,そこから心が離れられなくなった状態,といっていいか。しかし悪いこととは限らない。 モノやコトに執着する(こだわる) ヒトに執着する(こだわる) カネに執着する(こだわる) いずれも,自分の想いに執着していること…

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通過点

東横線が副都心線につながって,東武東上,西武池袋線と直通になったが,沿線住民にとって,あまりメリットのないことがはっきりしてきた。もともと住民は望んでいない。電鉄会社の戦略だか,思惑だかによって生まれたものだから,住民のメリットなんて言うものは考慮されているとは思えない。 渋谷の駅の乗り降りの厄介さもある, 八両編成が十両編成になって,いつもの車両が目当てが付けにくくなった, …

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パニック

いまそこにあったはずのモノが,目の前から消えている。 いつものところにあるはずのモノが,そこにない。 自分が最後に置いたはずのところに,そのものがない。 まあ,探し物は,そういう形で始まる。一種の思い込みだが,先日こんなことがあった。 出がけに着替えて,外出用の時計をしようとして,ワイシャツの袖口がほつれていることに気づき,あわてて,それを脱いで着替えた。まだ時間は5…

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無念

無念 も 無念無想も, ふたつの対立する意味がある。 無念は,一方で, 妄念のないこと,無心, とあり,他方で, (正念を失って)口惜しく思うこと,不本意,残念, とある。無念無想も,一方で, 一切の妄念を離れる,無心, とあり,他方で, 何の考えもない,思慮の足りないこと, とある。どちらかというと,いまの使い方とは違…

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覚悟

人は独りでは生きていけない。 しかし,それは人に頼ることや人のサポートが前提ではない。まず, 人は独りでしか生きていけない, ということがあるから,というかこれがなくては,人として信用できない。 人は独りで生きていくしかない。 人は独りで生きるしかない。 これを覚悟という。水におぼれかけた人を,向う見ずにすぐ飛び込んではいけない。なぜなら,その人は助けに来…

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毎年,二度名古屋の菩提寺に墓参りに行くのだが,父が祖父の死を機に建て替えた墓の後ろに,古ぼけた赤茶色の小さな墓石がずっとある。戦災で焼け残った元々の我が家の墓らしい。母は,墓参りの度にそこにも花を手向けていたので,いまもその慣習を続けている。 その墓は,祖父がまだ小さい時,養子の夫と幼子の祖父を残して,男と出奔した祖父の母(僕から言うと曾祖母)が入っているという。結局他国で死んで,…

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逃げる

「三十六計逃げるに如かず」。いわばあれこれ無駄に評定するくらいなら,ともかく逃げて後の計画を立てたほうがいいと言う。 第三十六計目は,「走為上」(逃ぐるを上と為す)であるという。 言わば,負けるが勝ちである。孫子の兵法にも,「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるもの」とある。織田信長というひとは,逃げるとか,卑怯とか,弱みとか,残虐とかということに先入観のない珍しい人物で,朝倉攻…

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空白

死ぬ瞬間,自分が身体から剥離して,部屋を俯瞰する位置で,自分を取り巻く人々の様子を見る,という。死んだ人間は語らないので,真偽は知らない。 あるいは,死ぬ一瞬に,一生分を,フィルムのラッシュのように,眼前を流れていくのだという。これも,真偽は知らない。 僕は前にも書いたが,三度ほど死にかけたが,一番鮮明に覚えているのは,小学校の二,三年の時,川で泳いでいて,深みにはまり,泳げない…

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思い込み

思い込みと,思い入れとは微妙に違う。 思い入れは,よほどのことがないと,自分に思い入れすることはない。相手か,言葉が,考えか,ともかくそれに思いを致す。芝居で言う,「思い入れたっぷり」というのは,役柄に入れ込むのであって,自分ではない。 しかし思い込みは,思いの力点が,自分側にある。自分の信念,自分の観察,自分の思いを,信じて疑わない。 思い入れは,仮託,託すといっていい。…

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異端

子曰く,異端を攻(おさ)むるは,これ害るのみ,と。 貝塚茂樹氏の注に, 織物の両端から一度に巻きはじめるように,別々の傾向の学問を一度に手掛けると,中途半端になって,害しか受けない, とある。まさにおのれのことだ。さらに言う。 この文章の意味は難解で定説がない。清朝の経学の一方の旗頭であった戴震によると,物事には織物のように両方の端がり,それを異端と言う。学問は,ひと…

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ブログ

もうこれで,600日近くブログを書いたので,かれこれ,一年半は超える。しかし,なぜブログを書くかについては,あまり深く考えていない。はじめの頃, http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163113.html という趣旨で,一応自分なりのブログを書く意図のようなものをまとめた。そこで, ①まずはなにより,オリジナリティがなくてはならない…

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未完

いまひそかに僕が読んでいて,その続きを首を長くして楽しみにしているのは, 原泰久『キングダム』 である。きっかけは,NHKのアニメだったが,途中で放映が終わってしまい,気になってその続きを読み,さかのぼって,一巻からKindle版で読み直した。アニメ化では,いくつかが削られていて,それを削ったら,将登場人物の背景の持つ陰翳が削られて,まずいだろうというようなところも見つけたりしな…

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墓参

友人の墓参に行ってきた。 電話で,彼の死の報とともに墓の場所を聞いた友人と待ち合わせ,出かけてきた。 横浜から,かれこれ片道二時間の道のりである。酷暑の予報通り,照りつける日差しに辟易しての道中だったが,下車駅に近づくにつれて,天が俄かにかきくもり,いきなり雷鳴と激しい雨に見舞われた。電車が停車して,ドアがあくと,そこから激しく雨が吹き込んで,車内の床とシートをびしょ濡れにすると…

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死は, 歹(骨の断片)+ヒ(人) で,人が死んで骨片になることを指す。 逝は,あの世へ行く 歿は,姿が見えなくなること, 暴は,いなくなること, 崩は,山が崩れるようになくなること。天子の死に用いる, 薨は,見えなくなることで,諸侯の死に用いる, 卒は,身分の高い人の死ぬこと,四位五位の人が死ぬこととある, 寂は,入寂,僧侶の死に用いる, 瞑は,死者が目を閉じ…

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ゲーム?

僕には,自滅の癖がある。というか,あるらしい。 自然に滅ぶ のである。あるいは, 滅ぶようにふるまう。 あるいは,TA(交流分析)でいう,ゲームをしているのかもしれない。 自 は, おのずから みずから より の意味があるが,「自」は,人の鼻を描いた象形,という。「私が」というとき,鼻に指さすので,自分の意に転用,あるいは,出生の際,鼻から…

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類推

たとえば,まったく未経験というわけではないが,必ずしも習熟しているわけでもないようなことを,引き受けることになったとき,たとえば, いままでとはちょっと違う種類の仕事が舞い込んできたとき, やれる, という感覚があるのは,どういう根拠なのだろう。 できると思うのは,ただの錯覚かもしれない。しかし,その できる感 が,錯覚ではなく,なにがしか根拠があるのと,…

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傘というと,連想が変かもしれないが,傘化けを思い出す。水木しげるの妖怪でも登場する,一本足で,ひとつ目の妖怪である。 妖怪については,かなり前, http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163408.html で触れたことがあるが,使い古して捨てられた道具が妖怪になる,それを,つくも神と呼ぶ。 つくも神とは,ウィキペディアに, …

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