2018年03月16日

まゆ(繭)


「まゆ」は,

繭,

と当てる。この「繭」(音ケン)の字は,

「『両側に垂れるさま+糸+虫』で,虫の糸が垂れて出てくるまゆをあらわす」

とある。

https://okjiten.jp/kanji1861.html

は,

「会意文字です。『桑』の象形と『より糸』の象形と『頭が大きくグロテスクな蚕(かいこ)』の象形から、糸を吐いて蚕が身を覆う『まゆ』を意味する『繭』という漢字が成り立ちました。」

と,より具体的である。

k-1861.gif



「まゆ(繭)」も「まゆ(眉)」と同様,

古形はマヨ(mayo),

である(『岩波古語辞典』)。『大言海』は,

「又,マヨ,訛して,マイ」

ともある。「まゆ(眉)」の項,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/457961706.html?1521057800

でも触れたように,『日本語の語源』は,「マユ(繭・眉)」として,

「『万葉集』に,マユ(繭・眉)をマヨという。マヨゴモリ(繭籠り)・ニヒクハマヨ(新桑繭)。マヨネ(眉根)・マヨガキ(眉書)・マヨヒキ(眉引き)など。雄略記のマユワ(眉輪)王が『古事記』にはマヨワ(目弱)王にかわっている。」

と述べている。漢字を当てなければ,「繭」も「眉」も「まゆ(よ)」でしかない。同源の可能性は高い気がする。『日本語源大辞典』は,

形が人の眉に似ているところから(名語記),
マユフ(眉生)の義(名言通・和訓栞・言葉の根しらべの=鈴木潔子),

と,眉と関連させる説もあるが,大勢ではない。その他に,

マユウ(真木綿)の義(和訓栞・言葉の根しらべの=鈴木潔子),
マは形の丸いことからか(国語の語根とその分類=大島正健),
マは接頭語,ユはイの転で蚕の尻から出す粘液質の糸状のものをいう(日本古語大辞典=松岡静雄・風土と言葉=宮良当壮),
さなぎで籠っている丸い空間でマヨ(曲節)(衣食住語源辞典=吉田金彦),
「マ(丸)+ヤ(家・屋・舎)」の音韻変化で,「丸い蚕の家」の意(日本語源広辞典),

等々があるが,「古形がマヨ」ということを考えると,「マユ」で語呂合わせをしているものは,省いていいのではないか,と思う。「まゆ(眉)」の項,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/457961706.html?1521057800

でも触れたが,『日本語源広辞典』は,「まゆげ」(眉毛)の語源を,

「マ(目)+ゆ・よ(そばにあるもの)+毛」

とする。「まよ」と関わらせている。とすると,「まゆ(眉)」の「ま」は,

丸,

で,「まゆ(繭)」の「ま」は,

目(「め」の古形),

ということになる。しかし,「まよ」で,「繭」と「眉」を指していた以上,「ま」は,両者に共通する別の意味なのかもしれない,という気がする。『岩波古語辞典』には載らないが,『大言海』に,接頭語「ま」について,

「御(ミ)また,實(ミ)に通ず」

として,「まことの,偽ならぬ」という意味が載る。「美(ほ)むる意」の発語,

「真(ま)」

にも転じている。とすると,「ま」ではなく「よ」の方に意味があったのかもしれないが,該当するものが見つからなかった。なお,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B9%AD

に,

「日本では繭という言葉は、多くの場合にカイコのそれを意味する。その豊作を祈願して、繭を擬した白い玉をこの枝に飾ったものを繭玉と称し、神社等で縁起物として使用する例もある。」

とある。

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参考文献;
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8

posted by Toshi at 05:09
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