脳は何でも知っている~相手の可能性を信ずるとはどういうことか

ミルトン・エリクソンは,若い頃の自分の体験で,迷い馬に出会ったとき,ただその馬に跨って,馬の行きたいところにしたがい,馬の歩くにまかせ,やがて,飼い主の牧場にたどりつき,戻ってきた馬に飼い主が驚いた,という逸話を,無意識を信ずるという例として,紹介していた。 最近の脳研究では,人が自分の意思する意図を意識の上るのが,実際に運動が生ずる150ミリ秒前,さらにそれよりも400ミリ秒も前に,脳…

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追い詰められたユーモア~石原吉郎の詩をめぐってⅣ

どこか生真面目で,一本木だが,言い換えると辛気臭い石原の詩に,ユーモアを探すと,どこかブラックユーモアの気配がある。 じゃがいもが二ひきで かたまって ああでもないこうでも ないとかんがえたが けっきょくひとまわり でこぼこが大きく なっただけだった(「じゃがいものそうだん) これなどは,結局事態を悪くしたともとれるが,しかしお互いに凹んだ分だけ,親しくなったとも,憎…

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生きざまを見る

先日,報美社代表として展覧会のプロデュースをし,各画廊と提携して運営している竹山貴さんの「第1回 アートの世界から学ぶ本当の価値の見つけ方」に参加した。 正直のところ,アートには無縁の朴念仁なので,ただ関心と好奇心で参加させていただいた。 あまり一般には馴染みの薄いアートの世界ですが,「アートの世界は決して特別なものではなく,むしろどの業界でも通用する普遍的な要素が多い」と主張…

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にあわないけど愛かやさしさについて

何だろう,「愛」とか「優しさ」に関わるものを拾っていくと,石原吉郎の,緊張感をなくすことへの,凛とすることへの意地と,それを失うことの恐怖のようなものを感じた。思い入れ過多のせいかもしれない。 こんなにつきあうと 思ってもみなかったな つきあっていて なんど 君に出会ったかな つきあえばいいと いうものではない つきあえばというものでは 行ってくれ どてんとしてくれるな…

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語りの力とは…

『石丸幹二の語りで聴く  チャイコフスキー「くるみ割り人形」(映像つき)』を聴いてきた。 https://www.facebook.com/home.php#!/events/319061628223249/ 正直,子供だましかと予想しつつ行ったが,その通りであった。 語り:石丸幹二 ピアノ:鈴木優人 映像演出:田村吾郎 誘いのフェイスブックには, 語りと影…

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問題意識

芸術家の問題意識というものを考えてみたい。 問題意識は,自分の求めているものと現状とのギャップを意識していることと単純化するなら,ここから, ①自分の求めているものがはっきりしている ②現状の自己の状態についての自己認知がある の両者が不可欠になる。この枠組みは,自分のあり方や自分の目指すものという大きなシチュエーションでも言えるが,個々のテーマや作品のあり方についてもい…

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音楽と映像と言葉のシンクロ

ガイアシンフォニー第7番と龍村監督の講演会に行ってきました。 https://www.facebook.com/home.php#!/events/147543912093981/ 主催者が, 『地球(ガイア)の声がきこえますか?』 地球(ガイア)の未来を,考えよう。 「母なる星地球(ガイア)は,それ自体が一つの大きな生命体であり, 我々人類は,その大きな生命体の…

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とんがる

アーサー・C・クラークは言っている。 権威ある科学者が何かが可能と言うとき,それはほとんど正しい。しかし,何かが不可能と言うとき,それは多分間違っている。 不可能だと人からいえるほどとんがる,そういう気概がいる。 ただしい間違いに気を取られると,自分のとんがりを忘れてしまう。 最近の芸術の世界を見た時,日本は老成化しているとつくづく感じる。特に文学だ。尖(とん)がった…

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妖怪

横須賀美術館に行ってきた。『日本の「妖怪」を追え!』。この時期,横浜そごうでも似た企画をしていたし,その他いろいろ妖怪ものばやりのようだ。 http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/1302.html 妖怪と幽霊は違う, と大真面目に論じていたのを,どこかで読んだ記憶があるが,思い出せない。どうも花田清輝の口ぶりっぽく記憶にあるが,…

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表現

表現については, http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163571.html で書いたが, 現(うつつ)を表わす と書くか, 現(うつつ)に表わす かで,微妙に違う。 「現を表わす」のを,仮にドキュメンタリーだとしよう。それは,現実を,自分の現実感で再構成することだ。そして,「現に表わす」のは,その現の現実感…

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