いね

「いね」は, 稲(稻), 禾, と当てる。「稲(稻)」の字は, 「舀(ヨウ・トウ)は臼の中をこねること。稻はそれを音符として,禾(いね)を加えた字。」 である。「いね」は, 稲禾(とうか), 禾稲(かとう), ともいうらしい。「稲」については, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8D …

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さぎ(詐欺)

「さぎ」は, 詐欺, と表記すると, 偽り欺くこと, 法律用語で,他人を騙しして錯誤におとしいれ,財物などをだまし取ったり,瑕疵ある意思表示をさせたりする行為, であり, 詐偽, と表記すると, 真実でないこと,いつわり, となる。「詐欺」が,行為を指し,「詐偽」が,その中身のいつわりさを表す,ということだろうか。 「詐」の字は, …

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夕立

「夕立」は, ゆだち, ともいい,『大辞林』に, 夏の午後から夕方にかけ,にわかに降り出すどしゃぶり雨。雷を伴うことが多く,短時間で晴れ上がり,一陣の涼風をもたらす, とある。この場合,「夕」に騙されると, 夕方降る雨, となるが,『日本語源広辞典』には, 「夕方でもないのに,庭か雨で一時的に暗くなって夕方らしくなる,が本義です。」 とある。 …

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むべ

「むべ」は, 宜なるかな, の「むべ」である。 「うべに同じ」 とある。「うべ」は, 宜, 諾, とあて, もっともであること, なるほど, の意であり,副詞として, 肯定する意に言う語, で, なるほど, 道理である, という意味で使う。『広辞苑』には, 「宜宜(むべむべ)し」 も載り, いかに…

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ツバキ

「ツバキ」は, 椿, 海石榴, 山茶, と当てる。「サザンカ」の項, http://ppnetwork.seesaa.net/article/457793476.html?1520625823 で触れたように,中国では,「つばき」を「山茶」と書く。でそれが,「サザンカ」の「山茶花」に当てられたことは,書いた。 (ヤブツバキ https://ja.wiki…

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瓜二つ

「瓜二つ」は, 縦に二つに割った瓜のように,親子・兄弟などの顔かたちがよく似ていることのたとえ, という意味だが,『広辞苑』には, 「瓜を二つに割った形がそっくりなところから,兄弟などの容貌が甚だよく似ていることにいう」 とある。この場合,「瓜」とはどの瓜を指すのであろうか。 (マクワウリ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%…

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幽霊

今野円輔『日本怪談集 幽霊篇』を読む。 まさに,本書は「志怪小説」である。志怪とは, 「怪を志(しる)す」 中国の旧小説の一類,不思議な出来事を短い文に綴ったもの。また創作の意図はなく,小説の原初的段階を示す。六朝東晋の頃より起こった。「捜神記」など, と『広辞苑』にある。ここで言う,「小説」は, 「市中の出来事や話題を記録したもの。稗史(はいし)」 …

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ささ(笹)

「ささ」は, 笹, 篠, 小竹, と当てる。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9 によると,広義には,竹とは, 「イネ目イネ科タケ亜科のうち、木本(木)のように茎が木質化する種の総称である。通常の木本と異なり二次肥大成長はせず、これは草本(草)の特徴である。このため、タケが草本か木本かは意見が分かれる(『木#学術的…

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ささ(酒)

「酒」は, ささ, とも言う。 (酒器に酌まれた日本酒。盃(左)、猪口(中央)、枡 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92より) 「酒をいう女房詞」 らしいが,『広辞苑』には, 「『さけ』の『さ』を重ねた語。一説に,中国で酒のことを竹葉というのに基づくとする」 とある。『…

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まく(巻く)

「まく」と当てる漢字は, 巻く, 捲く, 播く, 蒔く, 撒く, 枕く, 婚く, 纏く, 負く, 設く, 任く, 罷く, 等々ものすごい数になる。ただ,大まかに, 巻く, 捲く, と, 枕く, 婚く, 纏く, と 播く, 撒く, 蒔く, と, その他由来を異にする, 負く, 設く, 任く, 罷く, …

