2020年02月16日

猫にマタタビ


猫にマタタビ(木天蓼)、

という。

猫に木天蓼お女郎に小判、

とか、

猫に木天蓼女郎衆に小判犬に握り飯走って来い、

と続いたりする。

猫に木天蓼泣く子に乳房、
猫に木天蓼犬に伏苓(フクリョウ サルノコシカケ科のキノコ)、

ともいう。似た意味で、

牛の子に味噌、

ともいう。

大好物のたとえ、

としていう。

「ネコ科の動物トラ・ヒョウなどが喜ぶのは、茎・葉・実の中にあるマタタビラクトン・アクチニジンという成分が、ネコなどの大脳や延髄を麻痺させるからである。雄猫は非常に喜ぶが、コネコ雌猫は、雄猫ほどは喜ばない」

という(たべもの語源辞典)。

「マタタビ」は、

木天蓼、

と当てるが、

藤天蓼、

とも書き、

キマタタビ、

ともいう。

「この若葉を食用にするが、タデ(蓼)のように辛い。サルナシ科の蔓性の落葉灌木なので、木天蓼と書いた。雌雄別株で六、七月頃五弁の白い花が咲き夏になると三センチくらいのナツメのような実がなる。花か梅花に似ているので夏梅とか夏椿とも称する。秋、実は熟すると黄色になり、辛味があるが、熟した実はうまい」

とある(たべもの語源辞典)。

マタタビの両性花.jpg



と当てるが、「もくてんりょう」と訓み、漢方で、

中風やリュウマチの薬、

として、

マタタビの果実を乾燥させたもの、をいう。

「マタタビは民間的に神経痛やリウマチに応用され、薬用としては一般には『またたび酒』としての利用がよく知られています。市販品の瓶の中に入っている原材料を見ますと、薬用部位が果実であることがわかります。「またたび酒」には砲弾型をした正常な果実が使用されますが、乾燥して市販されているのはタマカの仲間の刺傷によりゴツゴツとした虫こぶとなった果実です。わが国ではこれを『木天蓼実』、『木天実』、あるいは単に『木天蓼』と言って薬用に供していますが、実は中国では蔓性の茎(昨今は枝と葉)を薬用にしてきました。」

とあるが、中国では、違うらしい。

「木天蓼が本草書に初めて記載されたのは唐代の『新修本草』で、『味辛温小毒有り。積聚(臓腑中に気が停滞集結して散らない病態)、風労(感冒による衰弱)、虚冷(虚して冷えること)を主(つかさど)り、苗藤を切って酒に浸すか或いは醸して酒にして服すると大いに効果がある』とあり、薬用酒を造る部位は茎であるとあります。ただ果実に関しては、『大棗のようで定まった形がなく、茄子のような種子をもち、味が辛くて姜や蓼に当てる』と記載があり、生姜やタデの代用食にされていたようで、味が辛いことから薬用としても『天蓼子は身体を温め、風湿を除くのに使う』と同じ唐代の『薬性論』に茎と良く似た薬効が記載されています。わが国でもっぱら果実を薬用にするのはこうした薬効の類似性と見た目の良さに依っているのかも知れませんが、虫えい(虫瘤)が好まれるようになった理由は定かではありません。あるいは虫えいの方が単に水分が少なくて保存性に勝っていたからなのかも知れません。」

https://www.uchidawakanyaku.co.jp/tamatebako/shoyaku_s.html?page=071、中国とわが国では、薬用にした部位が異なっているようである。ちなみに、「虫えい(虫癭)」とは、

虫こぶ(虫瘤)

の意で、

植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のこと、

であるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E3%81%93%E3%81%B6。葉や細枝、花や果実などにも見られるとある。

さて、「マタタビ」は、古名は、

ワタタビ(蒟醤)、

きんま(蒟醤)、

であり、一名、

萆発(ひはつ)、

であり、

木蓼、
天蓼、
辛椿、

いずれも「またたび」である、とある(たべもの語源辞典)。「マタタビ」は、

ワタタビの転、

である(仝上、大言海)。古くは『本草和名』(918年)に、

和多々比(わたたひ)、

『延喜式』(927年)に、

和太太備(わたたび)、

の名で見えるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%BF%E3%83%93、とある。

マタタビの実.jpg



「疲れた旅人がマタタビの実を食べたところ、再び旅を続けることが出来るようになった」ことから「復(また)旅」と名づけられたというのは、俗説である。

長い実と平たい実と二つなることから、「マタツミ」の転訛(日本釈名・滑稽雑誌所引和訓義解)、
アイヌ語の、「マタタンプ(マタは冬、タンプは亀の甲の意味)」が転じた(秋田の方言で、「マタタンブ」という。「ワタタビ」も、「マタタンプ」の転)(牧野新日本植物図鑑、語源由来辞典)、
和製漢語の天蓼、アマ(ヤマ)+タデ(蓼)に、接尾語ビ(ヒリヒリ辛味)の音韻変化(日本語源広辞典)、

等々諸説あり、

アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが、現在最も有力な説のようである、

としhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%BF%E3%83%93

「『牧野新日本植物図鑑』によるとアイヌ語で、『マタ』は『冬』、『タムブ』は『亀の甲』の意味で、虫えいを意味するとされる。一方で、『植物和名の研究』(深津正)や『分類アイヌ語辞典』(知里真志保)によると『タムブ』は苞(つと)の意味であるとする」

とある(仝上)。しかし、たべもの語源辞典は、

「(ワタタビの)ワは、本物でないもの、偽のものという意味で、タタは蓼、ビはミがなまったものである。女房ことばにタデの辛い葉の汁をタタミジル(蓼水汁)と呼んでいる。古くはタデをタタといった。ワタタミ(偽蓼実)がワタタビ・マタタビとなった」

としている。アイヌ語を採らなくても、「木天蓼」と「蓼」を使っている以上、蓼との関連があると思うのが自然ではないか。似た説に、

ワルタダレミ(悪爛実)の転。ワルはワサビのワと同じ。タダレはタデ(蓼)と同じ(名言通)、

もあるが、「蓼」の語源説に、

爛れの意にて、口舌辛きより云ふ、

とある(大言海)。ならば、「タダレ」でなく「タデ」でよいのではないか。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 05:05
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