2017年07月29日

おめおめ


「おめおめ」は,

恥ずべき立場を意気地なく受け入れたり,不名誉にも平気でいたりするさま,

と,『広辞苑』には載る。

「今さらおめおめ(と)帰れない」
「よくもおめおめ(と)来られたものだ」

といった使い方をする。他には載らないが『広辞苑』には,

おめおめし,

と,形容詞化された言葉が載り,

意気地がない,
恥知らずである,

の意味が載る。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/o/omeome.html

には,

「『怯む』『臆する』などを意味する動詞『怖む』の連用形『おめ』を重ねた語で、『怖づ怖づ( おずおず)』よりは新しい語とされる。 鎌倉時代の軍記物語『保元物語』では、相手の威力に恐れて気おくれする意味で、『景能おめおめとなりて』と使われている。 この用法は、現在でも使われる『今さらおめおめと帰れない』と似ている。やがて、『臆することではあるけれども』といった意味合いから、『恥じるべきと解っていながら』の意味に転じた。『平家物語・志度合戦』では、恥ずかしげもなく平気に見えるさまの意味として、『おめおめと降人にそ参りけれ』と使われている。」

とあり,どうやら,

相手の威力に恐れて気おくれする→恥じるべきと解っていながら→恥ずかしげもなく平気に見えるさま,

と意味が,はじめは,臆した状態表現でしかなかったものが,怯んだ自分の心情表現へと転じ,更には,その状態への価値表現へと転じて来た,ということが見て取れる。

『岩波古語辞典』は,

臆め臆め,

と当て,

「動詞オメを重ねた語」

とある。

恐怖や恥辱に気おくれするさま,また,力及ばずして恥ずかしい思いをしながら相手に屈するさま,

という意味である。

動詞「臆め」は,

気後れする,臆する,

という意味である。つまり,気おくれした状態を表現していて,そのことへの価値判断はない。『大言海』は,

「怖(お)め怖(お)めの義。おめつおめつする意」

とあり,既に,

恥らひて,卑怯にふるまふ意に云ふ語」

と価値表現に転じている。『日本語源広辞典』には,

「怖め+怖め」

と当て,

恐れから恥をそそぐことをしないさま,

とあるので,語意の変化は,

気おくれ(という状態表現)

そのまま何もしない(怯んだ状態表現)

卑怯な振る舞い(未練な振る舞いという状態表現)

辱められても平気なさま(厚顔に見える価値表現)

と転じて来たことが見える。『擬音語・擬態語辞典』には,

「『おめおめ』は中世以降に見られる語。『景能おめおめとなりて…怠状をしければ』(『保元物語』)。恐れから卑怯にふるまう様子だったが,転じて恥知らずで平然としている様子という意味になった。」

とある。「厚顔」という意の「おめおめ」の類語には,

いけしゃあしゃあ(イケは接頭語だから,「しゃあしゃあ」。面憎いまでに平気でいるさま),
のうのう(暢気な気分),
ぬくぬく(平気なさま),
ぬけぬけ(厚かましいさま)
のめのめ(はずかしげもなく平気でいるさま)

だが,さらに,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/440877499.html

で触れた「のほほん」も,

面の皮が厚い,

という含意があったので,この一連に加えてもいいが,いずれも,擬態語なのではないか,という気がする。『擬音語・擬態語辞典』をみると,「おめおめ」「しゃあしゃあ」「のうのう」「ぬくぬく」は,いずれも載る。「おめおめ」は,

「気後れする,怖れるという意味を持つ『怖(お)む』の連用形を重ねた語である。同義の『怖ず』から『おずおず』という語ができたのと同じ作り方で,『おめおめ』の方が後にできた語といわれる。」

とある。さらに,

「『のめのめ』は近世から用いられた語。『おめおめ』の意味が変化したのは,この『のめのめ』と混同されたという説がある。」

としている。「のめのめ」は,『江戸語大辞典』では,

滑め滑め,

の字を当てている。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・浜西正人『類語新辞典』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

posted by Toshi at 04:45
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