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まる(麿・丸)

麿, 丸, と当てる「まる」は, まる(丸・円) で触れた「まる(丸・円)」と同じく, まろ, の転である。「まろ」は, 麻呂, 麿, と当てる。 「一人称,主として平安時代以降,上下,男女を通じて使われた」(『広辞苑第5版』), とあり,『大言海』は,「まろ(麿・麻呂)」の項を三つ別に立てている。第一は, 「麿は麻呂の合字,生…

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「霜」は,いうまでもなく, 「0℃以下に冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気が昇華(固体化)し、氷の結晶として堆積したもの」 である(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%9C)。 「霜」(漢音ソウ,呉音シュウ)の字は, 「会意兼形声。『雨+音符相(たてにむかいあう,別々に並び立つ)』。霜柱がたてに並び立つことに着目したもの」 …

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へつらう

「へつらう」は, 諂う, 諛う, と当てる。 人の気に入るように振舞う,媚びる,おもねる, 意である。 「諂」(テン)の字は, 「会意兼形声。臽(カン・タン)は,くぼむ,穴に落すの意をあらわす。諂はそれを音符とし,言を加えた字。わざとへりくだって足いてを穴に落すこと」 とあり(『漢字源』),へつらう,人の気にいるようなことをいってこびる意である。 …

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皮肉

「皮肉」は, 皮と肉。転じて,からだ, の意であり, (骨と髄にまで達していない意)うわべ,表面,理解や解釈の浅い所, の意まではよく分かる。しかし, 意地のわるい言動。骨身にこたえるような痛烈な非難。また,遠まわしに意地悪を言ったりしたりすること。また,そのさま。あてこすり, さらに,それをメタファにした,「運命の皮肉」というような, 思いどおりに…

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奥行

古井由吉『この道』を読む。 好きな作家の近作である。八十路を超えてなお,この旺盛な筆力はただ事ではない。二歳年長の健三郎は新作を書かなくなって久しいのに比べると,その筆力は際立つ。 古井由吉については, http://ppnetwork.seesaa.net/article/423068214.html http://ppnetwork.seesaa.net/ar…

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なう

「あきなふ(う)」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/470686640.html?1570218138)で触れたように、「あきなう」の「なう」は、 接尾語、 とみられる(広辞苑)。これは、 おこなう、 あがなう、 になう、 ともなう、 つぐなう、 いざなう、 おぎなう、 そこなう、 うべなう、 うらなう、 等々…

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クルミ

「クルミ」は、 胡桃、 山胡桃、 と当てる(広辞苑)。食用の利用としては、縄文時代から種実の出土事例があり、オニグルミを中心に食料として利用されていたと考えられている。オニグルミ、ヒメグルミ、ノグルミなどの名が天平時代から用いられている(たべもの語源辞典)らしい。また、 「もっとも古い記録は、天平宝字六年(七六二)十二月の『東大寺正倉院文書』に、『十八文買胡桃二升直』とあ…

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しぎ

「しぎ」は、 鴫、 鷸、 と当てる。「鴫」は、国字。「鷸」(漢音イツ、呉音イチ)は、 「会意兼形声。矞(イツ)は、すばやく避けるとの意を含む。鷸はそれを音符とし、鳥を加えた」 とあり、「しぎ」の意だが、「カワセミ」の意も持つ。 鷸蚌(いつぼう)之争、 という諺がある。鷸(しぎ)と蚌(はまぐり)が、くちばしと貝殻を互いに挟みあって争っているうちに、両方共漁…

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雉も鳴かずば

「きじ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/459827203.html)については、触れたことがあるが、少し補足的に追加しておきたい。 「雉」(漢音チ、呉音ジ)は、 「会意兼形声。『隹+音符矢(シ・チ)』で、真っすぐ矢のように飛ぶ鳥の意。転じて、真っすぐな直線をはかる単位に用いる」 とある(漢字源)。 「矢は直線状に数十mとんで…

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