寓話

前川知大作・演出『新しい祝日』を観た。 http://www.geigeki.jp/performance/theater071/ 寓話だと思う。寓話とは, 比喩によって人間の生活に馴染みの深いできごとを見せ,それによって諭す事を意図した物語。 つまり,物語自体が,何かのメタファになっているということである。あるいは,寓意,寓意とは, ある意味を,直接には表さず…

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時代性

芝居を観た。 蓬莱竜太作・演出『悲しみよ,消えないでくれ』である。 パンフレットには, 「現実が虚構(フィクション)を超えることが当たり前となった現代社会において、『演劇』を作り続ける意義を問い続け、『正しい解答』を限定し明示するのではなく、観るもの夫々の心の底に沈む『思い』に目をこらし、それをすくい上げるようなひと時を提供する、蓬莱竜太の新作書き下ろし公演。独特の存在感に…

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狂人なおもて往生をとぐ

作・清水邦夫,演出・熊林弘高『狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕達は愛した~』 http://www.geigeki.jp/performance/theater069/ を観た。 狂人なおもて往生をとぐ は,もちろん,親鸞の, 善人なおもて往生をとぐ いわんや悪人をや のもじりである。だから,こうなる。 狂人なおもて往生をとぐいわんや常人をや と…

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砂の骨

劇団トラッシュマスターズの『砂の骨』(作・演出中都留章仁)を観てきた。 http://setagaya-pt.jp/theater_info/2015/03/post_390.html http://www.lcp.jp/trash/next.html 幾世代か前の作家すら,真正面で取り組まなかったような,今日の日本社会を主題に,真正面から取り上げていることに,妙に感動…

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満月の人

作/演出/東 憲司 『満月の人よ』を観てきた。再演のようであるが, http://ameblo.jp/shihofujisawa/entry-11988172280.html 出演は,村井國夫,山崎銀之丞,藤澤志帆,岡本麗の4人だけである。4人とも,達者で,ほとんど飽きさせない。最前列だったせいか,表情がよく見える。わずかなしぐさ,顔の変化が見て取れる。いい経験であった。 それ…

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気がかり

http://www.lebal.jp/stage/new/ 『蜜柑とユウウツ』(作・長田育恵,演出・マキノノゾミ)を観た。 https://www.geigeki.jp/performance/theater086/ 20歳で終戦を迎え,夫の死後30年を一人で生きた,戦後を代表する詩人・茨木のり子の人生を,ちょっと変わった趣向で振り返る形になっている。 死ん…

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花火

先日,ご縁があって,『師弟ヤング・マスター~僕と先生との十日間~』を観た。 http://www.acfactory.com/%E5%85%AC%E6%BC%94%E6%83%85%E5%A0%B1.html 倉田アクションクラブ40周年×ACファクトリー20周年と題されているが,どちらかというと, 「師匠倉田保昭と弟子たちのコラボ公演」 がウリらしい。まあ,…

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文字

方の会第58回公演 作・平山陽,演出・狭間鉄, 『散り往く雪~京助と幸恵~』 を拝見してきた。いわば,言語学者金田一京助が,アイヌ研究を進めるプロセスで出会ったアイヌの少女知里幸恵との,『アイヌ神謡集』としてまとめる前後のエピソードを劇化したものだが,一方で金田一のアイヌ研究の進捗があり,他方で,少女幸恵が進学し,差別のなかで成長していく過程があり,それが交錯し,共にアイヌ研究に…

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Infinity

ハグハグ共和国という劇団の「infinity」という芝居 http://hughug.com/infinity/index.html を,知り合いが出ていると言うので拝見した。 Infinity, つまり「無限」である。無限とは, 限界がないこと,無際限, であるが,時間軸でいうなら,それは, 果てがない, ことではあるが, 永遠…

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物語

方の会第六十回記念公演『幕末明治・高橋お伝』(原案・福原秀雄,作・若菜トシヒロ,演出・狭間鉄)を観てきた。 僕自身もそうだが,お伝について知っている人は,もはや少ない。概要は, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E3%81%8A%E4%BC%9D に詳しい。実像はともかく,ここでは,お伝は,武家の出で,…

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死者の思い

ハグハグ共和国という劇団の「青の鳥 レテの森」(作演出・久光真央)を観てきた。 同じ劇団の「infinity」という芝居については,昨年, http://ppnetwork.seesaa.net/article/441793799.html で触れた。 芝居の構造は,前作と同じだ。前作は,ホスピス病棟,今回は,架空の森,そこで,登場する何組かがドタバタする,と…

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思いの重奏

方の会第61回公演「はかなくも また,かなしくも」(作・平山陽,演出・狭山鉄)を観る。 啄木の死後,その作品を世に出そうとした土岐哀果ら友人,知人などの人々と残された妻子の物語,である。それを,残された詩歌,手紙を介して,綴っていく。 そのとき,読む人によって,その詩句や手紙の文面の言葉に読みこむ思いや感情は,発信者と受信者とでは違うはずである。あるいはズレルといってもい…

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