出会い

人と人がすれちがうのは,それだけのことだが,そこでちょっとしたつながりができると,そこで二つの世界がつながる。それぞれ二人が一緒に運んでいる, 自分の人生そのもの, 生きる場所そのもの, が出会う。それは, それぞれの個人として背負っている来歴であり, それぞれのつくっている場であり, それぞれの持っている空気感であり, それぞれの醸し出す雰囲気…

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責任

責任の取り方を知らないものは,ヒトの責任の取らせ方も,自分が責任を取るとはどういうことかをも弁えない。だから,いったん人が責任を取ったことで決着したことを蒸し返す。そして,リセットしたがる。 日本に多いのは, 一億総懺悔 のように,誰もが悪いというカタチにすることだ。これは,誰も責任を取らないということだ。すべての人のせいにするということにひとしい。 そういう無責…

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士が士であることを許されるのは, 二本差し であるということだ。一本なら,長ドスを差したヤクザ,渡世人と変わらない。士が士であるとは,脇差を指している,ということだ。それは,自分を裁く刀を持っている,という意味でなくてはならない。だから,士には切腹が許される。でなければ,士が無職渡世と変わらぬ暮らしをしているだけの無駄飯食い,寄生虫と変わらない。 戒め, である。…

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未来

未来は出現するものなのか, 未来は到達するものなのか, という問いがふと出てきた。あるいは,未来は, ひらめくものなのか, 見えてくるものなのか, といってもいい。あるいは, 未来は,未来からやってくるものなのか, 未来は,過去からやってくるものなのか, と言い換えてもいい。あるいは, 未来は,線形か, 未来は,非線形か, …

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断念

断念,という言葉のニュアンスが好きだ。何だろう,ちょっと個人的には,潔さを感じてきた。 意味は,「諦めて,思いきる」。しかし,調べていくと,少しずつ,ニュアンスが変わる。思い切ると一言で言っても, 諦める, 思いきる, の他に, 見切る, 見限る, 放り出す, 投げ出す, 思いとどまる, 踏みとどまる, 投げ捨てる, …

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心ばえ

心ばえは,心映えとも,心延えとも書く。いい響きの言葉だ。 辞書には,こうある。 「映え」はもと「延へ」で,外に伸ばすこと。つまり,心のはたらきを外におしおよぼしていくこと。そこから,ある対象を気づかう「思いやり」や,性格が外に表れた「気立て」の意となる。特に,心の持ち方が良い場合だけにいう。 そのほかに, 「おもむき」「風情」「事の次第」「気立て」「心遣い」「…

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きめつけ

きめつけも,思い込みの一種だ。こうでなくてはならない,という。それは自分だけにしてほしい。 たとえば, 人は,過去の経験がいまを決めている, 過去に蓋をしてはいけない, 自分に向き合わなくてはいけない, 自分をありのままに受け入れなくてはいけない, 自分を見つめなくてはならない, 等々というのが,僕は嫌いである。そういうことができない人間は自分を…

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若さ

サミュエル・ウルマンの詩の一部に, 歳を重ねただけでは,人は老いない。理想を失った時にはじめて老いがくる, というのがあり,老人には,言い訳が出来そうな感じだ。さらに, 青春とは人生のある期間ではなく, 心の持ち方を言う, となると,まだ若いとはしゃぐかもしれない。だが,僕はそうは思わない。 人は,20代では,その年代でしかできないことをし,その積み重ねの上に…

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悔い

怒りは常に愚行に始まり,悔恨に終わる, と,ピタゴラスが言ったそうだ。しかし,怒りが爆発する瞬間,束の間,そうどれくらいかわからないが,コンマ,コンマ何秒か,頭をこのまま行くとまずいぞ,という思いがよぎる。それを蹴散らすほど怒りが大きければ,その止め立てする,何と呼ぶか,理性のようなものを,踏み潰す。しかし,何十回に一回か,踏みとどまることがある。この差は何だろうか。 前にも書い…

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もっともらしさ

ベンジャミン・メイズというアメリカの教育者は言う。 人生の悲劇は,ゴールに到達しなかったことにあるのではない。 悲劇はゴールを持たないことにある。 理想を実現できないのは不幸ではない。 実現すべき理想がないことが不幸なのだ。 僕はへそ曲りだから,疑う。本当か。 悲劇というのは,本人が嘆いているのか,周りがそう言っているのか。 不幸というのは,本人が悲しんいるのか。周…

