2017年02月17日

ほこり


「ほこり」は,

埃,

の「ほこり」と,

誇り,

の「ほこり」がある。前者は,

こまかな塵のとぶもの,綿のようなゴミ,

で,そのアナロジーから,

数量や金銭のはした,余り,

といった意味に使われる。後者は,

誇ること,自慢に想うこと,名誉に感じること,また,その心,

である。面白いのは,『大言海』の「ほこり(埃)」の項に,

「誇りの意ならむ。誇るの條をみよ。」

とあることだ。「ほこ(誇)る」の項には,

誇る,
矜る,
伐る,

を当て,

「驕(おご)るの大ごるの上略と云ふ。廣ごるなどと同意と云ふ。或いは云ふ,秀(ほ)起こるの約かと」

とある。『大言海』は,「ほこり」に,

誇り,
埃,

の他に,もう一つ,火偏に枲「音シ,訓カラムシ」の字を当てて,

「火起(ほおこり)にて,火中より起これる灰燼の意と云う」

とある。『大言海』で見ると,

埃,

誇り,

も同源ということになる。しかし,『語源辞典』には,「ほこ(誇)る」については,

「ホ(目立つ)+コロホフ(がる)」

で,目立つようにする,得意がるの意,とある。「ほこ(誇)る」の語源説としては,その他に,

オゴル(驕・奢)の義(日本釈名・言名梯),
オホ(大)ゴルの上略。オホゴルはオゴルの意(大言海),
オホコル(秀起)の義(名言通・和訓栞・言葉の根しらべ),
ホコユル(穂肥)の義(柴門和語類集),
ホコ居の義。ホは上に現れる意,コは所の意(国語本義),

等々がある。「ほこり(埃)」は,

「火+おき」

で,

「ホオキ,ホオコリ,ホコリとなった語と考えます。火をおこし,燃え尽き,後に残ったものをオキと言います。焚火の後の灰の微粒が,ホ(火)コリで,それに近い,役に立たない微細な塵埃をもいうようになったものです。」

とある。「ほこり(埃)」の語源説には,その他に,

ホオコリ(火起)の義(東雅・名言通・言葉の根しらべ・大言海)
ホは火の義。コリは残りの義(日本釈名),
火凝の義(和訓栞),
ホケリ(火気)の義(言元梯),
立ち放こる意(日本語源),

などがある。『語源由来辞典』は,

http://gogen-allguide.com/ho/hokori.html

は,「ほこり(埃)」について,

「ほこりには、『ホオコリ(火起)』『ホケリ(火気)』『ホコゴリ(火凝)』『ホコリ(火残)』の意味 とする説がある。 『ほ』を『火』と関連付けるのは『灰』を想定したものと考えられるが、 元々『灰』を指していたものかは疑問である。 この他、『立ち放こる』の意味とする説や、 語根が似る『ほころぶ(綻ぶ)』と関連付けた説もあるが、未詳。」

としているが,どうやら,ここでも,

火起こり,

とつながるらしい。どうやら,

ほ(火),

との関係が深い。「ほのか」

http://ppnetwork.seesaa.net/article/446671381.html

で触れたが,「ひ(火)」の古形,「ほ(火)」の語源は,

ヒ(火)に通ず(『名語記』『和訓栞』),
ヒ(火)の中国音から(『外来語辞典』),
火の穂の義(『国語本義』),

等々で,

「キ(木)に対して,複合語に表れる『コ』(木立ち,木の葉)と並行的な関係にある」

とある。

火影,ほむら(炎),火焼け,ほたる(蛍),火照る,ほなか(火中)

等々,「ほ(火)」を当てる中に,「ほこり(埃・誇)」の「ほ(火)」を入れて見たくなる。

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm
posted by Toshi at 05:14
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