2013年10月15日

お蔭様



お蔭様

は,いい言葉だか,自分はずっと苦手にしてきた。というか,おれがおれがの性分で,すべてをおのが手柄とする傾向があった。今でもないとは言えない。自分に対するそういう自負心がなくなったらおしまいじゃないか,という気持ちが強い。

自恃,

自らを恃む気持ちがなくなったら,おしまいではないか。

人に頼るのを,だから,ずっとよしとしなかった。

而立

とはそういうことだと,思ってきた。

何でも人に頼る,ということを嫌ったのは,教えを乞うた時,相手が「自分で考えろ」というそぶりを見せたのが,たぶん,心に焼き付いている。

でも考えたら当たり前かもしれない。おのれの才覚で必死に考え付いたノウハウを,昨日今日始めたやつに,ただ手渡しても,そのありがたみがわかるはずはない。

ただ教えればいいというものではない。

啐啄同時

という言葉があるが,タイミングがある。孔子曰く,

如之何(いかん),如之何と曰わざる者は,吾如之何ともする未(な)きのみ

とあるし,

噴せずんば啓せず,悱せずんば発せず

とも言う。だから,人に教えるのが嫌だというのではない。

不思議だが,自分でとことん考えたことは,

教えたい。

聞いてほしい。

使ってほしい。

人から聞いたこと,学んだことは,教えたくても教えようがない。ネタバレしそうだということもあるが,それよりなにより,その背景となるバックグラウンドというか,コアとなる思想というか,哲学が欠けている。そもそもない。

何でもオープンに手渡して怯まなくなったのは,しばらくたってからだ。真似ができるなら,どうぞという不遜な考えではない。自分が必死で考えたものだからこそ,それを使ってくれるなら喜んで,使ってもらいたい,それだけのことだ。

思えば,そこには,自分がいる。自分がある。誰かの世話というより,

先人の肩の上に立っている,

ということなのだ。だから,最近,リーダーシップもこう考えるようになった。

リーダーシップは,人に協力や支援を求めて,一緒にこと(問題解決や何かの実現)に当たってもらうべく,自分が積極的に必要な人に働きかけていくことである,と。

そのとき,どれだけ人を巻き込んでいく力があるか,である。

そのために必要なのは,

・「何のために」「何を目指して」という,意味づけ(組織全体にとっての,その仕事にとっての,各自にとっての,その問題にとっての等々)が明示でき,
・必要な人々に,その意味をきちんと伝えていく力があり,
・めざすことを一緒にやっていくための土俵(協働関係)をつくれ,
・協力してくれた相手,サポートしてくれた人への感謝と承認を怠らないこと,
である,

と。

肝は,最後にある。

協力してくれた相手,サポートしてくれた人への感謝と承認を怠らないこと,

とは,

「お陰様で」

と言えるかどうかである。これがなければ,

画竜点睛を欠く,

あるいは,

九仞の功を一簣に虧く,

である。一発屋のリーダーシップというのはありえない。まして,リーダーシップはリーダーの役割行動とは別のものだ。

つくづく,これを欠くリーダーは多いが,それが欠けた瞬間,その人は,リーダーシップの何たるかがわかっていない,という目印である。

リーダーとしての役割なら,(あるにこしたことはないが)なくても問題視はされない。それがその人の役割(社長としての,課長としての,部長としての職務権限,裁量)からくるものだから。

しかし,リーダーシップにこれを欠いたら,誰も,二度と協力しないだろう。

そして思う。リーダーシップというのは,その人の仕事の仕方の延長線上にある,と。

いつも自分で抱え込んで(自分の技量と才覚にのみ頼って),自己完結した仕事の仕方をしてきた人は,チームを預かるようになっても,チーム内で何とか完結して仕事をしようとする。しかし,チームレベルでは(本来は,個人レベルでもそうなのだが),自己完結して仕事ができるはずはないし,自分たちだけで解決できない問題が必ず起こる。それでもそれを何とかチーム内で背負い込んでやり遂げようとする。当然そうすれば,自分がつぶれるか,チームがつぶれる。

仕事は,自分の器量と技量と裁量内でやろうとすれば,自分の持つリソースだけの仕事しかできない。それを超えた大きな仕事はできない。

仕事の出来る人は,人のサポートや支援を得て,自分の器量と技量と裁量を超えた,大きな仕事をする。本来仕事はそういうものだ。その延長線上に,リーダーシップはある。だから,仕事の仕方なのだ。

とすれば当然,「お陰様」はついて回る。というか,そもそもそれなしに,自分の技量と器量と裁量を超えた仕事ができるはずはない。

参考文献;
貝塚茂樹訳注『論語』(中公文庫)

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm




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posted by Toshi at 05:21
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