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普通

普通には,広く一般に通じるという意味と,どこにでも広く見受けられ,つまりありふれている,の意味がある。しかしこれを英訳すると, 常態,あるいはレギュラーという意味の, Normal(反対は,abnormal) と,共通というか共有するという意味の, Commont(反対は,uncommon) と,いつものの意味の, Usual(反対は,unusual) …

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し残したこと

年齢的に言うと,そろそろ店仕舞いが近い。しかし, し残したことは何か, と考えてみたとき, やりたいように生きてきた, ように見えて(そう言われることもあるが),本人は, やりたいことの半分もできていない, と思う。チャンスは,目の前を,一杯通り過ぎたが,気まぐれなので,気が向かないと,摑まない。といって,摑まなかったことで,あるいは摑めなかったことで,後…

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つけ

私の体験のなかには,思想化されること,一般化され,体系化されることをはげしく拒む部分があり,それが私の発想のもっとも生き生きした部分を形成しているのだ。 石原吉郎の,この言葉に触発されて,いろいろ考える。 石原は,シベリアの強制収容所の取調官に, もしあなたが人間なら,私は人間ではない, もし私が人間ならあなたは人間ではない と,ラーゲリの非人間的な取り扱いに対して…

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山に登る

よく目指すものを山にたとえる。あの山の高み,というように。しかし,僕には,いつも頂上は見えない。雲の中に隠れて見えない,というよりも,高すぎて,頂上が,僕のいる下界からは,到底見えないのだ。 例えば,コーチに聞かれたりする。 目指すものを喩えると, 山かな, それはどのくらいの山? 結構高い。 その山に登ったら,どんな景色が見えるか? と。 し…

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切れる

ときどき年甲斐もなく,切れる。 しかし,切れるといっても,感情的に爆発したり,暴力を振るうということではない。癇癪というのでもない。よくあるのは, 理不尽さ, への怒りである。これは, 許せない, という思いである。 突発するので,誤解に基づくこともあるかもしれない。逆に火に油を注ぐケースがないでもない。いつだったか,シンガポールを旅行中,日本人が居丈高に…

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乖離

僕には,危惧がある。 社会から乖離していないか, と。自分は,しっかり社会に足をつけているのか,と。この時代をどれほど,ひしひしと感じとっているのか,感じとれているのか,と。その時代感覚,状況認識がなければ,ただの妄想,自己完結した,自分探しごっこに過ぎないのではないか,と。 コーチ-クライアント関係は,両者が合意した, 電車ごっこの紐の中にいる, 状態である。…

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愛用品

最近,ん十年愛用の,誰にもらったかも忘れた大理石の文鎮を落として割ってしまった。このところ似たようなことが続いていて,ちょっと気になる。 愛用するということは,日々手になじみ,そこにあることになじんでいて,一見風景になっているが,それが無くなると,風景の一か所に欠落が出る。それによって,なんとなく,違和感がある。 物にこだわる質でもないし,収集癖もない。 収集癖という以上,…

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裏切り

裏切り 正直,この言葉が,あまりピンとこない。というか,こなかった。 辞書的には, ①敵に内通して,主人または味方に背くこと, ②約束・真偽に反する行為をする。人の期待に反する, とある。 期待に反する と 期待を裏切る とでは若干ニュアンスに差がある気がする。人の期待に反することは,一杯あっただろうが,反しようと思ってするというより,できな…

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無様

セッションの中で,進退窮まるほどの窮地に追い込まれたとき,あるいはしくじってとことん落ち込んだとき,そういう自分をどう名づけているか,と問われた。 意味が分からず, オレはあかんな, とか, やっぱりだめ, とか言っていたが,それにどう名づけているか,と重ねて問われて,ふと思いついて, 二流である, といった。正確には,自分の定義では, htt…

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選択

選択している, のと, 選択させられている, のとどう違うか。選択しているつもりで,選択させられていることはないか,そして,そのことに無自覚であるということは。 吉本隆明は,こう言っていたのを,ちらりと見て,触発されたものがある。 人間の意志はなるほど,選択する自由をもっている。選択のなかに,自由の意識がよみがえるのを感ずることができる。だが,この自由な選択にか…

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