2015年12月13日

ソフト


金沢を訪問したついでに,評判の,金沢21世紀美術館,

https://www.kanazawa21.jp/

を訪問した。絵画に全くの知識のない素人が言うのも口幅ったいが,正直がっかりした。評判倒れとはこのことだ。

丁度開催されていたのは,

「誰が世界を翻訳するのか」

と題された現代アート展であった。

「015年度の金沢21世紀美術館展覧会事業は、『ザ・コンテンポラリー』と題し、今日の世界を照射する現代美術の作品について考察しています。」

ということで,

春・夏の「ザ・コンテンポラリー1 われらの時代:ポスト工業化社会の美術」

に続く,

秋・冬の「ザ・コンテンポラリー2 誰が世界を翻訳するのか」

だそうである。で,曰く,

「異なる文化に立脚した現代美術作家たちが、自らが属する共同体を取り巻く世界の有り様をどのように捉え、伝えていこうとしているのか、特に異文化間を『移動』『横断』していくことが常態化している現代社会においては、あらゆる関係が流動的であり、これまでに描かれた歴史や価値観も、誰がそれを伝えるのかによって、さまざまな意味を浮き彫りにします。本展は特に周縁地域から爆発的に生まれ続ける多様な作品を生への『実践』と捉え、私たちと同じ時代に別々の場所で別々の時間を生きる人々が、世界をどのように見ているのかについて、考えていきます。」

とある。現代アートについても,詳しくないので,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/407311875.html

で書いた,

ヨコハマトリエンナーレ,

http://www.yokohamatriennale.jp/2014/index.html

を頭に起きながら,比較していた。

「世界を翻訳」とは,僕流に言い換えると,

新たな視界を開く,

あるいは,

見馴れた「地」に新たな「図」を見つけ出す,

という,作家の世界観の表現がある,ということなのだろうと,誰もが期待する。しかし,たとえば,

たとえば,壁面いっぱいに布を垂らした,エル・アナツイの,

パースペクティブ,

は,

パースペクティブ.jpg


ギャグにしか見えない。この布に,パースペクティブを遮るだけの世界観があるとは思えない。僕がもっとも面白いと思ったのは,アルフレド &イザベル・アキリザンの,

移動-もうひとつの国

だが,これは,ひっくり返って,転倒した船の造形が,「移動」と題されていることだ。一種皮肉りながら,この世界の中で,逆立ちする夢,

どこにもない国へ行く夢,

を,一つの世界として見せている気がして,惹かれた。我々にとって,夢とは,

逆立ちそのもの,

だが,その夢そのものもまた転倒している。逆の逆が正立とはならない。

もう一つの国.jpg


しかし,規模は仕方がないとしても,全体として物足りないと感じていたのは,その直前,石川県立博物館

http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/gaiyo/index.html

を訪ねていて,そこで観た,

鴨居玲

http://www2.plala.or.jp/Donna/camoy.htm

の「くものいと」

http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/syozou/sakuhin_detail.php?SakuNo=08048000

がずっと頭に残っていて,無意識にそれと比較していたのかもしれない。その絵にある,

思いの暗さと深さ,

と対比して,多くは,軽く(ちゃっちいと言い換えてもいい),どこにも破壊力を感じさせるものがなかった。

最後に,どうして,作品リストのペーパー位,入場者に渡さないのだろう。最近,言うと,コピーを出してきたりするケースがあるが,ここでは,しれっと,ありません,という。

空間自体,

というか,

展示スペース自体

が作品というのだろうか。それにしては,回遊させる空間に,そんなコンセプトがあるようには見えなかった。

DSC06210.JPG


DSC06218.JPG


むしろ,今回の展示とは関係なく,建物のあちこちに仕掛けられた構造の面白さの方が,展示されている作品を上回っていたように思えた。これは,美術館としていいことかどうかは知らない。ただ,ハコモノに強いが,ソフトに弱い,いまだに「ものづくり日本」というしかない我が国の未来に,ふと危惧を懐かせた。


ホームページ;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/index.htm

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:51
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