2015年11月19日

紅葉狩り


紅葉狩りというのは,

山野に紅葉を尋ねて鑑賞すること,観楓,

と,辞書(『広辞苑』)にはある。狩りは,『古語辞典』には,

「駆りと同根」

とあるので,「追い立てる」という意味があり,本来は,

鳥獣を追い立てて獲る,

で,『大言海』では,転じて,

魚・貝をとること,

という意味となり,さらに転じて,

草木を探し求める,

という意味がある。辞書(『広辞苑』)には,

薬草・松茸・蛍・桜・紅葉などを尋ね捜し,採集,または鑑賞すること

と,載る。いまは,紅葉狩りの他は,

ぶどう狩り
だの
いちご狩り
だの,
蛍狩り
だの,
茸狩り
だの,

と言った言葉に残っているが,

狩猟採集,

と対で言っていたのには意味があるらしい。

かつては,桜にも,

桜狩り,

と言ったようで,『方丈記』に,

「桜を狩り,もみじをもとめ」

という一説がある,と『古語辞典』に例文が載る。また,藤原定家の和歌に,

桜狩り 霞の下に今日くれぬ 一夜宿かせ 春お山もり

という歌があるらしく,春の『花見』ことを『桜狩り』といっていたこともあるようだ。 今では「紅葉狩り」以外に,「眺める意味」としてはあまり使われない。桜を狩る(折る)ことは,いつの間にか風習として禁止されたのも大きいかもしれない。ただ,「狩り」というのは,

「平安時代には実際に紅葉した木の枝を手折り(狩り)、手のひらにのせて鑑賞する、という鑑賞方法。」

だったとされ,その意味では,紅葉だけは,「狩り」を可能にしたのが大きいのかもしれない。

梅にも,現在でも,梅狩りという言葉があるようだが,これは,梅の実を狩ることで,文字通り収穫である。梅(うめ)は,

中国音(呉音)を写したもので,平安時代にmumeと発音したので,古写本には「むめ」と書くものが多い,

と,『古語辞典』にはある。中国から渡来したもので,平安以降特に香をめでていた。だから,「狩らない」のではないか,と想像する。

http://ppnetwork.seesaa.net/article/406309247.html

http://ppnetwork.seesaa.net/article/406252031.html

でも書いたように,われわれ日本人は,ものの見方や感じ方を様々,中国由来から学んできた。まるで日本人の心性と言われるものも,たどると,中国由来だったりする。詩人の高橋睦郎氏は,

「日本人は中国から文字の読み書きを教わると同時に,花鳥風月を賞でることも学んだ。花に関してはとくに梅を愛することを学んだが,そのうち自前の花が欲しくなり桜を賞でるようになった。梅に較べて桜は花期が短いので,いきおいはかなさの感覚が養われる。」

とその機微を語っている。あるいは,陶淵明の詩,

廬を結んで人境在り,而も車馬の喧しき無し
君に問う何ぞ能く爾ると,心遠ければ地もまた自ら偏なり
菊を採る東籬の下,悠然として南山を見る
山の気は日夕に佳し,飛ぶ鳥は相い与に還る
此の中に真意有り,弁ぜんと欲して已に言を忘る

は有名だが,元来,日本には,秋を悲しむ感情はなかったという。この詩をはじめ,中国の詩人にとっては,「悲秋」の感情である。いま,われわれは秋にもの悲しさを感じるのは,彼ら中国詩人の見せた光景から端を発している。あるいは,その言葉を知ることによって,その悲しみを見る。だから,

「奥山に 紅葉(もみぢ)踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」(古今和歌集)

という感性は,輸入品なのだ,ということができる。しかし,その感性と,

紅葉狩り,

は少し違う。どうやら,秋の美しさをさまざまに歌っている日本人の本来の感性の流れの中に位置づけられる,気がする。その行き着く先は,たとえば,

「江戸時代中期ころ、富裕な商人が生まれ町民文化が華やかになるのとともに、紅葉狩りは行楽として爆発的な人気になりました。その火付け役となったのが『都名勝図会』などの名所案内本です。紅葉の名所を紹介すると、たちまちそこに人が押し寄せました。同じ版元が出した『友禅雛(ひいな)形』と呼ばれる小袖(着物)のデザイン本も女性の間で引っ張りだことなり、「竜田川の紅葉」や「紅葉の名所」をデザインした最先端の小袖を着て紅葉狩りに出掛けるのがステータスだったのです。平安時代の歴史物語『大鏡』に、藤原道長が大堰川に漢詩の舟、和歌の舟、管弦の舟を浮かべて紅葉を楽しんだという記述がありますが、そのころは紅葉の山を遠目に見ていました。それに対して、江戸時代になると紅葉の木の下に幕を張り、お弁当やお酒を持ち込んで花見同様どんちゃん騒ぎをしました。現代とまったく同じです。そこに宗教観はなく、遊興の楽しい気分だけがありました。」

というところになる。

参考文献;
http://souda-kyoto.jp/knowledge/kyoto_person/vol3.html


ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:30
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