いざわ

天の川波は立つとも我(わ)が舟はいざわ漕ぎ出(で)む夜の更けぬ間(ま)に(万葉集) の、 いざわ、 の、 わ、 は、 呼びかけ・勧誘の意の間投助詞、 で(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 さあ、 と訳す(仝上)。 (天の川 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E3%81%AE%E5%B7%…

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さいで

君こふる涙にぬるる我が袖と秋のもみぢといづれまされり(源整(ととのふ)) の、詞書(和歌や俳句の前書き)に、 紅葉と色こきさいでとを女のもとにつかはして、 とある、 さいで、 は、 裂帛、 とあて、 布や絹を裁ち切った余りの端、 の意で、 「色濃きさいで」を、血涙に濡れた袖の切れ端に見立てて贈ったのであろう、 と、注釈する(水…

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よしゑやし

よしゑやし直(ただ)ならずともぬえ鳥のうら泣き居(を)りと告げむ子もがも(万葉集) の、 よしゑやし直にならずとも、 は、 たとえ直に逢えなくても、 と訳し(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 告げむ子もがも、 は、 告げられる子が近くにいてくれてらよいのに、 と訳す(仝上)。 ぬえどりの(鵼鳥の)、 は、鵼の鳴き声が悲しげに聞こえ…

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いなのめ

相見(あひみ)らく飽き足(だ)らねどもいなのめの明けさりにけり舟出(ふなで)せむ妻(万葉集) の、 相見らく、 は、 互いにいつまでも会っていても、 の意、 いなのめの、 の、 いなのめ、 は、 稲の目で、古代家屋の明り取りか、 とあり、 いなのめの、 で、 明けの枕詞、 とする(伊藤博訳注『新版万葉集…

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かてに

己夫(おのづま)にともしき子らは泊(は)てむ津の荒磯(ありそ)まきて寝む君待ちかてに(万葉集) の、 己夫(おのづま)にともしき子らは、 は、 自分の夫にめったに会えないあの子は、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 ともし、 は、 乏し、 羨し、 と当て(広辞苑・岩波古語辞典)、類聚名義抄(11~12世紀)に、 乏、トモシ、貧…

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丹(に)のほ(穂)

我(あ)が恋ふる丹(に)のほの面(おも)わこよひもか天の川原に石枕(いしまくら)まく(万葉集) の、 丹のほの面(おも)わ、 は、 紅い頬のふっくらしたあの子は、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 面わ、 は、 面輪、 とあて(岩波古語辞典・精選版日本国語大辞典)、 「わ」は輪郭の意、 とあり(仝上・デジタル大辞泉)、 …

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赤らひく

赤らひく色ぐはし子をしば見れば人妻(ひとづま)ゆゑに我(あ)れ恋ひぬべし(万葉集) の、 しば、 は、 しばしば、 の意、 赤らひく、 は、 「色ぐはし子」の枕詞、 とあり(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 ほんのりと紅い頬をした目にも霊妙な女(ひと)、 と訳す(仝上)。また、 赤らひく肌も触れず寐寝(いぬ)れども心を異(け…

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うら泣く

ひさかたの天の川原にぬえ鳥のうら泣きましつすべなきまでに(万葉集) の、 ぬえ鳥、 は、 うら泣き、 の枕詞、 うら泣く、 は、 忍び泣き、 とし、 (織姫樣は)ぬえ鳥のように忍び泣きしていらっしゃいました、たまらなくいたわしく思われるほどに、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 (トラツグミ https://ja…

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朝(あさ)な朝(さ)な

隠(こも)りのみ恋ふれば苦しなでしこの花に咲き出(で)よ朝(あさ)な朝(さ)な見む(万葉集) の、 朝(あさ)な朝(さ)な、 は、 朝ごとに、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 朝(あさ)な朝(さ)な、 は、 野辺ちかく家居(いへゐ)しせれば鶯の鳴くなるこゑはあさなあさなきく(古今和歌集)、 と使う、 あさなあさな(朝朝)」の変…

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片縒(かたより)

片縒(かたよ)りに糸をぞ我(わ)が縒る我が背子が花橘を貫(ぬ)かむと思(おも)ひて(万葉集) の、 片縒り、 は、 一本縒り、 とあり、 上二句は、一筋に相手を思うことの譬え、 とあり、 片縒(かたよ)りに糸をぞ我(わ)が縒る、 は、 片縒りのままに私は糸を縒っています、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 片縒(かた…

