らし

春過ぎて夏来(きた)るらし白栲の衣干(ほ)したり天の香久山(万葉集) の、 白栲の、 は、 真っ白い、 の意、 栲、 は、 楮の樹皮で作った白い布、 とあり(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 衣干したり、 を、 白い布を斎衣(さいい)と見たものか、 と注釈する(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 白栲、 は、 …

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あらまし

白波の来寄する島の荒磯(ありそ)にもあらましものを恋ひつつあらずは(万葉集) の、 荒磯、 は、 無情な物の代表、 と注記し(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 荒磯ででもあったほうがまだましだ、 と訳す(仝上)。 あらまし、 は、 有らまし、 とあて(岩波古語辞典)、 「あり」に助動詞「まし」のついたものか(広辞苑)、 ラ…

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さだ(時)

沖つ波辺波(へなみ)の来寄(きよ)る左太(さだ)の浦のこのさだ過ぎて後(のち)恋ひむかも(万葉集) の、 上三句は序、「定」を起こす、 とあり、 さだ、 は、 盛りの時の意か、 として、 さだ過ぎて、 を、 あなたと会っているこのひと時がすぎてしまえば、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 さだ、 は、 時…

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よしも

霰(あられ)降り遠つ大浦(おほうら)に寄する波よしも寄すとも憎くあらなくに(万葉集) の、 上三句は序、同音で「よしも寄す」を起こす、 とある(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 霰(あられ)降り、 は、 「遠つ」の枕詞、 とし、 霰の音を「とお」と聞いたか、 と解する(仝上)。 よしも寄すとも、 は、 よしたとえ、 の…

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木屑(こつみ)

秋風の千江の浦廻(うらみ)の木屑(こつみ)なす心は寄りぬ後(のち)は知らねど(万葉集) の、 木屑(こつみ)、 は、 木屑(こっぱ)、 とあり(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 木屑(こつみ)なす心は寄りぬ、 を、 浦辺にに寄せてくる木っ端のように、私の心はすっかりあの人に寄ってしまった、 と訳す(仝上)。 こつみ、 は、 …

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かりて

我妹子(わぎもこ)が笠のかりての和射見野(わざみの)に我(わ)れは入りぬと妹(いも)に告(つ)げこそ(万葉集) の、 上二句は序、「和射見野」を起こす、 とあり、 和射見野(わざみの)、 は、 和蹔野、 とも当て、 岐阜県不破郡関ケ原、 とある(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 かりて、 は、 笠の内側の輪、 をいう(…

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かも……かも

玉藻刈るゐでのしがらみ薄みかも恋の淀める我(あ)が心かも(万葉集) の、 ゐで、 は、 井堰、 の意、 上三句は、恋の障害が薄いからか、の意、 とし、 かも、 は、 「淀める」で結ぶ、 として、 恋のしがらみが少ないために恋しさも滞りがちなのであろうか、それとも私の心が薄いからなのであろうか、 と訳す(伊藤博訳注『…

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東風(こち)

朝東風(あさごち)にゐで越す波の外目(よそめ)にも逢はぬものゆゑ滝もとどろに(万葉集) の、 上二句は序、「外目」を起こす、 とあり、 ゐで越す波の外目(よそめ)にも、 の、 ゐで、 は、 井堰、 の意で、 井堰(いぜき)を越えてよそにあふれる波ではないが、 と訳し、 外目(よそめ)にも逢はぬものゆゑ、 は、 …

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ありこす

言疾(ことと)くは中は淀ませ水無(みな)し川絶ゆといふことありこすなゆめ(万葉集) の、 ありこすなゆめ、 は、 (でも、水無し川のように、途絶えるようなことは)決してしないでください、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 (伏流水 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8F%E6%B5%81%E6%B0%B4より…

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言疾(ことと)し

言疾(ことと)くは中は淀ませ水無(みな)し川絶ゆといふことありこすなゆめ(万葉集) の、 言疾(ことと)くは、 は、 忽ち噂が広がるようなら(通うのは一時お休みください)、 の意とし、 でも、水無し川のように、途絶えるようなことは決してしないでください、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 (水無川 https://ja.wikipedi…

