2018年03月23日

つくし


「つくし」は,

土筆,

と当てる。

DSC06414.JPG


スギナの地下茎から早春に生ずる胞子茎,

を指す。

「スギナ(杉菜、学名:Equisetum arvense)は、シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属の植物の1種。日本に生育するトクサ類では最も小柄である。浅い地下に地下茎を伸ばしてよく繁茂する。生育には湿気の多い土壌が適しているが、畑地にも生え、難防除雑草である。その栄養茎をスギナ、胞子茎をツクシ(土筆)と呼ぶ」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AE%E3%83%8A)。

スギナ.JPG



要は,「つくし」は,「スギナの繁殖器」(『たべもの語源辞典』)ということになる。

「つくし」は,筆頭菜(ひっとうさい),ツクシンボ,ツクヅクシ(また,ツクツクシ),ツクヅクシバナ(土筆花)とも言う。古名はフデツバナ(筆茅花・ヒツチカ)と呼んだ(『たべもの語源辞典』)とあるが,『広辞苑』には,「ツクシの古称」としては,「つくづくし」といい,「つくづくしばな」ともいう,とある。『岩波古語辞典』もそうとしているし,『大言海』も,「つくし」は「ツクヅクシの略」としている。『源氏物語』などの用例から見ても,古称は,「つくづくし」なのだろう。

『大言海』の「つくし」の項を見ると,

つくづくし(土筆)の略,

とあり,「つくづくし」の項には,

「突くを重ぬ,突出の意。その形,筆の頭に似る故に,土筆と書す。杉菜(スギナ)の花」

とあり,筆頭菜(ひっとうさい),つくしんぼとも言うとある。。『日本語源広辞典』も,

「ツク(突き立った)+シ(クシ・細い柱)」

とする。『由来・語源辞典』(http://yain.jp/i/%E5%9C%9F%E7%AD%86)も,

「古くは『つくづくし』といい、『つくし』はそれを略したもの。『つく』は『突く』で、地面から突き出ることからとされる。また、その形が航行する船に水脈を知らせるために立てる杭『みおつくし(澪標)』に似ているところからこの名があるとする説もある。地面に筆を立てたように見えることから『土筆』と当てて書く。」

とする。どうやら,

土筆,

は,後の当て字である。

http://www.asahi-net.or.jp/~uu2n-mnt/yaso/yurai/yas_yur_tukusi.html

は,

「スギナに付いているから『付く子』と呼ぶようになったという説や、土を突いて地表に出てくるから『突く子』と呼ぶという説、節のところで切り離しても継ぐことができるから『継く子』になったという説などがある。また漢字の『土筆』はその姿形が筆に似ているところからあてられた字である。スギナ(杉菜)は草の姿が杉の木に似ているところから付けられた名だそうだが、『継く子』と同じ理由で『継ぎ菜』になったという説もある。」

と他の説も挙げている。ミオツクシ(澪標)のツクシから柱の意,としたのは柳田國男(野草雑記)らしいが,『たべもの語源辞典』が,

「初めツクツクシと呼ばれたことを考えると,ミオツクシのツクシというのは文学的ではあるがよくない。」

と,一蹴しているように,古名「つくづくし」から,語源を探らなくては,意味がないだろう。『日本語源大辞典』は,

ツク(突く)を重ねた語で突出の意(大言海),

以外,

ツキツクシキ(突々如)の義か(名言通),
ツクツクシ(突之串)の義(日本語原学=林甕臣),
節がトクサに似ているところから,トクサフシの転(名語記),

と,「突く」に絡むものが大勢である。『日本語の語源』は,

「ウツクシ(愛し。美し)は『かわいい。いとしい』から『あいらしく美しい』に転義した形容詞である。…土筆は,そのかわいらしい姿から,はじめ,ウツクシキモノ(愛しき物)と呼ばれていた。語頭を落としてツクシンボーに転音し,さらに下部を省略してツクシになった。これを重言したのが『源氏物語』に見えているツクヅクシである。香川県では語尾を落としてツクツクという地方(中讃)がある。
ネギの頭を葱坊主と呼んでゐるが,ツクシの花も法師頭の連想から関西方言ではツクツクボーシ(法師)という。兵庫県美方郡・鳥取・岡山・広島方言では上部を省略してホーシ(法師)といい,兵庫・島根県安濃郡・広島・香川・徳島県祖谷・愛媛・大分県ではホーシコ(法師子)と呼んでいる。」

としている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AE%E3%83%8A

も,「地域によっては「ほうしこ」(伊予弁等とも呼ばれる)としているが,『たべもの語源辞典』は,

「ツクシがかわいらしい姿をしているからウツクシキモノ(愛らしい物)と呼んだが,ウを落として,ツクシンボーと転音し,更に下部を略して,ツクシニナッタモノデ,ツクシの重言がツクヅクシであるという説などがあるが,いずれも無理である。ツクシンボーは法師で,ツクシ(土筆)を筆と見ないで法師頭と見たところからの名である。またツクシが生まれてから,それを重ねていってツクヅクシと呼ぶというのも逆行している。ツクヅクシが簡単にツクシとなるのが自然であり,歴史的に見ても関東では江戸時代以前にツクツクシとよばれていた。京阪では,文化・文政(1804-30)ころになって,やっとツクシというよび方が始まる。」

として,「ツクヅクシ」は,

「ツクは,『突く』である。ヅクも突くで,突くを重ねていった。つまり,つくづくと重なって出るからツクヅクシといったのである。また,突き出るの意と言う説もあるが,日本名の土筆と考えると,突き出る説も良いが,ツクヅクシは,ツクツクと重ねたところに重きをおくほうが良いと考えられる。ツクツクシと最後にシをつけたのも,重なって突き出てくる状態をいったものである。」

としている。

要は,「突き出る」か「突く突く」かの違いかに絞られそうだが,「つくづくし」と呼んだからには,「突く」というのとは違うニュアンスを出したかったのではないか。とすれば,「突く」ではなく,「突く突く」だと見なすのが,確かに自然には思える。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8

posted by Toshi at 04:30
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