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たづさはる

人言(ひとごと)は夏野の草の繁(しげ)くとも妹(いも)と我(あれ)としたづさはり寝(ね)ば(万葉集) の、 人言(ひとごと)、 は、 人の噂、 人言は夏野の草の、 は、 助詞、繁くを起こす、 とあり、 たづさはり寝(ね)ば、 は、 下に、どうなろうとかまわぬの意を補う、 とあり、 (手を取り合って寝ることさえできた…

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時わかず

ひぐらしは時と鳴けども片恋(かたこひ)にたわや女(め)我(あ)れは時わかず泣く(万葉集) の、 時と、 は、 今が季節だと、 の意、 時わかず泣く、 は、 一日中泣き濡れている、 と訳し、 たわや女、 は、 か弱い女、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 (ヒグラシ https://ja.wikiped…

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しののに

聞きつやと君が問はせるほととぎすしののに濡れて此(こ)ゆ鳴き渡る(万葉集) の、 聞きつやと君が問はせる、 は、 その声を聴いたかとあなたがお尋ねの、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 しののに濡れて、 は、 雨にびっしょり濡れて、 の意である(仝上)。 朝霧に之努努爾(シノノニ)濡れて呼子鳥(よぶこどり)三船(みふね)の山ゆ鳴…

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べみ

時ならず玉をぞ貫(ぬ)ける卯の花の五月(さつき)を待たば久しくあるべみ(万葉集) の、 べみ、 は、 ベシのミ語法、 で、 久しくあるべみ、 は、 いつのことかわからぬので、 の意として、 待ち遠しくて仕方がないので、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 卯の花、 は、 うつぎ、 の別名であり、「うつ…

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ありこせぬかも

我妹子(わぎもこ)の楝(あふち)の花は散り過ぎず今咲けるごとありこせぬかも(万葉集) の、 楝(あふち)、 は、 せんだんの木、 とあり、 楝(あふち/おうち)、 で触れた。 ありこせぬかも は、 (今咲いているままに)あり続けてくれないものか、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 (センダンの花(楝(あふち)の花…

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榛(はり)

思ふ子が衣摺(ころもす)らむににほひこそ島の榛原(はりはら)秋立たずとも(万葉集) の、詞書(和歌や俳句の前書きで、万葉集のように、漢文で書かれた場合、題詞(だいし)という)に、 榛(はり)を読む、 とある、 榛(はり)、 は、 はんの木、 とあり、 にほひこそ、 の、 こそ、 は、 希求の助詞、 で、 美し…

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黙(もだ)

黙(もだ)もあらむ時も鳴かなむひぐらしの物思(ものも)ふ時に鳴きつつもとな(万葉集) の、 黙(もだ)もあらむ時も、 は、 のんびりしているときにでも、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 もとな、 は、 むやみに、 の意で、 鳴きつつを修飾する、 とある(仝上)。 もだ(黙)、 は、冒頭の歌や、 黙(もだ…

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もとつ人

本(もと)つ人ほととぎすをやめづらしく今か汝(な)が来(こ)し恋ひつつ居(を)れば(万葉集) の、 をや、 は、 詠嘆で、軽い言いさし、 とあり(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 本(もと)つ人ほととぎす、 は、 お前は昔馴染みのほととぎすなのだが(なのに)、 と訳す(仝上)。 めずらしく、 は、 一年ぶりであることを言う、…

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うれたし

うれたきや醜(しこ)ほととぎす今こそば声の嗄(か)るがに來(き)鳴き響(とよ)めめ(万葉集) の、 うれたきや、 の、 や、 は、 間投助詞、 うれたし、 は、 ああ腹立たしい、 と訳し(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 醜(しこ)ほととぎす、 は、 ろくでなし時鳥め、 と訳す(仝上)。 うれたし、 …

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さのかた

さのかたは実にならずとも花のみに咲きて見えこそ恋のなぐさに(万葉集) の、 さのかた、 は、原文では、 狭野方(さのかた)、 とあて(精選版日本国語大辞典)、 あけび、か。恋する女の譬え、 と注記する(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 さのかた、 は、植物の名ではあるが、 何をさすかは諸説あるが未詳、 とされ(精選版日本国語大辞典…

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