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恋ふらく

我妹子に我(あ)が恋ふらくはみずならばしがらみ超えて行くべくぞ思ふ(万葉集) の、 恋ふらく、 は、動詞、 こふ(恋)、 の、 ク語法、 で(精選版日本国語大辞典・学研全訳古語辞典)、 恋しく思うこと 恋い慕うこと、 の意となるが、 我(あ)が恋ふらくは、 を、 私が恋い焦がれる気持ちは、 と訳す(伊藤博訳注『新…

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寄そる

しなが鳥猪名山(いなやま)響(とよ)に行く水の名のみ寄そりし隠り妻はも(万葉集) の、 しなが鳥、 は、 水鳥の一種、にほどり(かいつぶり)かという、 とある(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 しながどり、 は、 にほどり、 とも、 ひどりがも(緋鳥鴨)の異名、 とも(精選版日本国語大辞典)、また歌語としては、 イノシシの異…

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よし

青山の岩垣沼(いはかきぬま)の水隠(みごも)り恋やわたらむ逢ふよしをなみ(万葉集) の、 上二句は序、「水隠り」を起こす、 とあり、 水隠りに、 は、 人知れず心の中で、 の意とし(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 逢ふよしをなみ、 は、 逢う手立てもないので、 と訳す(仝上)。 よし、 は、 由、 因、 縁…

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時ともなく

あしひきの山下響(とよ)み行く水の時ともなくも恋ひわたるかも(万葉集) の、 時ともなくも、 は、 いつと時をさだめずに、 とある(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 時ともなく、 の、 時となく、 は、 忘れ草我(わ)が紐(ひも)に付く時となく思ひ渡れば生(い)けりともなし(万葉集) で、 のべつまくなしに、 と訳し(…

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いねかつ

行きて見て来(く)れば恋しき浅香潟(あさかがた)山越(ご)しに置きて寐寝(いね)かてぬかも(万葉集) の、 浅香、 は、 大阪南部・堺市にかけての地、 とある。 寐寝(いね)かてぬかも、 は、 寝ようにも寝られない、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 (大阪湾 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E…

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いぬ

行きて見て来(く)れば恋しき浅香潟(あさかがた)山越(ご)しに置きて寐寝(いね)かてぬかも(万葉集) の、 寐寝(いね)かてぬかも、 は、 寝ようにも寝られない、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 寐寝、 とあてている、 いぬ、 は、 寝(い)を寝(ぬ)、 で触れたように、 い、 は、 寝、 で、 …

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夕凝り

夕凝(ゆふこ)りの霜おきにけり朝戸(あさと)出(で)にいたくし踏みて人に知らゆな(万葉集) の、 夕凝(ゆふこ)り、 は、 夕方から早々に置く霜、 とあり(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 朝戸(あさと)出(で)に、 は、 朝戸を開けてのお帰りがけに、 と訳す(仝上)が、 夕凝り、 は、 ゆうごり、 とも訓ませ(精選版…

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をふ

桜麻乃(さくらをノ)苧原(をふ)の下草露しあれば明かしてい行け母は知るとも(萬葉集) の、 桜麻、 は、 未詳、麻の一種か、 とある(伊藤博訳注『新版万葉集』)。しかし、 桜麻、 で触れたように、 桜麻、 という名は、 花が薄紅色で桜のような五弁であるところから、 とも、 桜の咲く頃に種子をまくところから、 ともい…

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彼方(をちかた)

彼方(をちかた)の埴生の小屋(をや)に小雨降り床(とこ)さへ濡れぬ身に添へ我妹(わぎも)(万葉集) の、 埴生の小屋(をや)、 は、 赤土(はに)をとるための粗末な小屋、 とあり(伊藤博訳注『新版万葉集』)、 人里離れたこの埴生の野小屋、 と訳している(仝上)が、 埴生、 で触れように、 土間の土の上に筵(むしろ)などを敷いただけの…

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しぞ

窓越しに月おし照りてあしひきのあらし吹く夜(よ)は君をしぞ思ふ(万葉集) の、 あしひきの、 は、 「あらし」の枕詞、 とあり、 君をしぞ思ふ、 は、 あの方のことばかりを思いつめている、 と訳す(伊藤博訳注『新版万葉集』)。 君をしぞ思ふ、 の、 しぞ、 は、奈良時代は、 シソ(sisӧ)・シゾ(sizӧ)…

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