2020年02月21日


「寺」は、

寺院、

の意であるが、特に、

三井寺、

つまり、

園城寺、

を指す、とある(広辞苑、岩波古語辞典、大言海)。他に、寺銭、寺子屋の略でも使うが、「寺」(漢音シ、呉音ジ)は、

「会意兼形声。「寸(て)+音符之(足で進む)」。手足を動かして働くこと。侍(はべる)や接待の待の原字。転じて雑用をつかさどる役所のこと。また漢代に西域から来た僧を鴻臚寺(コウロジ)という接待所に泊めたため、のち寺を仏寺の意に用いるようになった」

とある(漢字源)。同様、

「本来、中国漢代においては、外国の使節を接待するための役所(現代でいう外務省)であったが、後漢の明帝の時にインドから訪れた2人の僧侶を鴻臚寺(こうろじ)という役所に泊まらせ、その後、この僧侶達のために白馬寺を建てさせ、住まわせたことが、中国仏教寺院の始まりである」

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BA%E9%99%A2

法隆寺・西院伽藍遠景.jpg

(法隆寺・西院伽藍遠景 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E9%9A%86%E5%AF%BAより)

また、日本では、薬師、大師、不動尊は、

寺、

で、大社、稲荷、神宮、八幡、天神は、

神社、

を指す(仝上)、ということになる。

寺院の建造物は、

礼拝(らいはい)の対象を祀る「堂塔」

と、

僧衆が居住する「僧坊」

とに、区分される。「堂塔」は、釈迦もしくは仏陀の墓を指すので、祖形は、

土饅頭型、

であったが、中国などで堂塔となり、その様式が日本に入ってきて、三重塔・五重塔・七重塔などが立てられた。「僧坊」は、インドではヴィハーラと名づけられて、僧侶が宿泊する場所であり、釈迦在世の時代から寄進された土地を指したが、中国に入ると僧坊が建設されることが多くなり、堂塔が併設された(仝上)。

「寺」の語源は、広辞苑は、

パーリ語thera(長老)、
または、
朝鮮語chyöl(礼拝所)、

とし、大言海も、

刹(セツ)の字の朝鮮語の、chyöl(礼拝の義)の転訛とも云ひ、又、巴利(パアリ)語の、thera(長老の義)の轉とも云ふ。寺(ジ)の字は梵語vihāra(毘訶羅)の漢譯。寺はもと宮司の名なりしが、摩騰、法蘭、初めて支那に來りし時、鴻臚寺と云ふ役所に館せしめしより、僧居を指して一般に寺と云ふに至れり。

とする。「刹」(サツ、セツは慣用)は、名刹(めいさつ)、古刹(こさつ)(刹那はせつなと訓む)は、

仏教徒が寄進する旗柱、

の意で、転じて、

寺、

の意。大言海には、

梵語刺瑟胝(yaṣṭi)の瑟胝の音譯字。表相の義にして、旗幢(ハタボコ)の意となり、それを、寺の標識に建て置くに因りて、寺の事となれるなり。万葉集「婆羅門の、作れる小田を、喫(は)む鳥、瞼腫(マナブク)れて、旗幢(ハタボコ)に居り」とあるは、奈良の大安寺の婆羅門僧正が、寺田を作れるを、鳥、来たりて啄めるが、説法を聞きて、懺悔して泣く意の詠也と云ふ、

とある。「刹」は、

棒・旗竿、
あるいは、
塔の心柱、

の意。仏堂の前に宝珠火炎形をつけた竿を立て寺の標幟(ひょうじ)としたところからいう(デジタル大辞泉)、ともあるが、仏塔の中心となる柱、塔の心柱(しんばしら)の意では、日本書紀・推古元年正月一六日に、

「仏の舎利を以て法興寺の刹(セツ)の柱(はしら)の礎(つみし)の中に置く」

とある(精選版日本国語大辞典)。

寺院では仏堂の前に標幟として旗竿を立てる風があった、

ところから、

塔の心柱、

の意へシフトしたものらしい。仏教伝来のプロセスで、

朝鮮語チョル(chyöl)、

から転化したのか、それとも、パーリ語、つまり、

南伝上座部仏教の経典(『パーリ語経典』)で主に使用される言語、

の、

thera

から来たか、いずれかだと思われる。音から見ると、パーリ語だが、意味から見れば、朝鮮語に与したくなる。その他、

荘厳に照り輝くところからテラス(照)の略(和句解・日本釈名・塩尻・和語私臆鈔・言元梯・和訓栞)、

その他の異説もあるが、

朝鮮語チョル(chyöl)、

パーリ語thera、

だろう。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 05:01
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