2015年03月31日

造形


第74回ブリーフ・セラピー研究会定例研究会,「システムズアプローチによる介入戦略を再検討する-家族像形法を用いた自己チェック」(吉川悟 龍谷大学文学部教授)

https://www.facebook.com/events/849023001818084/

に参加してきた。

「家族造形法は、1960年代にアメリカを中心に普及した家族療法における介入技法として位置づけられており、現在では、臨床家のトレーニングにも応用されるようになっています。今回の研修会では、この家族造形法を用いて、自身の事例に対する介入戦略を自己チェックできる方法を示し、参加者が自らの持つ事例を想定した介入戦略そのものを再検討します。」

ということで,自分のケースを素材に,クライエントの家族関係を造形してみることで,自分がわかっていること,わかっていないこと,意外な気づきを得た。

「家族造形法」は,

「家族造形法(Family Sculpture)は、1960年後半、心理劇の背景を持つDavid Kantorによって始められた家族療法の技法であり、duhl B., Papp P., Satir V.などの体験学派の家族療法家によって広められてきた。精神療法やカウンセリングは家族(関係)に関する語り中心の手法であるが、家族造形法は家族メンバーを彫刻として配置することを通して、家族のパターンを見、家族の心理的距離を視覚化できるため、家族の関係に対して直接的に関与する手法とされており、診断的側面、治療的側面の両方を備えている。相談場面において、家族を彫刻として家族のイメージや風景を造形するのだが、その造形役は、家族成員を一人ずつ空間に配置し、姿勢、視線、表情などを作っていくことが基本である。全員を配置し、姿勢、視線、表情などを作り、全員を配置後、一定時間静止し、各役柄上の感情や気持ちに集中する。そして、どのような感情が湧いてきたかなどをお互いにフィードバックするものである。)

というものであるが,僕は,以前,システムコーチングを紹介する人から,例えば,家族構成員,あるいは,チーム構成員の役割を割り振って,そこでの関係を,

立ち位置,
相互の距離感,
向き合い方,

等々で,構成員間の関係をビジュアライズするのを体験させてもらったことがあるので,ああ,これがネタ元か,と腑に落ちるところがあった。

今回は,例えば,ケースの関係者が,父と母,長男と,次男,という家族関係だとすると,その四人役を,まずは,自分(セラピスト)が,イメージする,クライエントを中心とした,家族関係を,

立ち位置(座るもあるし,寝転がるもある等々),
相互の距離(相互の心理的隔てを距離で示す),
お互いの向き(正対なのか,斜めなのか,背中合わせなのか),
表情(悲しげ,辛そう,怒り,等々),
しぐさ(拳を振り上げている,手をつないでいる,肩に手を置いている等々),

等々を具体的に,それぞれの役割の人に担ってもらって,造形し,その後10秒フリーズする。そして,それぞれの役割を担った人に,そのとき感じたことを,言語化してもらう。ついで,クライエント役の人が,その関係配置で感じている相互関係のイメージを,配置し直し,造形し直してもらう。

そこで,セラピストの感じていた配置と,まったく違う関係構図が造形されることがあり,ある意味で,セラピストが想定していたクライエントとクライエントの背後の人間関係の見直しを迫ることがある。ここが,意外と,尖鋭であった。

「実際のクライエント家族に使うのは,(よほど治療者との関係が出来ている場合を除いて)おすすめしない」

と,吉川先生が,言われたのは,たとえば,IP(Identified Patient;患者と見なされた人)である子供が,両親の関係を,赤裸々に表現することの衝撃が大きすぎる,ということで,自分の事例のアセスメントや教育分析の訓練手法として使うというのが,実際であるようだ。

いってみると,

「家族造形法は基本的に家族に内在する問題や心理的葛藤を『家族造形』として象徴化する」

ことによって,見える化をはかることになる。ただ,その問題関係の造形は,セラピストが見るのと,クライエントが見るのとも,さらに,他の構成員から見るのとでも,違う。しかし,何のために,これをするかと言うと,どういう関係の変化を起こせばいいか(どう介入するか)を,セラピストが考えるキャンバスとしてであって,その意味ではなかなか興味深い。

ただ,自分のケースで,関係を造形してみようとすると,いかに大事な情報が抜けているか,に気づく。その意味では,セラピスト自身の面接のアセスメントにもなっている。

大事なことは,あくまで,変化を起こすためのきっかけを見つける手段であるので,たとえば,

セラピストのつくった造形

を,

セラピストの考える小さな変化を起こした造形

にどう変えていくか,その変化をどういうアプローチですればいいのか,そして,

セラピストの最終ゴール

に,どういうプロセスを経て持っていく(介入していく)か,を考えていく。そのとき,小さな変化によって,

誰が,楽になったか,
誰が,苦しくなったか,

その不満というか,感覚を,セラピストがきちんと予想できた上で,変化を起させたのか(介入したのか),セラピストの構想力が問われてくる。

「変化」

というものを,どうも大袈裟に考えすぎる,と吉川先生は,おっしゃる。たとえば,

(IPが)わずかに首をかしげた,

という動作だけで,「なにそれ?」と,それに反応する変化は起きる。不登校の息子との関係で,父親が,妹とちょっと一緒に散歩に出る,というだけで,変化は起きる,という。

家族はシステム,

である。ということは,わずかな身じろぎでも,その影響は,他の成員全体に波及する。

ソリューション・フォーカスト・アプローチでも,

「小さな変化は,大きな変化を生みだす。」

という。ミルトン・エリクソンは,

「緩やかな変化」

といった。「風が吹けば桶屋が儲かる」式の,漣のような変化の連続を,どう,誰に,どんなふうに起こさせるか,結局,セラピストが何を見ているか,に左右される。

最後に,セラピスト自身を,その家族の関係図の中に,どういう位置関係で,置いてもらえるか,と問われた。それは,ソリューション・フォーカスト・アプローチで,クライエントの自己対話の中に,セラピストの問いが紛れ込むのに似ている,と感じた。






今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 05:32
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